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スポット  |    2026.05.10

【北九州・小倉】海外16年目の辻利茶舗。伝統を守り、新たな道をひらく老舗の現在地

1860年創業の歴史に培われた品質と、時代に合わせて挑戦を続ける姿勢。北九州・小倉にある辻利茶舗は、伝統と革新を行き来しながらお茶の可能性を広げ続けています。

伝統を守り、革新を続ける。一見、相反するようにも見えるふたつの姿勢が、ここでは自然に同居しているのが特徴です。

長く小倉の街に根ざしてきた辻利茶舗が、お茶を起点にどのように街との関係を育んできたのか。そして16年目を迎える海外展開と、どう両立できるのか。インバウンド客も多く行き交う北九州空港を後にし、辻利茶舗 京町本店を訪ねました。

辻利茶舗(小倉・福岡)海外展開16年目のお茶・抹茶の老舗

小倉でひらいた「伝統」と「革新」、辻利茶舗の160年

JR小倉駅からほど近く、日本初のアーケード商店街として知られる魚町銀天街。それと交わる京町銀天街の一角に、辻利茶舗の京町本店はあります。

その歩みは、江戸時代・萬延元年(1860年)に京都・宇治で創業した「辻利」にさかのぼります。お茶が隆盛を迎えた明治・大正時代。当時、小倉は九州最大の商都として、官営八幡製鐡所が動き出し、関門海峡を行き交う国際船でにぎわっていました。そんな活気を帯びた小倉に、京都・辻利の九州支店として立ち上げられたのが辻利茶舗です。

京都・辻利の創業者、辻利右衛門は、高級茶の玉露製法を確立したり、密閉できる茶櫃(ちゃびつ)を考案して販路拡大に貢献するなど、お茶の歴史において画期的な功績を残してきた人物でした。

辻利茶舗(小倉・福岡)海外展開16年目のお茶・抹茶の老舗
辻利茶舗のアイコン、茶櫃(ちゃびつ)は店頭でも実際に使われている

その流れを受け継いだ辻利茶舗もまた、お茶という伝統業界に身を置きながら、いち早く新しい挑戦を重ね、可能性を広げてきました。伝統と革新の交わる現在地、それが辻利茶舗の姿でもあります。

全国から集めたお茶にみる、柔軟な発想と受け継がれるもの

店内に入ると、まずお茶の種類に圧倒されます。宇治、八女、嬉野、知覧、静岡など、全国から集められたお茶が並び、好みや用途に合わせて選ぶ楽しさがあります。煎茶や玉露といった正統派に加え、カラフルな小箱や可愛らしい柄の袋に入ったお茶やお菓子も目をひきます。

辻利茶舗(小倉・福岡)海外展開16年目のお茶・抹茶の老舗

華やかなデザイン缶や抹茶かりんとう、季節限定の新茶など、伝統的なものから現代的なものまで種類は豊富。

辻利茶舗(小倉・福岡)海外展開16年目のお茶・抹茶の老舗

こうした品揃えを支えているのが、「産地に縛られない」目利きと「鮮度」へのこだわり。実は、辻利茶舗のある北九州・小倉はお茶の産地ではありません。ですが、逆転の発想をすれば、特定の土地にとらわれず全国各地のお茶に通じることができる。こうした固定観念にとらわれない柔軟な姿勢が、現在の豊富なラインナップにつながっています。

辻利茶舗(小倉・北九州)海外展開16年目のお茶・抹茶の老舗

また、店内には急須や茶器なども充実しており、抹茶椀や香合といった本格的なものから、手に取りやすいお茶缶や割れにくい急須まで幅広く揃います。

小倉のある北九州市ではインバウンド誘致にも力を入れており、近年は海外からの観光客も増加傾向。店内に並ぶカラフルなパッケージや個性のある茶器は、海外向けの手土産としても目をひきそうです。

和紅茶や玄米茶ティーバッグ、お茶専用のポン酢など、さまざまな発想から生まれたラインナップ

ふらりと立ち寄った人から本格的に楽しみたい人まで、ここに来れば自分なりの「お茶のある暮らし」を選べる。そんな感覚になるお店づくりがされています。

ローカルとグローバル、お茶がつなぐ街と人

辻利茶舗はお茶の老舗でありながら、いち早くカフェ業態や抹茶ソフトクリームの提供を始めました。それは単なる新しい試みにとどまらず、お茶を通じた街との関係性の軌跡のようにも見えます。

今回訪れた京町本店の開店は1947年。その後、90年代にカフェが併設され、今では親子三代で通うお客様もいるといいます。辻利茶舗は単なるお茶の販売にとどまらず、この街で暮らす人々の歴史の一部にもなっているようです。

“お抹茶と小倉城もなかセット” 。もなかの味を引き立てるような抹茶が選ばれている

 

辻利茶舗は、京町本店をはじめ、魚町店、小倉城店と小倉では3店舗を展開しています。そのどれもが、小倉の街の要所にあり、街の歴史と人々の暮らしを見つめ続けています。

一方で、いち早く始めた海外展開も16年目を迎え、台湾やシンガポール、イギリス、フランス、カナダなど11の国と地域に40店舗以上を構えます。海外での抹茶人気にも後押しされて、展望はさらに広がります。と同時に、辻利茶舗の地元である、小倉の街を盛り上げるイベントやマーケットなどに積極的な姿勢を続けているのも印象的でした。

また2026年4月には、小倉からほど近い門司港レトロ海峡プラザに新店舗「門司港レトロ店」をオープン。世界へと広がりながらも、ローカルの街にもしっかりと根を張る。その行き来のなかで、辻利茶舗は今日もどこかで人と街をゆるやかにつなぎ続けています。

辻利茶舗 京町本店

福岡県北九州市小倉北区魚町1-2-11   

TEL 093-521-1215 FAX 093-521-1251

営業時間 10:00~18:00(金土日祝は19:00) ※ 喫茶コーナーは11:00より

URL: https://www.tsujiri.co.jp/

Instagram: https://www.instagram.com/tsujiri_japan/

*最新情報は、WebサイトやInstagram等でご確認ください。

 

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この記事を書いた人

夏子

伝統と現代、文化と商業、都市と地域、日本と海外など、異なる視点を行き来しながら地域や人が持つストーリーを読み解くのが好き。これまでに海外3カ国で暮らし、10年以上かけて国内39都道府県を訪ねました。「旅 × 地方創生」をテーマに、地域の文化や暮らしを、広く伝わる価値として綴ります。

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