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人  |    2025.07.17

【東京都墨田区】津本美千子さんインタビュー|アクセサリーブランド創設までの33年間【前編】

「アクセサリーの方が向いてるよ」から始まった:アミューティ(amueux T)代表 津本美千子さんの経歴と人生に迫る・女性クリエイターの転機

「つくることが、いつも私を連れてきてくれた」──アミューティ代表・津本美千子さんインタビュー 前編

東京・墨田区発のアクセサリーブランド「三丁目六番地Tokyo」。繊細で美しいフォルム、そして着け心地まで考え抜かれたアクセサリーたちは、今、感度の高い女性たちから熱い支持を集めています。

今回お話を伺ったのは、ブランドのデザイナーであり、代表でもある津本美千子(つもと・みちこ)さん。服づくりから始まった彼女のキャリアは、京都の伝統工芸、東京の問屋、百貨店、OEMと多彩な道を経て、今に至ります。

「気づいたら、アクセサリーに行き着いていたんです」

そう微笑む津本さんの、ものづくりの原点を辿ってみました。

■ 服づくりから、着物の世界へ

「もともとは、服飾が好きで文化服装学院に通っていました。卒業後はご縁があって京都へ行き、着物の金彩加工や螺鈿加工といった伝統的な加飾の現場で働きました」

日本の伝統美を支える現場。そこでは、絹の肌触り、顔料の調合、手の感覚を信じるしかない”削ぎ落とされた美しさ”が日常だったといいます。

「一見派手に見えるけれど、実はものすごく静かな作業。そこに魅せられましたね」

ところが、バブル崩壊の影響で取引先が次々と倒産。拠点を東京に戻すことになります。

■ 「あなた、アクセサリーのほうが向いてるよ」

津本さんが京都から東京に戻ってきたばかりの頃、これからの進路に迷いながらも、自分の中にある「好き」を手がかりに模索していた日々が続いていたある日、ふとした一言が背中を押してくれました。

「東京に戻ってどうしようかなと悩んでいたとき、偶然お会いしたある方に“アクセサリーのほうが向いてるんじゃない?”って言われたんです」

その言葉が思わぬ扉を開いていき、服飾とは素材も技法もまったく異なるアクセサリーの世界へ、津本さんは飛び込みました。

「道具の名前もわからないところからのスタートで、ひとつひとつ、”つくること”を身体で覚え直していきました」

■ 「依頼する側」になってわかったこと

その後、アクセサリー問屋に就職。そこで学んだのは「売る」「流通させる」側の目線でした。

「商品を作るだけではダメで、”誰に届くのか、どう届けるのか”までを考える必要があると気づきました。ちょうどその頃、社内で新しいブランドを立ち上げることになり、担当に抜擢されたんです」

時代の流れを読み、百貨店でヒット商品を生み出すも、数年後に再び会社は倒産。そのときも津本さんのデザインはバイヤーたちから高く評価され、業界内で新たな声がかかります。

■ 「見て学ぶ営業」と「描いて伝えるデザイン」

百貨店のプライベートブランドや複数のアクセサリーブランドの企画・デザイン・営業を一手に担う日々。中でも営業は教えてもらえる環境ではなく、すべて見て学ぶスタイルだったそうです。

「怒られながら(笑)でも現場に出て、売り方や見せ方を少しずつ体得しました。店頭での会話からヒントを得て、それを次のデザインに活かしていましたね」

一方で、手描きのイラストから起こしたデザインが評判を呼び、大手ライセンスブランドのアクセサリーでも人気アイテムを生み出しました。こうして13年にわたる現場経験を積み重ねていきます。

■ そして、もう一度「自分の心が動くほうへ進む」という選択

百貨店業界の流れが変わり始めた頃、津本さん自身も子育てのタイミングを迎えます。

一度は安定を選び、企業のデザイナーとして勤務していた頃、久しぶりに再会した知人から言われた「もうアクセサリーは作らないの?もったいないよ。絶対またやったほうがいい」という言葉が、再び火をつけました。

「迷いました。でも、つくることから離れて、改めて自分にとってどれだけ大切なものだったか気づきました」

その後、再びアクセサリー業界へ復帰。共同で立ち上げた会社を経て、2018年に代表取締役に就任。そして、2020年10月、長年の経験と感性を詰め込んだブランド「三丁目六番地Tokyo」が誕生しました。

「ここが、私の再スタート地点です」

――インタビュー後編では、津本さんが手がけるブランド「三丁目六番地Tokyo」のものづくりのこだわり、そしてアクセサリーに込める想いについて、さらに深く掘り下げていきます。

後編はこちら

【「誰かの“好き”に寄り添えるものをずっとつくっていたい」|アミューティ代表 津本美千子さんインタビュー【後編】

店舗詳細
事業者名アミューティ(amueux T)
取り扱いブランド三丁目六番地Tokyo
公式ECサイトhttps://36tokyo.official.ec/
Instagramhttps://www.instagram.com/36tokyo/
Facebookhttps://www.facebook.com/amueuxT
X(旧Twitter)https://x.com/amueux9

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この記事を書いた人

ハラカズコ

大田区出身・在住のメディアライター&アロマクリエイター。普段はアロマ・フレグランスに関するお店「KAORINO/カオリ乃」の店長をしています。Mediallでは多種多様な文化や伝統、価値観が混ざり合ってモノづくり・まちづくりをしているカオス・レトロ・最先端な大田区、そして東京の魅力を発信します。

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