神戸といえば、港町の風情や洋館の街並みが思い浮かびますが、実は「日本酒の聖地」としても知られています。そんな神戸の灘地区にある「沢の鶴資料館」は、酒造りの歴史と職人の技に触れられる、神戸ならではの魅力が詰まったスポットです。
日本有数の酒どころとして知られている「灘五郷」の一角「西郷」に位置する、「沢の鶴資料館」をご紹介します。
神戸市灘区の静かな住宅街の中にある白壁の蔵造りの建物が目印
「沢の鶴資料館」は大阪方面から行く場合、JR神戸線または阪神電車を利用するのが一般的です。JRの場合は「摩耶駅」で下車、阪神電車なら「大石駅」が最寄りです。特に阪神「大石駅」からのルートはわかりやすいのでお勧めです。

駅を出て都賀川沿いに南へ進み、高速の高架下を越えて住宅街を抜けたところにある白壁の蔵造りの建物が「沢の鶴資料館」です。地域と共に発展してきたため、住宅街の中にぽつんとあります。
館内は2階建て 実際に使われていた酒造道具を展示
「沢の鶴資料館」は江戸時代から続く老舗酒蔵「沢の鶴」が、昭和53年に実際に使っていた酒蔵を古い酒蔵の形態を残して修理し、民俗文化財の資料館として公開しました。阪神大震災の際に倒壊したのですが、助成金によって再建しました。館内には当時に実際に使われていた酒造道具や蔵での生活を展示していて、まるでタイムスリップしたかのような体験が味わえます。

こちらが入り口です。酒樽がたくさん積みあがっていて、かっての繁栄を感じさせます。館内は静かで落ち着いた雰囲気ながら、展示は見応えたっぷり。酒造りの工程を学びながら、職人のこだわりや酒文化の奥深さに触れることができます。しかも入館は無料。神戸観光の合間にふらりと立ち寄れる気軽さも嬉しいポイントです。

館内は2階建てで、順路に従って1階から見学を始めます。まずは酒造りの工程を紹介する展示があり、精米、洗米、蒸し、麹づくり、発酵、搾りといった工程が、実際に使われていた道具とともに丁寧に解説されています。中でも目を引いたのは、巨大な木桶と櫂棒。職人たちはこれを使ってもろみをかき混ぜていたとは、酒造りの重労働さがわかります。

木桶は迫力を感じる大きさ。その昔からお酒が漏れ出さない木桶の技術があったということが驚きです。
2階に上がると、沢の鶴の歴史を辿る展示が広がっています。300年以上の歴史を持つ老舗酒造の歩みが、古文書や写真、当時の広告などを通して紹介されています。

こちらはお酒のラベルです。様々なデザインがあって、歴史の重さを感じさせます。

こちらは樽廻船です。江戸にお酒を送っていたそうですが、当時はこのように船に積んで運んでいたのですね。江戸でも灘のお酒は人気があったのでしょう。酒樽の数の多さにびっくりです。
ミュージアムショップではここでしか買えないプレミアムも

見学を終えた後は、併設のショップへ。ここでは沢の鶴の各種銘柄が購入できるほか、酒粕を使ったスイーツやお酒によく合うおつまみなどもあります。ここでしか手に入らない限定のお酒やスイーツもありますよ。

お店のお勧めは「純米大吟醸 瑞兆」。お酒の試飲も行っているので、気軽に試してみるのもお勧めです。
「沢の鶴資料館」はいかがでしたか?「沢の鶴資料館」は、単なる酒造の展示施設ではなく、お酒という文化を通して、当時の灘の暮らしや歴史、そして職人の魂に触れることができる場所です。神戸の歴史と文化を深く知りたい方、日本酒に興味がある方はもちろん、ちょっとした非日常を味わいたい方にもおすすめ。「沢の鶴資料館」で、神戸の魅力を再発見してみてください。
「沢の鶴資料館」の詳細情報
住所:神戸市灘区大石南町1-29-1
電話番号:078-882-7788
入館料:無料
休館日:毎週水曜日、盆休み、年末年始
開館時間:午前10時~午後4時
アクセス:阪神大石駅下車 徒歩約10分
車の場合、阪神高速3号線 摩耶料金所より約5分