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人  |    2024.12.29

スーパー(普通の)ボランティア徳永さんに聞く【はじめの一歩】前編

「ボランティア活動に興味はあるけど、実際どんなものか分からない」このように思っている方は多いのではないでしょうか? 本記事では、スーパー(普通の)ボランティアである、東京都町田市在住の徳永さんにお話を聞きました。

インタビューを通して、ボランティアの魅力ややりがいを深掘りしていきます。前後編に分けて掲載しますので、初めてのボランティアを考えている人は、ぜひ読み進めてみてください。

現在の活動

徳永さんの車に貼られた能登半島応援ステッカー(右)

ー現在は能登半島を中心にボランティア活動をしているそうですが、どのぐらいの頻度で通っているのですか。

徳永:だいたい月に2回程度です。金曜日の朝出発して、土・日に活動し、月曜日の夜に帰宅します。火曜日は基本的に休みなのですが、仕事が入ることも多いので月曜日は早めに帰るようにしています。私は定年退職と延長雇用を経て、現在は週3日勤務で仕事をしています。土日に出勤する場合もあり、変則的な働き方なんです。一般的なサラリーマンとは違って比較的時間が自由になるため、移動日とボランティア活動の日を分けたスケジュールが確保できています。

ーご自分の車で行くんですよね。

徳永:はい、一人で運転して行きます。自宅から奥能登までの移動は、片道約11時間といったところでしょう。一人で長時間運転しますから、余裕を持ったスケジュールで活動するようにしています。

ー11時間ですか!移動にはガソリン代などの経費がかかりますね。

徳永:はい、高速道路代は今のところボランティア車両の申請をすれば無料になります。ガソリン代は自腹です。

ー能登半島ではどのような活動をしているのですか。

徳永:私は、技術系ボランティアと呼ばれるチームに参加して活動しています。屋根に登って雨漏り対策をしたり、水没したエアコン室外機の復旧や移設をしたり、倒壊の危険のあるブロック塀の解体をしたりしていますね。そして、能登で特に重要な作業がカーレスキューです。カーレスキューとは、倒壊した家屋や車庫から車を出す作業です。車だけでなく耕運機やコンバインなどもレスキューするのですが、のしかかる屋根の建材や倒木などをチェーンソーで切断する必要があります。

―危険を伴いますが、どれも重要な作業ですね。他には、どのような活動がありますか。

徳永:倒壊した家屋からの貴重品を取り出す作業も能登で初めて体験しました。その際もチェーンソーが必要になってきます。また、技術系作業以外でも、廃棄物の搬出や床下の泥のかき出しなどもやっています。

ー技術系ボランティアになるには、資格が必要ですか。

徳永:私は現在「災害復旧支援チームふじさん」に参加させてもらっています。このチームは、全国でボランティア活動をするうちに知り合った仲間が集まったグループです。メンバーのなかには、重機や高所作業車の免許を取得している人が多くいます。私は普通自動車免許だけ(笑) あ、チェーンソーの資格は数年前に取りました。

ー「災害復旧支援チームふじさん」に参加して得るものがありましたか。

徳永:はい。災害現場では初めて体験することも多く、どうやって目の前の問題を解決したらいいのか分らない場面に直面します。そんな時は、メンバー同士で情報を共有したり、ネットで調べたりできるのが心強いですね。メンバー全員が、日々技術を高めるように努力しています。

災害との出会い 

ボランティア活動のための道具が積まれた徳永さんの車

―徳永さんは、いつ頃からボランティア活動を始めたのですか。

徳永:人生で初めて被災地に行ったのは、1995年の阪神淡路大震災です。当時、私はメーカーの営業職だったので、大阪に本社を構える取引先のことが気になりました。思い切って会社に、お見舞いに行かせて欲しいと頼み込んだところ、見舞い金まで持たせて送り出してくれました。実は、三ノ宮に住む友人の安否確認もしたかったのです。発災から1週間後に1人で現地へ向かいました。

ーボランティア活動が目的ではなかったんですね。

徳永:そうです。少しでも役立ててもらえればと考えて、カップラーメンを歩荷(ぼっか)のように背負って行ったのですが、現場には水もカセットボンベもなくて……。却って迷惑をかけてしまう結果になりました。取引先にお見舞金を渡せたことと、友人の無事が確認できたのが救いです。自然の破壊力人間の無力さ深く胸に刻みました

まとめ

現在、能登半島を中心にボランティア活動をしている徳永さん。インタビューを通じて、ボランティア活動には多くのやりがいと挑戦があることが伝わってきました。

能登半島での活動は、移動だけでも片道11時間を要し、技術系作業や危険を伴う作業など、体力やスキルが求められる場面も多々あります。それでも徳永さんが活動を続ける背景には、災害復旧を支える意義深さや、仲間との連携、学びの機会があるからではないでしょうか。

また、ボランティア活動には準備や心構えが必要であることも印象的でした。阪神淡路大震災での経験が徳永さんの原点となり、今では専門的な活動にも参加されています。

この記事を通じて、ボランティア活動に興味がある方に、現場のリアルを少しでもお伝えできたなら幸いです。次回は「徳永さんにとってのボランティアとは?」について深掘りします。ボランティア初心者から経験者まで、ぜひ引き続きお読みください!

後編はこちら

スーパー(普通の)ボランティア徳永さんに聞く【はじめの一歩】後編

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この記事を書いた人

wakka

神奈川県出身、東京都在住のライターです。生花店店長やベーカリーカフェで働いた経験があります。趣味はお散歩と読書。お散歩で見つけた地域の魅力を発信します。

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