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フード  |    2024.08.03

標高1600mでビールを造る、俺たち全員複業ブルワー 高岡信明さん(八千穂ブリューイング代表取締役)|長野県佐久穂町

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代表取締役・高岡信明さん(左)とヘッドブルワー・名取良輔さん(右)

「私たちの醸造所は、北八ヶ岳の標高1600m八ヶ岳中信高原国定公園にあります。周囲には深く険しい八ヶ岳の山々、高原の澄んだ夜空に映る満点の星、苔の森を潤し湧き出る清冽な水に囲まれています」

ロゴを付したラベルの裏には、こんな言葉ではじまるビール造りを見守る豊かな自然環境が記され、コロナ禍に関係者全員が本業を持ちながら「この環境でビールを造ってみたい」との意欲を持ってスタートし、昨年8月に醸造所をオープン。

今年8月で創業1年を迎える八千穂ブリューイング代表・高岡信明さんにお話を伺いました。

そもそも長野県佐久穂町はどこにある?

佐久穂町は、長野県の東部に位置し、町の中央部を千曲川の清流が南北に貫流し、その沿岸に沿って国道141号とJR小海線が走っています。

下のGoogle Mapsで町の北北東に軽井沢、西南西に諏訪湖があることがわかります。現在は、上信越道佐久小諸JCTから中部縦貫自動車道が開通し、八千穂醸造所へ通じるメルヘン街道に直結した八千穂高原ICから車で16分と、交通至便な場所へと変わりました。

八千穂醸造所はいかにしてこの場所にできたのか?

ーー初めまして。今日はよろしくお願いします。仕事柄JR小海線と並行する国道141号線や中部縦貫自動車道はよく使うのですが、ここへ来たらやはり「上ってきた感」が十分に感じられますね。

(高岡さん)皆さん「こんなところでよくできるね」と不思議に思われています。国定公園の中で建物を建てるのが難しいのをご存じの方なら余計そう思われるのですが、醸造所の建物はもともと30年以上使われていなかったガソリンスタンドを、持ち主である佐久穂町から借りて改修しました。

町の方からは便利な国道に近い場所も紹介されたのですが、この場所を知ってしまったので、ここで造りたいとお願いしたのです。

ーー資材搬入だけでも大変だろうと感じたのですが、そのような経緯があったんですね。

(高岡さん)昔、知人がいた縁で30数年前の当時の八千穂村に学生時代から遊びに来て、家族ができてからはキャンプで来てと、佐久穂の出身ではないけれど長い縁がこの地にあります。

私自身は埼玉県に住みワインのプロモーションが本業で、コロナで仕事が少なくなった時に何かしたいという思いが芽生え、佐久穂町でビールを造ろうと昨年醸造所をオープンさせました。今も本業を終えて週末ここに集まりビールを造り、日曜日が終わると埼玉に戻る生活です。

現在ヘッドブルワーの名取君も含め7人の仲間でやっています。全員本業を持ち、ビール造りの方は生計を立てるためではなく皆好きでやっていて、大変さはあってもリフレッシュしている面が強いと思います。

ーー本業を持ちながら働くと聞くと「副業」という言葉が浮かびますが、埼玉と佐久穂で仕事とライフスタイルの複線化を果たし、仲間の方も含め「複業」と表現されるのがしっくりくるようなお話ですね。

この場所でビールを造った結果

ーー場所が決まり、実際に施設を整え設備を入れて造ったビールはどうでしたか?

(高岡さん)結果としては後付けのプラス要素が多数ありました。具体的には次の特徴があります。

 ■水質が極めて硬度の低い軟水を得られた
 ■周辺に温泉鉱泉がないため地下水へ温泉水の含有がない
 ■標高1600mでは沸点が94℃で水が沸騰する

一般的な定義(WHO世界保健機関の定義=硬度が0~60mg/l 未満を「軟水」)の軟水の中でも、ここは硬度が一桁で更にまろやかに感じます。近くに温泉が湧き出ないので、地下水に温泉水が入ってこない。水に余計な味がしない分、麦芽などのビール原料が上手く溶けてくれます。水質の素直さがよく出たビールだと自負しています。

標高1600mの場所でビールを作るので、煮沸する工程で沸点が低く、ビールを優しく沸騰させることができる長所もここならではだと思いますよ。

酒販店や道の駅で流通する3種類。写真右からいIPA、ペールエール、ピルスナー。2024年GWからはNew England IPAも登場し、フレッシュホップエールと合わせて5種類のラインアップです。

町中や近隣の別荘地から、お客さんがビールを楽しみにやってきます。

標高1600mのビールはあなたにも造れる!!

オリジナルビール造り体験用のミニサイズの醸造プラント(写真中央の2基)

八千穂ブリューイングでは、その場で飲むことができなくても素敵な体験ができるプログラムが用意されています。

(1)オリジナルビールを造ってみませんか?

ひとりでもグループでも本格的なオリジナルビール造りを体験できます
最大 6 名まで参加可能
1 回で約25ℓのビール、330mlビンで約65〜70本を造ることができます
出来上がったビールは、約1か月後にご自宅にお届け
お好きなラベルを用意して貼り付けてください

(2)開催日とスケジュール及び費用

【費用】56,000 円(税別)
【開催日】毎週土曜日曜 各日1 組
【スケジュール】集合10:00の後、
        説明、準備、糖化(昼食休憩)、ろ過、煮沸、冷却
        の工程を経て15:30を目途に終了予定。

(3)申込み上の注意事項について

・事前の予約が必要です。弊社HPの「お問い合わせフォーム」よりお問い合わせください。
・ビールの種類や作業によって出来上がるビールの本数にばらつきがあります。
・未成年者だけでの醸造体験はできません。大人の方の同伴が必要です。
・ビールは生ものです。完成後早いほどおいしく召し上がれます。

さあ、あなたも車を駆って、オートバイに跨って、整備されたメルヘン街道を上って八千穂ブリューイングを訪ねてみませんか。

写真のフレッシュホップエールが、私の一押しになりました。

清冽な水は、タップルームのジャグで確かめることができますよ。

八千穂ブリューイングカンパニー八千穂醸造所の施設情報

アクセス 中部縦貫自動車道八千穂高原ICから車で17分
URL https://yachihobrewing.jp/
〒384-0704 長野県南佐久郡佐久穂町大字八群2049番865
TEL: 0267-78-3417
営業日 金・土・日 
営業時間 毎年GW~11月末 10:00~17:00 
     12月~GW前まで 11:00~16:00

「コッパディ小海」開催地のガトーキングダム小海から車で13分

長野県小海町「酒舗清水屋」からも車で24分

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この記事を書いた人

Kunie

20代で首都圏エリアの情報誌のライターをしていました。その後、一般企業に転職。東京から長野へ移住、単身赴任、親の介護を経て子供の独立を機に退職。地元誌のインタビュー記事を担当させていただいたご縁から、20代から長いトンネルを経て、またライターで働いてみようと日々奮闘中です。

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