なんばから電車で30分ほどのところにある、河内長野市。約9万6000人が暮らすこのまちでは、自然と都会がほどよく調和し、おだやかな雰囲気が流れています。

南海高野線「千代田駅」を出て、貴望ヶ丘交差点を右折し、坂道をぐっと北上。隣の市である大阪狭山との境に近づいていくと、オレンジ色の旗が目に留まります。

「ランチ」と大きく書かれたそこにあるのは、2013年にオープンした「カフェとランチきぼう」(以下:きぼう)。週3日限定営業で、からだにやさしい月替わりランチを提供しています。
今回お話をお聞きしたのは、きぼうでオーナーを務める北川さん。「ゆくゆくは河内長野に住んでもええなぁ」と思うほど、地域への愛を抱いています。

とはいえ、北川さんの自宅は、きぼうから車で20分ほど離れた堺市。なぜ、あえて居住地ではない河内長野で、お店を開くことを決めたのでしょうか。これまでのお話を辿りながら、じっくりと伺いました。
「最初は、カツのお店だったんです」思い切った方向転換が、月替わりランチのはじまりに
きぼうで提供しているのは、月替わりランチ(1,500円)。彩り豊かな品々は、すべて北川さんご自身が考案したものです。毎月はじめには、ラインナップをInstagramに欠かさず投稿しています。

メニューを考えるうえで大切にしているのは、失われつつある昔ながらの献立を入れること。蕪蒸しや煮物など、ひと手間加えるのが必要な料理を積極的に取り入れ、やさしい味わいに仕上げています。
今では月替わりランチのお店として定着していますが、開店したばかりの頃はまったく違っていたそう。きぼうが誕生した当時は、隣の市で栄えている飲食店を参考に、チキンカツとエビフライを中心に提供していました。
けれども、半年ほど運営を続けたのち、北川さんはあることに気づきます。
「ずっと同じものを出し続けることも魅力的ではあるけれど、お客さんから『またこれか~』と言われることもあって、客足が遠のいてしまったんです。晩ご飯の献立がいつも同じだったら、飽きてしまうでしょう。それと同じだ、ってね」
いつも同じものが食べられるという安心感がある一方で、新鮮さに欠けてしまう。ならば「いつ来てもたのしめるものを」と、月替わりランチのお店に舵を切ることを決意。以来、旬のものを活かしたオリジナルメニューを作り続けています。

とはいえ、1ヶ月は長くてたったの31日。さらに、きぼうは週3日営業。考案したランチが日の目を浴びても、あっという間に次のラインナップへ切り替わります。
毎月メニューを考案し続けるのは簡単ではありません。とはいえ「献立を考えているときはたのしいですよ。家にいてもテレビばっかり見てしまうから」と北川さんは微笑みます。

とにかく食が大好きな北川さん。定休日には毎日のように飲食店めぐりをしており、近隣のお店はもちろん、大阪市内や、さらには京都まで足を運ぶこともあります。
出先で「このメニュー、いいな」と感じたものは、自店にもそっと取り入れていく。北川さんにとっての外食は、趣味であり、お店を育てる情報収集の場でもあります。
きぼうの店内にはグルメ雑誌がずらりと並んでおり、北川さんは「そういえば、あのお店はこの本に載っていてね〜」とおだやかに話します。
Googleマップでお店を見つけては、訪れ、開拓し続ける。その探求心は、北川さんを、そしてきぼうを動かすエネルギーになっています。
自然も、アクセスも、ほどよくてちょうどいい。改めて感じる「第二の拠点」のいいところ
「食べるのはもちろん好き。けれど、それ以上に、作るのが好き」と、取材中何度も繰り返していた北川さん。いつか自分のお店ができたらいいなと漠然と考えていたそうです。
転機となったのは、ある日、河内長野でドライブをしていたときのこと。当時、きぼうが建っている場所は更地で、購入者募集の看板が立っていました。
車で偶然近くを通った北川さん。辺りを見渡すと、バス停が近くにあり、駅や近隣へのアクセスもさほど不便ではない。「ここなら、ちょうどいい」と考え、思い切って土地を買うことにしました。
北川さんは「河内長野に決めたのは、たまたまでしたね」と言いつつ、お話を聞いていると、まるで引き寄せられた出会いのようにも感じられます。
山が近くて、緑豊かな風景がすぐ近くに広がっている。そして、電車に乗れば、なんばまで1本でアクセスできる。自然と都会が融合した「ほどよい田舎」であるところが北川さんのお気に入りです。

「等身大に歩み続ければ、なるようになっていく」ヒントはお客さんが教えてくれた
きぼうを運営するにあたって大切にしているのは、お客さんの声に耳を傾けること。小さな会話からヒントを受け、お店づくりに活かしていることがあるといいます。
そのひとつが、河内長野のポータルサイト「Tsunagaru かわちながの」(運営:河内長野市商店連合会)への登録。市内のお店やイベント情報が並んでおり、公式LINEを追加すれば、地域の情報が定期的に流れてきます。
載せるきっかけとなったのは、お客さんのふとしたひとこと。「ここのお店って、なんであのサイトに載ってへんの~?」と、不思議そうに声をかけてくださる方がいらっしゃいました。
ウェブサイトの存在自体はかねてから知っていた北川さん。情報収集を兼ねて登録そのものはしていましたが、お客さんに教えてもらいながらお店の情報を掲載することに。
現在では、サイトの公式LINEからも、きぼうのランチメニューが発信されています。


お客さんとまっすぐに対話し、メニューや宣伝に取り入れていく。北川さんは「これというでっかいことは定めていないけれど、つまりはなるようにしかならんからね」と、等身大のあたたかな笑みを浮かべます。
お店を開いて好きになった、第二の拠点・河内長野。ほっこり安らげる場を目指して、今日もお店に明かりを灯しています。
毎月のたのしみに、ふらっと訪れたいお店です。

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものです。
店舗情報
店名:カフェとランチきぼう
住所:〒586-0091 大阪府河内長野市北貴望ヶ丘36-4
※駐車場 有。満車時は近隣の「青空駐車場」へも駐車可。
営業日:木・金・土曜日
営業時間:11:00~16:00
電話番号:0721-21-4972
Instagram:@cafe_lunch_kibou
アクセス
南海高野線「千代田駅」より徒歩17分
南海バス「貴望ヶ丘」より徒歩2分



