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アクティビティ  |    2024.11.12

水の上で新たな発見と体験を 〜 佐川さんが拓くカヌー&SUPの魅力

取材にご協力いただいた「峡遊隊」隊長の佐川幸司さん

山梨県の豊かな自然を舞台に、カヌーやSUPの魅力を広める活動を精力的に展開する佐川幸司さん。富士川クラフトパークなどを拠点に「峡遊隊(きょうゆうたい)」を立ち上げ、カヌーやSUPを自ら楽しみ、指導をしています。

カヌーの王国、山梨県で活躍する佐川幸司さん

富士川クラフトパークのカヌーポロ専用池

実は山梨県は湖、川、池と水辺の宝庫。特に佐川さんがお勤めの「富士川クラフトパーク」には日本唯一のカヌーポロ専用池があり、まさに「カヌーの王国」と呼ぶにふさわしい環境が整っています。

国体16回出場の佐川さん。最高成績3位の実力者

「日本一カヌーを幅広く楽しんでいる」と自負する佐川さん。16回の国体出場(3位入賞)や世界選手権出場の経験を活かし、身延町と富士川町を中心に、ポロ、スラローム、ワイルドウォーターなど、カヌーの多様な楽しみ方を伝えています。

今回は旧五千円札に描かれた「逆さ富士」で知られる本栖湖で行われた「峡遊隊」のSUP体験にお邪魔しました。

本栖湖に映る逆さ富士
本栖湖

体験と発見を!佐川流「教えない」指導法

水深の浅いところでは座って漕ぎ出す

本日の生徒は県内外から6名。準備運動を済ませると「じゃあ行ってみましょう」と佐川さんは初心者を早速湖面に連れ出します。

ー いきなり体験って感じなんですね。「教えないスタイル」というのでしょうか?

佐川さん(以下、敬称略):
事前にあまり教えすぎると体験を奪ってしまうと思うんですよ。

陸の上でカーブの仕方とかあれこれ教わっても響かない。でも、自分で体を動かしながら工夫して、うまくいく方法を発見するのって楽しいじゃないですか。そんな新しい体験を味わってもらう余白を残しておきたいんです。

80代まで楽しめるSUP

本栖湖の中心に漕ぎ進む

佐川さんの指導対象は幅広い。峡遊隊では特に年齢制限を設けず、最年少は3歳、最高齢は80代と、実に幅広い年齢層が参加しています。

佐川:
同じ年齢でも水が得意な子もいれば苦手な子もいます。その人に最適なサポートは何か個別に考えるので、年齢はあまり関係ないと思っています。

80代のおじいちゃんは半分寝ながら流されているような感じでしたが、気持ちよさそうでしたね。

水の上で日常を忘れる開放感

SUP体験中。初心者でも楽しめる

ー SUP体験中、参加者のみなさんは湖の上から手を振ってくれて、とても気持ちよさそうでした。何か特別な開放感があるんでしょうね。

佐川:
水の上って、私たちの日常とは全く違う世界なんですね。陸上で生活する私たちにとって、水上の世界は未知の領域。幼い頃から水辺は危ないと教えられ、大人になっても水辺から遠ざかっている。だから、水上に出ると全く新しい感覚を得られるんです。

同じ景色でも、水上から見ると全く違う印象を受ける。地元の人は当たり前すぎて気づかない自然の美しさも、水上から新鮮な目で見ると驚くほど魅力的に映る。それで心が開放されるのでしょう。

ー それがカヌーの魅力なんでしょうか?

そうですね。カヌーの魅力は、やっぱり見たり聞いたりするだけでは伝わらない。水の速さ、パドルが水をとらえる感触、水面から見る景色 。すべて自分の体で直接体験することで初めて、カヌーの本当の魅力がわかると思います。

カヌーが育む挑戦する心

カヌーのポロ競技。クラフトパークにて

ー 佐川さんが主催されている「かわいいカヌークラブ」という子供たちのカヌークラブについてお聞かせください。

佐川:
「かわいい」は「GOOD RIVER〜川良い」って意味なんですよ。現在6、7人ほどの子供たちと10人ほどの大人が参加しています。毎日毎週、とても熱心に通ってくる子供さんもいます。

クラフトパークで「また来週ね」と声をかけたら、翌週「言われたから来たよ」と本当に来てくれた子もいました。その子はカヌーにのめり込み、現在クラブでがんばっています。毎日のように来る練習の虫のような子もいました。

そんな真剣に向き合えるようなものと若いうちから出会えたっていうのは一番の財産だな、と思いますね。

ー 子供のうちからカヌーって、なかなかできない経験ですよね。

佐川:
子供たちにとってカヌーで水面に漕ぎ出すなんて全く未知の挑戦で、本来はめちゃくちゃ恐いことかもしれません。

でも「乗れるようになって楽しかった」という経験があれば、この先何か困難に出会った時も「カヌーも乗れたしなぁ」と思えばハードルが下がると思うんですよ。何にでもチャレンジできる、そんな後押しができるといいなと思っています。

ー 子供たちも自信がつくでしょうね。子供たちにも「教えないスタイル」なのですか?

子供たちに「言われたことだけやる人間」になってほしくないんです。自分で考えて行動して成長できる人間になってほしいので、とことん観察させて、自分で方法を発見させる過程を大切にしてやっています。

競技のその先へ〜佐川さんの思い

美しい本栖湖

ー 今後の展望について教えてください。

佐川:
競技カヌーの選手生活後のキャリアパスの問題をよく考えます。一心に打ち込んできた元選手が競技以外のスキルがない、となった時に引退後いろいろと不安ですよね。

でも、選手たちは競技を通じて忍耐力、集中力、洞察力など、本当に素晴らしい能力を身につけています。その能力を社会でも活かせるようにしたい。引退後も、カヌーを通じて人々に喜びを与えながら、自分らしく生きていける。そんな未来を作りたいんです。

今は、一般の方向けの「峡遊隊」や子供向けの「かわいいカヌークラブ」などを運営しています。これらの活動を通じて、カヌーの楽しさを多くの人に伝えながら、同時に競技選手の新しい活躍の場を作りたいと考えています。例えば、元選手が指導者として活躍したり、カヌーを使ったアウトドア事業を始めたり。選手たちが競技生活で培った経験を活かせる場所を増やしていけたらいいなと思っています。

水上から広がる新しい世界

佐川さんは、SUPやカヌーなどを通じて、新しい世界を私たちに見せてくれます。今回の水上での体験は、スポーツを超えて自然との触れ合いや自立心の成長、生涯の楽しみにつながっていました。

子どもから大人まで、幅広い年齢層に水上スポーツの面白さを情熱を込めて伝える佐川さん。水上から見る新鮮な景色や爽快な体験に、参加者の表情は輝いていました。日頃の忙しさを忘れ、心から楽しんでいる様子が印象的でした。

どなたでも体験できますので、SUPやカヌーに興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。

峡遊隊HP
かわいいカヌークラブHP

https://cutecanoeclub.com

峡遊隊、かわいいカヌークラブ連絡先

TEL:090-2427-6076(佐川)

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この記事を書いた人

金子 よし子

山梨県出身、山梨県在住のwebライター。 山梨県の魅力をたくさん発信していきたいと思います!

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