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人  |    2023.10.15

「お客さんとともに」|靴職人による靴修理「CONTE」ー横浜市青葉区【後編】

CONTE 横浜市青葉区

横浜市青葉区にあるCONTEの靴職人、斎藤 融(さいとう とおる)さんへのインタビュー。

【前編】では、CONTEの魅力や斎藤さんがヘアカラーの営業から靴職人を目指した経緯についてご紹介しました。

【後編】はCONTEを開業するまでの道のりや今後の夢、斎藤さんが語られた靴の魅力についてお伝えします。ぜひ続けてご覧ください。

偶然の出会いで藤が丘に|CONTEの開業までの道のり

CONTE 横浜市青葉区

靴の聖地と言われる浅草。靴のメーカーや問屋、資材を扱うお店など、革製品に関連した業者が軒を連ねています。

そんな浅草に、斎藤さんが通った靴学校があります。

仕事を辞めた斎藤さんは、靴職人が教えるその学校で靴作りの基礎を学びました。

卒業後も麻布十番にある靴の修理屋で働きながら、自己研鑽を積みます。

「靴学校で、ある程度基礎を学んだものの、それを商品にするまではまだまだレベルが達していませんでした。スキルアップのため、最初は自分の住んでいるマンションで靴を作っていたんですが、音とか汚れが問題になってくるんですよね。音がうるさいという苦情がきてしまうので、靴作りのための場所を借りました。浅草は昔から靴の文化があるところなので、シェアスペースとして貸してくれる物件があったんです。学校を同時期に卒業した人たちと一緒に借りて、サンプル作りをしながら、技術を磨きました」(斎藤さん)

仕事をしながら技術を磨くという、たゆまぬ努力を続け、斎藤さんは2014年に「TORU SAITO」というブランドを立ち上げます。

「当時働いていた麻布十番のお店の社長に『将来お店をもってオーダー靴をやりたいです』と伝えたら、サンプルを置かせてもらえることになったんです。修理にきたお客さんに見てもらって、気に入ってもらえたら注文を受けるようなスタイルでした」(斎藤さん)

その後、独立して2017年に「CONTE」を開業します。

CONTE 横浜市青葉区

斎藤さんは神奈川出身。「お店を出すなら神奈川に」という思いがあり、横浜での開業を考えたと言います。

「僕は元々厚木の出身で、横浜に憧れがありました。横浜というとみなとみらいを思い浮かべるんですけど、あの辺りの物件はすごく高くて、全然採算が取れそうにない。しょっちゅう見に行っていたんですが、なかなか予算に合う物件がなかった」(斎藤さん)

そんな最中に、藤が丘にある家の近所で物件が空いたという情報が入ります。

CONTE 横浜市青葉区

入るつもりはなかったものの、興味本位で見に行ったという斎藤さん。

「見た瞬間レイアウトがなんとなく思い浮かんだというか、蕎麦を打っているところが外から見えるお蕎麦屋さんのように、この建物もガラス張りだから、作業をしていたら、前を通った子どもが『何をやっているんだろう』って見てくれるんじゃないかなって。そういうのもありかなって」(斎藤さん)

CONTE 横浜市青葉区
通りに面した作業場。

偶然の出会いで、藤が丘にOPENした「CONTE」。

店の前を通りかかると、ガラス越しに見える斎藤さんの姿。

CONTEは、斎藤さんの狙い通り「なんのお店なんだろう」「何をしているんだろう」と、思わずのぞきたくなるお店です。

CONTE 横浜市青葉区

斎藤さんに今後の夢を伺いました。

「正直、日本国内の靴の市場はどんどん細まっているので、海外で展開していく必要があると思っています。世界的までは行かなくてもいい、アジア圏でもいいので、海外で挑戦できる知名度とブランド力はつけたいですね」(斎藤さん)

SNSでは、日本の職人さんが注目されていると言います。

オープンして2年目のころ、斎藤さんのもとにイタリアの若者からSNSで「靴を学ばせてくれ」と連絡があって、学びにきたこともあったのだとか。

「ちょっと靴に興味がある人、それこそ海外でこれから靴職人をやりたいって人が日本に来たときに『ちょっと見たいな』って訪れてくれるようになったら嬉しいです」(斎藤さん)

「売って終わりではない」長く続くお客さんとの関係性も魅力

CONTE 横浜市青葉区

斎藤さんは靴の魅力についてこう語ってくれました。

「靴って疲れて帰ってくると、脱いだらそのまま。朝になったらそれを履いてっていう感じになりやすいですよね。手入れをしていないと、かかとが完全に削れたり、つま先がボロボロになったりします。手入れしている人はきちんと手入れをしているし、細かくメンテナンスしている。靴は使っていくと味が出てくるっていうのもありますし、その人の性格というか、その人の人となりが映るっていうのが、一つの魅力なのかなと思います」(斎藤さん)

また、靴には作り手として感じる魅力も。

「オーダーは売って終わりではないんです。お店で座って履いてみて、履き心地に問題がなくても、一日履いてみるとまた感じ方が変わると思うんですよね。履いて歩いていたら靴ずれができることもあります。履いてみて感じた違和感や不具合のご相談だとか、定期的なメンテナンスでお客さんが来られるので、そこでまた接点ができます」(斎藤さん)

売った後もお客さんとの関係が続いていくーー。

靴を通してお客さんとの長い付き合いができることが靴作りの魅力だと斎藤さんは言います。

CONTEに込められた思い

CONTE 横浜市青葉区

お店の名前であるCONTEは、イタリア語で「あなたとともに」。

「店の名前は『お客さんとともに』というイメージで、最初に一足靴を作ってもらって、それをどんどんメンテナンスしながら、一緒に靴を育てていきましょうという意味があります。修理でも同じで、お客さんに『これちょっと直るかな?』と持ってきてもらえたら『じゃあこうして直しましょう』と一緒に考えていくことを大切にしています」

職人と話し合いながら、自分に合った靴をあつらえてもらい、手入れをしながら長く履いていく。

斎藤さんは青葉区のエリアでそんな「靴の文化」を作っていきたいと話します。

CONTE 横浜市青葉区

手をかけた分、より自分にとって特別な一足になっていく。

大切な日にこそ「この靴を履く」というように。

CONTEは2023年9月23日で6周年を迎えました。

これからもCONTEを通じて、斎藤さんの思いと靴の文化が広がっていきます。

CONTEの情報

CONTE 横浜市青葉区

CONTE

住所:〒227-0048 神奈川県横浜市青葉区柿の木台3−3 石原第5ビル
電話番号:045-973-0770
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日・水曜日
WEBサイト:WEBサイトへ
Instagram:Instagramへ

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この記事を書いた人

Takano

フリーライター。元WEBエンジニア。社会福祉士の資格をもつ。SEOライターを経て、現在は主に取材記事を執筆。文章を通して、魅力あふれる企業・人・お店・自然・食べ物・イベントを紹介。旅先で植物園、美術館、博物館を訪れるのが好き。 感情が伝わる文章を目指しています。ぜひ、PRのお手伝いをさせてください!

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