日本酒を飲むとき、「このお酒は、どんな場所で造られているんだろう」と考えたことはありますか。
私が今回訪れたのは、大阪府河内長野市にある、享保3年(1718年)創業の酒蔵「天野酒(あまのさけ)」です。きっかけは、以前取材でご縁をいただいた「酒のながた」の永田博之さんにお声がけいただき参加した「大阪地酒天満大酒会」で飲んだ天野酒の梅酒でした。
「もう一度飲みたい!」そう思って公式ホームページを見ているうちに、復古酒や酒蔵の歴史、さらには河内長野という街の文化にも興味が広がっていきました。
その話を永田さんにすると、「せっかくなら実際に行ってみよう!」と声をかけていただき、永田さん、大阪地酒天満大酒会のイベントの時にもお会いした木村さんとともに河内長野を訪れることに。調べるうちに、2024年には日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産へ登録され、日本酒文化が世界からも注目を集めていることを知りました。
河内長野で300年以上酒造りを続ける天野酒も、そうした伝統を今に受け継ぐ酒蔵の一つです。
創業300年以上。長い歴史を受け継ぐ酒蔵には、どのような物語があるのでしょうか。
今回は、天野酒の歴史と魅力、そして河内長野という地域とのつながりをご紹介します。

天野酒のルーツ
河内長野市にある酒蔵「西條合資会社」は、享保3年(1718年)創業。現在は「天野酒」の銘柄で知られています。
創業当初から明治末期までは「三木正宗(さんきまさむね)」、大正から昭和にかけては「波之鶴(なみのつる)」という銘柄で酒造りを続けてきました。
昭和46年(1971年)、天野山金剛寺(あまのさんこんごうじ)のご厚意により、かつて寺院で造られていた僧坊酒「天野酒」の呼称を受け継ぐこととなります。
さらに平成3年(1991年)には、天野山金剛寺で造られていた僧坊酒を文献をもとに再現した復古酒「僧坊酒 天野酒」が誕生しました。
300年以上続く酒造りと、歴史ある僧坊酒の文化。その両方を受け継いでいることが、現在の天野酒の大きな特徴です。
河内長野の街並みと天野酒

河内長野駅から歩いて約5分。
駅前の賑わいを抜けると、少しずつ木造の建物が立ち並ぶ歴史ある街並みへと景色が変わっていきます。角を曲がると、そこには昔ながらの町家が並ぶ静かな路地が広がっていました。街を歩いているだけで、時間がゆっくり流れているように感じられます。
その一角に佇むのが、天野酒です。店内へ入ると、天井いっぱいに吊るされた杉玉や、大きな甕が目に飛び込んできます。笑顔で迎えてくださったのは、10代目蔵主・西條陽三さん。店内にはお客様が次々と訪れ、お酒を購入される姿があり、地域に根付いた酒蔵であることが伝わってきました。

店内には、復古酒をはじめ吟醸酒や純米酒、梅酒などさまざまなお酒が並びます。全国新酒鑑評会で受賞した銘柄も取り扱われており、贈答用の商品も充実していました。
「どれを選べばいいかわからない」という人でも、好みに合わせて丁寧に相談に乗ってくださるのも、酒蔵ならではの魅力です。
私も大阪地酒天満大酒会で味わった梅酒と、平成3年に再現された僧坊酒、あま酒サイダー、さらに友人へのお土産として吟醸酒を購入しました。
そのほかにも酒粕入り焼きねぎ味噌や酒粕飴、天野酒限定ストラップなど、お酒以外の商品も充実しています。

店内では「ふみこみ粕」も販売されており、近づくと酒粕のやさしく甘い香りがふわっと漂ってきました。思わず足を止めてしまうほど心地よい香りで、お酒だけではない酒蔵ならではの魅力を感じます。
さらに店内には、歴代の受賞歴や表彰状も数多く飾られており、300年以上積み重ねてきた酒造りの歴史と誇りを感じることができました。

酒造りだけではない天野酒の魅力
天野酒は、お酒を造るだけの酒蔵ではありません。杉玉づくりや「蛍の宴」など地域イベントを開催し、河内長野の魅力を伝える活動にも力を入れています。
また、酒蔵に隣接する食事処「天空」では、地酒とともに大阪の食材を使った料理を楽しむことができ、酒蔵を訪れた人が河内長野という地域をより身近に感じられる場所となっています。
こうした取り組みを通して、お酒だけではなく地域の魅力そのものを伝え続けていることも、天野酒が長く愛される理由の一つなのかもしれません。300年以上続く酒蔵だからこそ、お酒だけではなく地域文化そのものを未来へつないでいるように感じました。
河内長野を訪れたら、天野酒へ
天野酒は、300年以上にわたり河内長野で酒造りを続けてきた酒蔵です。お酒をきっかけに訪れた河内長野でしたが、歴史ある街並みや文化、人とのつながりにも触れることができ、酒蔵だけではない地域の魅力を知ることができました。
「どんな場所で、どんな人が造っているお酒なのか。」
その背景を知って味わう一杯は、きっとこれまでとは違った特別な一杯になるはずです。
河内長野を訪れた際には、ぜひ酒蔵にも足を運び、この土地に受け継がれてきた歴史や文化を感じてみてください。

天野酒蔵元 西條合資会社
住所:大阪府河内長野市長野町12-18
営業時間:10:00~17:00
定休日:1月1日(年始・不定休あり)
TEL:0721-55-1101
FAX:0721-56-1101
最新の情報やお店の詳細は、公式ホームページやInstagramで発信されています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。



