「Coffee SCARECROW(コーヒー・スケアクロウ)」は、横浜市泉区中田西にあるカフェ。前編では教師を辞めてカフェを開業するにいたるまでの経緯をお聞きした。
中編では、クラゲがお好きな髙柳さんがお店づくりでこだわった点や、カフェをオープンする際の奥さまの心情などを中心にお伝えしていく。
カフェがお好きな方も、カフェを開業したいという夢がある方も、ぜひ最後まで読んでいってほしい。
クラゲ好きのマスターが行うお店づくり

——お店に飾られてもいますが、髙柳さんはクラゲがお好きなのですか?
「はい、クラゲが好きです。知ってました?クラゲって個体から自分の胞子をポンと海の中に投げて、それが岩について、いくつもの花びらみたいに重なって、パーッと散っていく。その花びら一つひとつがクラゲって」
「私、髙柳なんですけど、生まれ変わったらクラゲになりたいんです。それで、あっちもこっちも髙柳っていう(笑)」
冗談半分に楽しいお話を繰り広げてくれる髙柳さん。クラゲが泳ぐようにふわりと落ち着いたお店の雰囲気も、髙柳さんが意図せずに作り出している空気感なのかもしれない。

——個人的に思ったのですが、クラゲみたいに空間がゆらゆらしているというか、落ち着いた感じがするなと思いました。その辺のお店づくりは、意識されてるのでしょうか?
「それは特にないんですけど、実はクラゲそのものって分類学的にはプランクトンなんですよ、大きいけど」
——え!そうなんですか!
「実は自分で泳げない水中生物をプランクトンって言うんです。大から小まで。クラゲは自力で自分の行きたい方向には泳げないので、そういう意味では自由でいいですよね、この(お店の)空間も」
安定した教師の仕事を辞めてカフェをやるとなった時の奥さまの反応

——奥さまに質問です。ご主人が教師をされていて、ここのお店をやるってなった時、どういった心情でしたか?
奥さま:「あ〜、そうですね…。女子校には男の先生が少ないんですよ。先生って授業してるだけじゃなくて、外交的な仕事も多くあるんですよね。校務分掌って言われるんですけど、他の学校とのこととか、地域との連携とか、防災のことで市役所に行くとか、県の方との仕事とか、そういう仕事が全部回ってくるわけですよ」
「あとは私立だから、塾行って説明したりとか、そういうのまで全部入ってきて。それで授業も持たなければいけなかったので、相当ストレスが溜まってて大変そうだったので『もういいんじゃない?辞めて』っていう感じでした」

——では、カフェをやるってなった時は、嬉しい気持ちのほうが大きかったのでしょうか?
奥さま:「そうですね。もう先生の仕事はいいんじゃないっていう感じで。ずっと前からいずれ先生を辞めたら喫茶店とか、さっき言ったように焼き鳥屋の親父とか、そういうのが定年後のビジョンとしてあったので、もうそろそろいいんじゃないのかな?とは思ってました」
髙柳さん:「最後の3年間は男子校にいたでしょ?そこは男の先生が多くて、専任にならないかって言われてたんだけど『このあと喫茶店やるから』って言ったら、みんないいなって言うんですよ。『じゃあ、やってみたらどうですか?』って言うのですが、 絶対奥さんは許してくれないからできないって男の先生は言ってましたね」
奥さま:「やっぱり先生って、資格があるのである意味ずっと続けられる仕事じゃないですか。安定はするから。他の奥さまたちは続けたほうがいいんじゃないかって言うみたいです」
——多くの方は「わざわざ危ない橋を渡りに行かないで」って言いますよね。 そういう意味ではすごい寛容だったのですね。
髙柳さん:「この店をやれてるのは、カミさんのおかげです。私はコーヒーを淹れることしか考えてなかったですし。スイーツだって、最初はスーパーで買った冷凍のものを出せばいいやって言ったら、すっごく怒られて、私が作るからって言ってくれて」

今では多くのスイーツが奥さまの手作りによって誕生し、子どもから大人まで地元の人々を魅了している。その甘くもスッキリとした後味がコーヒーとの相性を抜群にし、至福のひとときを演出するのだ。
コーヒーを淹れることしか頭になかった髙柳さんからすると、奥さまの力はやはり偉大なのだろう。
ところで「Coffee SCARECROW(コーヒー・スケアクロウ)」には、コーヒーとスイーツの他に名物的食べ物が存在する。
それが“焼きうどん”だ。喫茶店にしては珍しい味の種類もあるため、後編では焼きうどんについて語っていただくことにしよう。

「Coffee SCARECROW(コーヒー・スケアクロウ)」
〒245-0015
神奈川県横浜市泉区中田西2-28-63
電話番号:045-801-6740