和歌山県橋本市で特に大きいバスロータリーを有する、南海高野線「林間田園都市駅」。
バスを待っていると、遠くから見ても目に留まるほど鮮やかな広告を載せた車輌が近づいてきます。
大きな広告に描かれているのは、橋本市ご当地グルメ「はしもとオムレツ」の公式キャラクター「オムピッピ」。
周りには認定店がずらりと書かれており、「待っているよ〜」と言わんばかりに満面の笑みを浮かべ、ピースしている様子がなんとも微笑ましいです。

南海りんかんバスで揺られること約20分。なだらかな坂の中腹に、同じくオムピッピの描かれたのぼりが目に留まります。
中華料理店「菜々飯(ななはん)」。ここもまた、はしもとオムレツ認定店のひとつです。


はしもとオムレツとは、橋本市が県内鶏卵生産量が1位を占めていることから始まったご当地グルメ。
菜々飯では、「オムレツ春巻き」を認定メニューとして登録しています。

他では見かけないオリジナルの品は、2代目店主、鈴木建さんによるアイデア。穏やかな雰囲気をまとう鈴木さんは、これまで中華料理と20年近くともに歩んできました。

2016年から始まったはしもとオムレツに、初年度から参加している菜々飯。とはいえ、参加し始めた当時は、意外にも、春巻きとのコラボレーションではなかったのだといいます。

中華料理ならではの春巻きと、洋食をイメージするオムレツ。「オムレツ春巻き」と検索しても、他店での提供を見かけることはなかなかありません。ユニークな掛け合わせのヒントはどこから得たのでしょうか。
サクふわの二重奏がたまらないオムレツ春巻き。驚きのふわふわ食感に思わず二度見
菜々飯オリジナルメニューである「オムレツ春巻き」は、見た目は馴染みのある春巻きそのもの。けれども、断面からひょっこりオムレツが顔を出し、頂く前からわくわくが止まりません。
春巻きにすっと箸を通すと、サクッと切れる春巻き。中にはオムレツに加えて、橋本市産のトマト、白ネギを使用。
さくさくと噛み続けていると、トマトのほのかな酸味と、ネギの食感、そして、ふんわり柔らかいエビのうまみを確かに感じます。
そして、特筆すべきは、スフレのようにほどけていくオムレツ。
オムレツを春巻きの皮に包んで揚げているのに、「こんなになめらかなのか!」と思わず二度見してしまうほどの口当たり。
「ふわふわ食感は腕の見せ所。テクニックは企業秘密ですね」と鈴木さんはにこりと笑います。

オムレツの両サイドに添えられているソースは2種類。それぞれ、粒マスタード入りのオーロラソース(上記写真右側)と、ガーリック風味の甘酢ソース(左側)の2種類です。
たまごといえば、スクランブルエッグなどにかけられているケチャップ。中華料理店でエビと合わせるとしたら、マヨネーズ…。
そこから派生して、提供を始めたばかりの頃は、初めはオーロラソースを別添えで出していました。
次第に「せっかくやったら、もうひとつやってみたいなぁ」と発想をふくらませた鈴木さんは、「甘酢とも合うかも」と試作。思い立って作ってみるとばっちりマッチし、2種類の提供を始めます。
甘酢ソースには自家製のにんにくも使用し、オムレツにコクをプラスします。

すっきりした後味の甘酢ソースと、オムレツの旨みをぐっと引き出す、胡椒の効いたオーロラソース。
ソースが残るのが惜しくて、春巻きの断面でくいっと拭う瞬間もまたたまりません。
誰も思いつかないひねりがミソ。「おもしろいこと」で地域に元気を灯す
2016年から始まったはしもとオムレツに、初年度から参加している菜々飯。
しかし、当初提供していたメニューは、今のオムレツ春巻きとは全く違っていたそう。
当時は、エビチリと掛け合わせた「エビチリオムレツ」を登録していました。

オムレツの黄色と、エビチリの赤とで見栄えのいいビジュアル。
しかし、オムレツ春巻きに舵を切ったのは、「もっとおもしろいことをやってみたい」という鈴木さんの探究心でした。
「エビチリオムレツって、名前を聞いただけで味が想像できてしまうでしょ」と鈴木さん。
簡単に想像できるメニューは、他のお店でもよく見かける。だったら、うちにしかできない「おもしろいこと」をどんどん取り入れていこう。
そうして、ある日食べたたまごサンドをヒントに「これ、春巻きでやってみたらうまいんとちゃうか」とひらめきます。
パンの代わりに春巻きでオムレツを包んで揚げてみると「これ、ええやん!」と成功。こうして、菜々飯ならではのオムレツ春巻きが実現しました。

普段中華料理で用いる鍋は大きく、一気に火力を加えて固める料理を得意とします。
そのため、火を弱めた状態でじっくり熱を通していくのは至難の業。
「中華鍋でのオムレツ作りは難しいんです。だから、オムレツを作るって決めてからめっちゃ練習しましたよ」と当時を懐かしく振り返ります。

「流行りもんは取り入れて柔軟に。おもしろいのがあったらどんどんチャレンジしていきたい」と、鈴木さんは控えめにかつパワーを込めて話します。
美味しさは大前提として、どこに行ってもよく見かけるものより、ちょっと斬新なことをしてみたい。
誰もが考えつくことは、すでに使い回されている。だからこそ、他にはない一捻りを積極的に取り入れてきました。
「おもしろいこと」で橋本市を元気に。鈴木さんの挑戦は、まだまだ続きます。

店舗情報
店名:中華料理 菜々飯
住所:和歌山県橋本市紀ノ光台2丁目11-2
定休日:木曜日
営業時間:11:00~21:00(L.O.20:30)
電話番号:0736-36-2157
Facebook:@nanahan750
アクセス
橋本東ICより北へ車で約5分
南海りんかんバス「紀ノ光台南」より徒歩約5分



