「瀬戸内のハワイ」といわれており、山口県の南東部に位置するのが周防大島です。
自然豊かな町で小学6年生のときにゴミ拾いを始めたのが、今回紹介する笠原颯愛さん(以下、颯愛さん)です。
颯愛さんのゴミ拾いへの向き合い方に影響を与えたのが、年商51億円企業の会長兼「ゴミ拾い仙人」として有名な吉川充秀さん(以下、吉川さん)。
直筆の手紙を通し、颯愛さんがゴミ拾い仙人・吉川さんに周防大島での講演を依頼したことで、今回の講演会が実現しました。
前編では、颯愛さんや吉川さんのあゆみ、周防大島で開催された講演会の様子を紹介します。
小学6年生でゴミ拾いを始めた笠原颯愛さんとは

小学校6年生の5月にゴミ拾いを始めたという颯愛さん。
ゴミ拾いを始めたばかりのときは、「こんなところに捨てたのは誰だ?」とイライラしながらゴミを拾っていたそうです。
颯愛さんの父・隆史さんがきっかけで、吉川さんの書いた本「ゴミ拾いをすると人生に魔法がかかるかも♪」を読んだところ、ゴミ拾いに対する考えが変化。
「ゴミ拾いは、誰かのためでなく、自分の上機嫌のためにやるもの」と気づき、まずは自分を大切にしたあとで、社会貢献としてのゴミ拾いをするようになります。

颯愛さんは「吉川さんに直接会いたい、周防大島町でお話をしてほしい」と思ったため、手紙を3枚書き、思いを届けることに。
颯愛さんの熱意が吉川さんに届き、今回の講演会が実現しました。
颯愛さんは立派なリーダーになることを目標としており、2025年の4月からは広島の中学校に通っています。
受験したとき、競争倍率が6倍あったため、 240人中40人しか受からない状況だったそうです。

1度は不合格になったものの、何人か辞退者が出たため、颯愛さんは運よく繰り上げで合格できました。
繰り上げでの合格が発表されたのは1月16日、颯愛さんの誕生日で、ゴミ拾いをしていたタイミングだったとか。
受験勉強に加えて、ゴミ拾いという陰徳を積んでいたおかげで、颯愛さんは望む学校に合格できたのかもしれません。
颯愛さんが講演を依頼したゴミ拾い仙人・吉川充秀さん

リユース事業や整骨院などを展開する、株式会社プリマベーラを創業したのが吉川さんです。
全国で51店舗を運営し、年商51億円を超える企業グループを築きました。
2023年に取締役会長へ就任したあとは、ライフワークのごみ拾い活動に専念し、47都道府県でのごみ拾いを達成します。
七大陸制覇を目標に活動を続けており、ゴミ拾い11年目で拾ったゴミの数は、なんと132万個以上。
著書「ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪」では、幸せで上機嫌な生き方の鍵の1つがゴミ拾いであるとして、丁寧に解説されています。

講演では、上機嫌にゴミ拾いをするポイントや、ゴミ拾いをする中で起こったステキなエピソードなどが紹介されました。
「今の日本には、自分のことを好きになれないという子どもたちが多い。しかし、ゴミ拾いをすることで解決できるかもしれない」と吉川さんはいいます。
颯愛さんのように、ゴミ拾いなどのボランティアをする人は、自己肯定感が高い傾向にあるため。
ゴミ拾いをしながら世界中を旅する中で、吉川さんは国や宗教に関係なく、多くの方に褒められることを体験したそうです。
「こんなに人に感動していただけたり喜んでいただけたりすると、自分ってなんてステキなんだろうと、自分に感動できる」と吉川さんはいいます。

ゴミ拾いが人の心に働きかけるといった事例も紹介されました。
講演会の当日、吉川さんと颯愛さんが二人でゴミ拾いをしているとき、何台もの車が前を通ったそうです。
「小学生から中学校の子がゴミ拾いをしていて偉いな、 ゴミを捨てないようにしないといけないなと思う方もいるのでは」と吉川さん。
吉川さんの講演に参加したことがきっかけで、人生観が180度変わった方もいるのではないかと感じました。
吉川さんからのギフト【 ゴミ拾いの島・SUOU OOSHIMA】?

講演会の最後には、吉川さんから「ゴミ拾いの町orゴミ拾いの島、周防大島町として徹底してはどうか」という驚きの提案がありました。
周防大島町の人口は約13,000人で、約1割の方がゴミ拾いをするとゴミがなくなるため、ゴミ拾いの町としてブランディングできるそうです。
町民の方に1万本のトングを配布したり、ごみ箱の数を増やしたりすることで、日常的にゴミ拾いをする文化を作れるのではないかと吉川さんはいいます。

例えば、トングを入れる袋を肩からかけてごみ拾いをすると、西洋人からは「侍のいる島がまだ日本にあった」と注目を集められます。
住民の方は「こんなにステキな町は自分たちの住んでいる場所以外にない」と感じられるため、自己肯定感を上げる効果が期待できます。

ごみ拾いをする住民の方の姿は人の心を打つため、「世界で1番美しい心を持つ人の住む町が周防大島町」になる可能性も。
「地方自治体で世界ナンバーワン・オンリーワンのSUOU OOSHIMA」
ゴミ拾いで地球に魔法がかかるかもしれないという、誰も思いつかないアイディアが提供されました。
度肝を抜くアイディアに、会場からは感嘆の声があがりました。
当日は議員さんや学校の先生などが出席していたため、実現する日は近いかも知れません。
講演後は「ゴミュニケーション」へ参加

吉川さんの講演会のあとは、ゴミ拾いをしながら参加者同士でのコミュニケーションを図る「ゴミュニケーション」が開催されました。
大人から幼稚園児まで、講演会の会場付近で一斉にゴミ拾いを開始します。
吉川さんから「ゴミ捨て禁止の看板の近くはゴミが多い」など、有益なアドバイスを受けながら、楽しくゴミ拾いをしました。

特に、鬼ごっこなどで遊んでいるときのように楽しそうにゴミ拾いをする子どもたちが印象的でした。
上機嫌になるためのゴミ拾いなどを通し、大人が幸せに生きる姿勢を見せるのが、次世代へ希望を与えることになるのかもしれません。
ゴミ拾い仙人・吉川充秀さんの基本情報

ゴミ拾い仙人としての活動のほか、「幸福の専門家」や「年商51億円企業の会長」などの顔も持つ吉川さん。
著書「ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪」のほか、ビジネスや人生をよりよくするための動画や書籍などが多数あります。
吉川さんが世界でゴミ拾いをする様子や幸福に生きるコツなどは、ブログで見られます。
颯愛さんの行動が人の心を動かす

講演会に参加しており、小さい頃から颯愛さんのことを知る女性は「颯愛くんの最初の挨拶で何人も号泣していた」と感動していました。
本気で行動すると、世界を変えられると改めて学ばせてもらいました。
颯愛さんがきっかけとなり、周防大島で吉川さんの講演会を開催したことで、町民の方の心に新たな希望の灯がともったことでしょう。

吉川さんが提唱する「ゴミ拾いの島・SUOU OOSHIMA」は数年後に実現しているかも知れません。
後編では、颯愛さんと颯愛さんの父・隆史さん、母・亜裕美さんへインタビューした模樣をお伝えします。
お楽しみに♪