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フード  |    2026.03.29

【はしもとオムレツ】に戻ってきた直売所。地域を「たまご」で元気づける源泉を探る|はたごんぼの里 くにぎ広場

和歌山県橋本市のご当地グルメ「はしもとオムレツ」。市内13店舗(※取材時)が登録している認定店に、2025年4月、「はたごんぼの里 くにぎ広場」(以下:くにぎ広場)が戻ってきました。

くにぎ広場のコンセプトは「和歌山・東の玄関口」。果物の名産地である紀の川市までを結ぶ農道「紀の川フルーツライン」の沿線にあり、天気のいい日には橋本市全体が一望。

入り口すぐの直売所には、名産のごぼう「はたごんぼ」をはじめ、市内で育った農産物が販売されています。

さらに、直売所の奥には、イートインスペースも完備しています。はたごんぼを使ったコロッケやかき揚げをはじめ、ほとんどのメニューが1,000円以下とリーズナブル。

なかでも、はしもとオムレツとして登録されている「鹿肉とはたごんぼのハヤシ風オムレツライス」はひときわ目を引きます。

はしもとオムレツの初期メンバーだったくにぎ広場ですが、一時期は登録から離れていたことも。さまざまな葛藤を乗り越え、昨年、再び認定店として歩み始めました。

なぜ、一度は抜けたはしもとオムレツに、もう一度戻ることを決めたのでしょうか。農業組合法人 くにぎ広場の代表理事であり、橋本市議会議員も務める堀内和久さんにお話を伺いました。

堀内和久さん。名産のはたごんぼとともに(堀内さんご提供)

はたごんぼと、鹿肉。「くにぎ広場ならでは」の熟考が詰まっていた

はしもとオムレツは、橋本市産のたまごに加え、地元で育った食材を1つ以上使用することが特徴。堀内さんは「くにぎ広場ならではのものを提供したい」と考え抜き、「はたごんぼ」と「鹿肉」をチョイスします。

「鹿肉とはたごんぼのハヤシ風オムレツライス」1,000円

「はたごんぼ」とは、橋本市西畑地区名産のごぼう。大きさは全長1m、太さは5〜6cmと、圧倒的なインパクトがあります。

江戸時代からごぼうの産地だった橋本市。生産量の減少に伴い一時期は幻とされていましたが、2008年、地域の有志の力により、はたごんぼが復活。くにぎ広場の裏にある広大な畑では、地元の小学生を招いた収穫体験も行われています。

もうひとつ、くにぎ広場のオムレツに欠かせないのは、鹿肉。部位は背中やもも肉を厳選し、オリーブオイルに漬けてジューシーに焼き上げます。

堀内さんは8年前、はたごんぼの土壌を保つために地域の猟友会で活動を開始。「鹿で儲かるというより『はたごんぼの土を守りたい』という想いが大きい」と話します。

オムレツをメインで食べられるよう、ハヤシライスと合わせてボリューミーに。「やるんやったらうまいもんをつくろう」と熟考を重ねて誕生した、とっておきの一皿です。

一度は離れたはしもとオムレツ。心動かされたのは、苦境で歩み続ける養鶏場と、同業の仲間の存在。

はしもとオムレツの取り組みは、2016年より開始。当時、くにぎ広場は、いわゆる初期メンバーとして認定店に名を並べていました。しかし、次第に運営体制などにギャップを感じた堀内さんは、しばらくの間、はしもとオムレツから離れていました。

さらに、コロナ禍の猛威が飲食業界に直撃。個人店の閉店や規模縮小が相次いだ結果、当初22店舗あった認定店は半分以下にまで減少し、はしもとオムレツは活気を失っていました。

けれども、2025年4月、くにぎ広場は再び認定店に戻ることを決断。
「頑張っている人を援護射撃したい」と堀内さんの心が動いたのには、2つの理由があります。

ひとつは、たまごの仕入れ先として欠かせない養鶏場。「僕らの父親世代までは、たしかに『たまごのまち』として根付いていたんです」と話すとおり、かつては橋本市内だけで、20件近くの養鶏場がありました。

しかし、後継者不足や鳥インフルエンザの影響を直に受け、今ではたったの4件にまで激減。養鶏場が崖っぷちに立たされているとき、誰も手を差し伸べられなくて無念だったと振り返ります。

「養鶏場の皆さんは、今でもむっちゃ頑張っていると思う」と、悔しい表情を浮かべながら何度も繰り返す堀内さん。少しでもいいから、橋本のたまごのために貢献したい。そんな想いが湧いてきたそうです。

橋本市内に4件ある養鶏場(和歌山はしもとオムレツ推進協議会「オムピッピニュース」第4号より引用。2026年3月3日閲覧)

堀内さんの背中をさらに押したのは、同業である飲食店の存在。数々のお店の名前を挙げながら、「何かあったら支えあう、友だちのような存在ですから」と誇らしげに語ります。

お互いのお店に顔を出し合うことも少なくなく、それぞれの場所で、仲間が取り組む姿勢に胸を打たれた堀内さん。「この人たちと、もう一度切磋琢磨したい」と、再びはしもとオムレツに戻ることを決意しました。

「橋本のたまご、ええやん!」地元に、未来に、たまごへの愛を灯し続ける

「傍から見たら、たかがたまごかもしれない。でも、『橋本で農業を頑張りたい』『橋本のたまごのブランドを活性化させたい』という人が、100人に1人はいる。だから、その火を消してはいけないんです」

堀内さんに今後の目標を尋ねると「橋本のたまごを広めていきたい。ただその一心」と強調します。大きな成果を残すことよりも、まずは地元で、周りへ、そして、次の世代へ広げていきたいと語ります。

くにぎ広場の皆さんと(前列左から4人目が堀内さん)

「『愛される』と言ってしまえば大層に聞こえるけれど、みんなに『うまい!』と言ってもらえたら、だんだんと周りに定着していくじゃないですか。だから『はしもとオムレツ、ええなぁ!』って伝えていきたいんです」

一時期はぐっと落ち込んだはしもとオムレツ。コロナ禍を乗り越えた今、市も、飲食店も、「もう一度頑張ろうや!」と再奮闘しています。

「市内の一般家庭も、飲食店も、みんなが橋本のたまごを愛する。『メイド・イン・橋本』なんて言えたらかっこええなぁ」と、満面の笑みを浮かべる堀内さん。

地元のため、未来のため、今日もはしもとオムレツへの情熱を灯し続けます。

※商品の価格、情報は、取材時点のものです。

店舗情報

店名:はたごんぼの里 くにぎ広場

住所:〒648-0044 和歌山県橋本市南馬場506-5

定休日:火曜日

※駐車場20台 有

営業時間:9:00〜17:00

電話番号:0736-33-5288

Instagram:@hatagonbo

アクセス

京奈和道 橋本ICより車で10分

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この記事を書いた人

AZU

大阪府河内長野市出身・在住、もうすぐアラサー。「大阪(の田舎)生まれ」をアイデンティティとし、あえて地元をめぐる【ジモ旅】が好き。大阪(南河内)和歌山(橋本)を中心に、学生時代を過ごした京都でも活動しています。本業は学校職員。

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