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フード  |    2026.08.07

【はしもとオムレツ】中華料理店でオムレツ提供。趣味全開の自店で独自の世界観を実現する|中華料理+やきとり きりん

まだ空に明るみを帯びる17時。南海高野線「御幸辻駅」で電車を降り、細い坂道をしばらく下っていくと、大人な雰囲気の漂う居酒屋「中華料理+やきとり きりん」(以下:きりん)に到着しました。

扉をぐいと押して中に入ると、濃い茶色を基調とした店内に、ずらりと並ぶ古着やステッカー。異空間に迷い込んだかと錯覚するも、ずらりと掛けられている古着の合間から覗くカウンターに、居酒屋へ来たことをじんわりと実感します。

店内で静かに漂っている、きりん独特のディープな雰囲気。ノンアル体質の筆者は「(きりんみたいな)大人な空間でお酒を嗜めたら格好いいだろうな」と想像しながら、くいとお冷に手を伸ばしました。

きりんは、和歌山県橋本市のご当地グルメ「はしもとオムレツ」認定店のひとつ。2026年6月現在、橋本市学校給食センターを含む15店舗が認定されています。

一般的には洋食に類されるオムレツですが、和洋中のレパートリーはお店ごとにさまざま。実際、15店舗のうち3店舗は、中華料理店が名を並べています。

きりんが提供しているはしもとオムレツ「ふわふわ玉子のXO醤オムレツ」(税別¥700)

2016年から始まったはしもとオムレツに、初年度から参加しているきりん。店長の瀬川大輔さんは「基本、お誘いの声がかかったら、積極的に乗っかっているんです」と、橋本市役所からの打診を二つ返事で承諾したといいます。

とはいえ、「オムレツって『おかんの手料理』みたいなイメージがあって、自分から作ったことはなかったんです」と当時を振り返る瀬川さん。中華料理店ならではのオムレツは、どのようなところから発想を得たのでしょうか。

中華料理ならではのエビ玉やカニ玉を参考に。修行時代に使っていた「XO醤」で深みある味わいを創出

オムレツ作りにあたりヒントにしたのは、中華料理店でおなじみのエビ玉やカニ玉。

「天津飯にかかっているたまごみたいな感じで、オムレツに餡をかけたらいいんじゃないか」とひらめき、考案に取りかかりました。

はしもとオムレツの定義は、橋本産のたまごと、地元で採れた農産物が使われていること。当初は、特産品のひとつ「恋野マッシュルーム」を餡と絡めて提供していました。

現在は、マッシュルーム生産量の減少を踏まえ、産直広場で販売されているしめじへ変更。夏には産直販売で購入したズッキーニを入れることもあり、「市内産の野菜はなにかしら入れるようにしているんですよ」と瀬川さんは話します。

もうひとつ、瀬川さんがオムレツに込めたこだわりは「XO醤(エックス オー ジャン)」を用いること。

XO醤とは、干しエビや貝柱などを合わせた調味料です。高級中華店では、炒め物などに使われています。

かつて瀬川さんが中華料理店で修行していたときも使っていたXO醤。「卵にも合うやろうな」とオムレツに組み合わせてみると、瀬川さんの想像通りばっちりマッチ。

海鮮のうまみを抽出したXO醤のコクは、きりん独自のオムレツに欠かせない味わいを担っています。

ひとくちオムレツを食べると、しっかり火の通った固焼きのオムレツに、細かく刻んだ貝柱やエビなどのプチプチとした食感。

噛み続けていると、濃厚なXO醤のコクに加えて、きのこや貝柱から出た旨味を次々に感じます。大人な味わいが何層にも重なり合い、食べ終わった後もしばし余韻に浸っていました。

「メニューにある、酢豚、エビチリに並んで、オムレツ、みたいな感じかな。毎回注文される常連の方もおられるんですよ」と瀬川さんは微笑みます。

料理の道の原点は、アルバイト先の店長への憧れ。地元で設けた自店は「趣味全開」の空間に

瀬川さんがお店を始めたのは2003年。料理の道に進んだ原点は、工業高校在学中にしていた中華料理店でのアルバイトに遡ります。

当時羽振りをきかせていた店長に「かっこいい!」と憧れを抱き、調理の専門学校へ進学。卒業後は、四川料理店で3年間、修行を重ねました。

その後、怪我で退職するも、知人の焼き鳥屋をアルバイトで手伝い、御幸辻で自店を創業。「自分の趣味を全開にしているんです」と、壁には絵を飾るように古着がずらりと掛けられています。

「料理は、仕事ではあるけれど趣味で、古着の収集も趣味。同じ古着って1枚もなくて、趣を感じるんです」と、店内には瀬川さんの世界観が満載。「いつかはここ(きりん)で古着のポップアップもやってみたい」と夢を語ります。

取材当日も「この服、18歳のときから着てるねん~」と、誇らしげにお話される姿が印象に残りました。

顔の見えるまちだからこそ、同業も仲間。切磋琢磨できる距離の近さが確かに根付いている

生まれも育ちも橋本市の瀬川さん。橋本ならではのオンリーワンをお尋ねすると「うーん、なんやろな~、橋本、好きで住んでいるから、深く考えたことなかったな~」と深く考えます。

しばらくして「あっ」と紡がれた言葉は「どこに行っても顔見知りがいることかな」。

御幸辻駅からの徒歩圏内には、きりんと同じラーメン屋や中華料理店が複数店あります。

仕事帰り、瀬川さんがふと近所のラーメン屋に入ると、「おう~!」と、たまたま近隣店の方と席が隣り合うこともあるのだとか。

「(お店に入ったら)『近隣店の店長、みんなおる!』ってなることも珍しくないんです」と瀬川さんは笑います。

飲食店は、いわば同業。けれど、みんなで切磋琢磨していく関係性が根付いている。「ちっちゃいまちだからこそ、距離の近さは確実にありますね」と瀬川さんはうなづきます。

互いの顔が見える橋本で、大好きな中華料理を。瀬川さんの「趣味」を目いっぱい詰め込んだきりんで、今日も中華鍋をふるい続けます。

店舗情報

店名:中華料理+やきとり きりん

住所:〒648-0096 和歌山県橋本市御幸辻135-1

定休日:月曜日

営業時間:17:00~23:00

電話番号:0736-32-6808

Instagram:@kirin__2003

ホームページ:こちら

アクセス

南海高野線「御幸辻駅」より徒歩6分

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この記事を書いた人

AZU

大阪府河内長野市出身・在住のアラサー。「大阪(の田舎)生まれ」をアイデンティティとし、あえて地元をめぐる【ジモ旅】が好き。大阪(南河内)和歌山(橋本)を中心に活動しています。本業は学校職員。

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