地域創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地域創生メディア

フード  |    2026.06.02

【河内長野市】築400年の古民家がカフェに。天見に秘められた行楽地としての可能性を紐解いていく|山川草膳 久右衛門

南海高野線なんば駅から急行に揺られること40分。大阪府の南東の端、河内長野市に到着します。大阪市内まで乗り換え1本でアクセスできる利便性を有しながら、市の7割を森林が占めるのどかなまちです。

大阪府の地図(Map-It マップ・イット(c))赤い部分が河内長野市
河内長野市の中心駅「河内長野駅」周辺の様子

同市の中心駅「河内長野駅」を過ぎ、千早口のトンネルを越えると、これまでの街並みから雰囲気がガラリと一変。山の緑をぐっと間近に感じられ、大阪府の隠れた一面を発見したような新鮮さがあります。

南海高野線「天見駅」周辺の様子

和歌山県との県境、紀見峠の近くにある天見(あまみ)エリアは、70年前までは「天見村」だった地域。村ならではのおだやかな雰囲気が今もなお流れています。

今回尋ねたのは、天見駅から徒歩10分ほどのところにあり、2023年にオープンした古民家カフェ「山川草膳 久右衛門」(以下:久右衛門)。店主の塩山修史さんにお話を伺いました。

河内長野のなかでも穴場エリアである天見。塩山さんは「観光業をしている僕らからしたら、天見はこのうえない環境。大きな可能性を秘めているんです」と話します。

天見が持っている観光の可能性とは、どんなところにあるのでしょうか。塩山さんの描いていきたい未来のお話とともに、じっくり紐解いていきます。

季節のものを、地元のものを。屋号「山川草膳」には、久右衛門の芯が込められている

久右衛門の看板メニューは、月替わりのコース料理。ジビエ肉を用いた「山膳」(4,000円)と、野菜中心の「草膳」(3,000円)の2種類があります。二十四節季にちなんだ季節の野菜を使用しており、月々のラインナップはInstagramにも掲載されています。

2026年4月のお膳(久右衛門Instagramより引用)

久右衛門が大切にしているコンセプトは、屋号にもなっている「山川草膳(さんせんそうぜん)」。地元の農家さんから提供してもらった野菜をもとに、からだやこころにいいものを提供するという意味が込められています。

久右衛門では、料理で使用する野菜をはじめ、デザートで使う練乳までも手づくり。さらに、店内で活けているテーブルフラワーも、お店で摘んできた等身大のものが使われており、「久右衛門ならではのトーンアンドマナーだね」と好評をいただくこともあります。

店内で活けている梅も、お店の近くで摘花したもの(塩山さんご提供)

かつて住まいが息づいていた久右衛門。視野に入れた事業展開にピタリとはまった館

久右衛門の前身は、古民家である旧中村家邸宅。築400年の歴史を誇るこの建物には、かつて一家の暮らしが息づいていました。しかし、住み手の独立や高齢化にともない、住まいとしての機能に終止符を打ちました。

古民家カフェとして生まれ変わったきっかけは、久右衛門から徒歩10分ほどのところにある温泉宿「あまみ温泉 南天苑」(以下:南天苑)。ここでは、塩山さんのおじ様が店主を務められています。

河内長野屈指の温泉宿「あまみ温泉 南天苑」

当時、南天苑では、事業拡大のために別邸を作ることを視野に入れていました。住み手のいない館と、第二の場所を探していた南天苑。双方のベクトルがぴたっとハマり、久右衛門が誕生します。

「この館ありきの久右衛門ですね」と塩山さんが話すとおり、久右衛門のアイデンティティを象徴する大切な存在になっています。

天見を理想の行楽地に。心地いいアナログとともに未来を彩っていく

塩山さんに今後の目標を尋ねると、「かつて父が描いていた夢を実現したい」といいます。それは、天見を理想の行楽地にすること。久右衛門の開店は、その第一弾でもありました。

次の一歩として進んでいるのが、久右衛門の納屋を活かした図書館をつくる構想。すでに図書館の名前を「半日暇文庫(はんにちかんぶんこ)」にすることも決まっています。

若い頃、喫茶店で珈琲を片手にまったり本の世界に浸ることが多かったという塩山さん。「天見の自然を眺めてお茶を飲みながら、本を片手にゆったりできたら、素敵だなぁと思うんです」とおだやかに語ります。

河内長野のなかでも、とりわけ昔ながらの原風景が広がっている天見地区。都会か田舎かと問われると後者でありながら、なんばまでは乗り換えなしで40分でアクセスでき、さらには急行電車も停まります。

「山の中のエリアですし、田舎の要素がたっぷりありますけれど、まちの機能も有している。観光業をしている私たちからしたら申し分のない環境ですよ」と頬を緩ませます。

現在、高齢化の進む天見では、すでに空いてしまった古民家をいくつか抱えています。久右衛門がそうであったように、かつての住まいに息を吹き込んでいけば、地域活性へきっと貢献できる。

「例えば、近辺にお土産屋さんがあったり、ワークショップができるスペースがあったり。『行ってみたいと思える理由』を創造していきたいんです」と夢を膨らませます。

交通の利便性を兼ね備えながら、田舎ならではのゆったりとした時間の流れる天見。デジタル化がどれだけ進んだとしても、アナログならではの心地よさは途絶えることがありません。

観光としての可能性を秘めた天見。かつて描いた理想の行楽地は、そう遠くない日に実現することでしょう。

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものです。

店舗情報

店名:山川草膳 久右衛門

住所:大阪府河内長野市天見346

※駐車場 10台以上 有

定休日:水曜日

営業時間:11:00~17:00(ランチL.O. 14:00)

電話番号:0721-69-9238

Instagram:@q_emon23321

アクセス

南海高野線「天見駅」より徒歩12分

記事をシェアする

この記事を書いた人

AZU

大阪府河内長野市出身・在住のアラサー。「大阪(の田舎)生まれ」をアイデンティティとし、あえて地元をめぐる【ジモ旅】が好き。大阪(南河内)和歌山(橋本)を中心に、学生時代を過ごした京都でも活動しています。本業は学校職員。

関連記事