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フード  |    2026.06.22

【はしもとオムレツ】老舗の喫茶店からクレープ店へ。第1号の認定店が振り返る軌跡|marron café

和歌山県北東端に位置する「橋本市」。大阪・奈良との県境に位置する同市は、鶏卵の生産量が県内ナンバーワン。市内のたまごを使ったご当地グルメ「はしもとオムレツ」は2016年に始まり、今年で10周年を迎えます。

2026年5月現在で、認定店は15店舗。その記念すべき1店舗目の認定店は、地元の人に愛されるスーパーマーケットのフードコートにあります。

スーパーセンターオークワ橋本店のフードコートにある、「marron café(マロンカフェ)」(以下:マロンカフェ)。

創業56年目。先代から続く老舗の喫茶店は、とある出来事をきっかけに橋本市初となるクレープ店へ転身。地元のイベントにたびたび屋台出店をし、近年ではキッチンカーにも挑戦しています。

キッチンカー出店の様子。FOOD TRUCK FES 2026にて(2026.5.23)

なぜ、地元の老舗喫茶店が、クレープ店になったのか。そして、ありそうでなかったオムレツクレープ誕生のきっかけには何があったのか。オーナーの土井秀行さん(以下:秀行さん)と、土井千弓さん(以下:千弓さん)にお話を伺いました。

土井秀行さん(左)千弓さん(右)秀行さんは初代和歌山はしもとオムレツ推進協議会長も務められました

ありそうでなかったオムレツクレープ。はしもとオムレツへの登録は即決だった

「橋本のたまごを使ったプロジェクトが行われるらしい」と、新聞の掲載や橋本市役所に勤める知人経由で耳にしていた秀行さん。のちに市役所からの打診を受け、即日で快諾。

「先にはしもとオムレツへの加入を決めてしまったものですから」と、千弓さんは笑います。

マロンカフェが提供するはしもとオムレツは、「オムレツチーズブリュレクレープ」(イートイン682円、テイクアウト670円)。

市内産のたまごを使ったオムレツに、合挽きミンチ、トマト、玉ねぎ。そして、橋本市の特産品のひとつである恋野マッシュルームが詰まっています。

オムレツのうえには、バーナーでとろりと溶かしたチーズ。当時、ご夫婦の息子さんもクレープづくりをしていて、息子さんのお店で人気メニューだったクリームブリュレから着想を得ました。

片手で持つとずっしりと重みを感じるほどボリューミーなクレープ。大きく口を開けてかぶりつくと、もちっとした生地にほのかな甘みが広がります。そこから、ミンチのじゅわっとしたうまみに、ふわふわのオムレツ。クレープ1つで、空腹がしっかり満たされます。

老舗の喫茶店から、橋本市初のクレープ店へ。ある日訪ねた大阪で、ピンチの打開策を得る

マロンカフェは、創業当時は橋本駅前に店舗を構える喫茶店でした。もともとはお父様が運営していて、地元の常連さんを中心に愛されるお店でした。

しかし、月日は流れ、駅前でにぎわっていた飲食店が、1つ、また1つと廃業。常連さんの高齢化も重なり、マロンカフェにピンチの波がじわりと迫っていました。

橋本駅前ロータリー。学習塾などが建つこの一帯も、かつては飲食店がずらりと並んでいました

そんなある日、土井さんご夫婦が大阪・なんば近辺へ出かけたときのこと。心斎橋でたまたまクレープの屋台を見かけ、テイクアウトで購入した土井さん。

ふとクレープの包み紙を見ると「もし興味があったらお問い合わせください」とのひとことが目に留まりました。

秀行さんのモットーは、「考えたら、まずはやってみる」。その決断力が後押しとなり、クレープ店への転身が実現しました。その後、千弓さんは、大阪・淀屋橋のクレープ専門店でアルバイトをし、1ヵ月間、みっちりクレープづくりを習得します。

橋本市から淀屋橋までは、電車を乗り継いで1時間15分。「クレープを包むのって想像以上に難しくて……必死だったけれど、やるしかなかったからね」と当時を振り返る千弓さん。慣れないことが多くとも、お店のためにと手を動かし続けました。

くるくるっと慣れた手つきでクレープを包む千弓さん

その後、1986年に、橋本市で初めてとなるクレープ店として歩み始めたマロンカフェ。当時、地元ではハンバーガー店などのファストフード店はあれど、クレープ店は珍しいものでした。

「クレープの粉を発注した時『数量、誤入力していませんか…?』と発注先から驚かれたこともあるんです」と、千弓さんは当時を懐かしく思い出していました。

目標は「100年愛されるお店」。クレープを焼き続けて見えてきた、橋本の人情味あるあたたかさ

2010年、オークワができると知り、商工会議所に直接問い合わせた秀行さん。フードコートスペースに店舗を移して16年。駅前にお店があった当時から、客層も来訪範囲もぐんと広がりました。

千弓さんに、橋本のよさについて尋ねると、ふと考え込んだ後に「田舎ならではの人情味があるなぁ」と語ります。人間味を感じた瞬間には、クレープにちなんだ興味深いエピソードがあるのだとか。

「都会でクレープを販売していたときは、ほとんどのお客様がご自分のぶんだけを買っていかれました。

対して、橋本でクレープを販売していると、ご自身の分に加えて、ご家族やご近所さんの分も買っていかれる方が多いんです。『近所の○○さんの分も一緒に買っていくわ!』って。

田舎であることへの引け目はなくて、むしろ、ご近所さんとは顔の見える関係性がある。そのあたたかなつながりを感じられるのが、橋本のいいところですね」

マロンカフェからは、地元の高校である和歌山県立橋本高等学校(通称「はしこう」)が徒歩圏内。クレープ店として開業した頃、学校帰りにリピーターとして寄っていた高校生が、今ではお孫さんを連れてこられることも少なくありません。

クレープ生地の食感も、具材のシンプルさも、当時から変わらない昔ながらの味わい。

「マロンカフェの目標は、100年愛されるお店。変わらず続いているからこそのクレープを、ぜひ食べに来てもらいたいですね」千弓さんはあたたかな笑みを浮かべます。

100年目への歩みに向けて、今日も、1枚1枚、丁寧に焼き上げています。

店舗情報

店名:marron café(マロンカフェ)

住所:〒648-0062 和歌山県橋本市妻2丁目2−25
スーパーセンターオークワ橋本店 フードコート内

定休日:不定休(※スーパーセンターオークワ橋本店に準ずる)

営業時間:9:00〜20:00

電話番号:0736-25-6670

Instagram:@marron_cafe_crepe

アクセス

南海高野線、JR和歌山線「橋本駅」より徒歩13分

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この記事を書いた人

AZU

大阪府河内長野市出身・在住のアラサー。「大阪(の田舎)生まれ」をアイデンティティとし、あえて地元をめぐる【ジモ旅】が好き。大阪(南河内)和歌山(橋本)を中心に活動しています。本業は学校職員。

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