
名古屋市東山動植物園(千種区)は、1937年に開園した歴史ある施設。約60haの広大な園内に、動物園、植物園、遊園地、東山スカイタワーが広がり、都市の中の憩いの地として長く親しまれてきました。
赤ちゃんから高齢者まで、名古屋の人々はこの場所でそれぞれの思い出を重ねてきました。
動物園には約450種の動物たちが暮らし、植物園では約7,000種の植物を保有するなど、その規模は全国でも有数です。
今回はそんな東山動植物園を、Mediallが掲げる“ナンバーワン”と“オンリーワン”という視点で歩き、90年近く愛され続ける理由を探しました。
飼育種類数日本一の東山で、好きな動物に出会う旅
飼育種類数日本一の東山動植物園は、名実ともに“ナンバーワン”と“オンリーワン”の宝庫。園内を歩けば、多彩な動物たちの暮らしが目に入ります。
日本最大級のアジアゾウ舎「ゾージアム」は、アジアゾウのふるさとであるスリランカをイメージ。広い運動場をゆったりと歩く姿や、砂浴び・水浴びなど、ゾウの暮らしを間近に感じられます。屋内観覧所にはゾウの歴史や生態の展示も並び、学びながら楽しめる必見スポットです。

開園当初からあるライオン舎は、日本初の「檻のない大型肉食獣舎」として知られています。

深いモート(堀)を設けることで実現した「無柵放養式展示」。今ではモートに架けられた橋を渡り、ガラス越しにライオンを観察できるような工夫もされています。

東山動植物園は、1984年に日本で初めてコアラが来園した動物園のひとつ。コアラは2024年の来園者投票で、人気動物のナンバーワンに!

木の上でのんびり休む姿は癒しそのもの。運が良ければ、すばしっこく動く姿も見られます。

コアラに続き、レッサーパンダも人気者。2021年にオープンしたレッサーパンダ舎は、「子どもたちの喜ぶものに役立てて欲しい」という故人の方からの寄附によって整備されました。

子どもたちと来園者に長く愛される東山動植物園らしい、スケールの大きさと温みを感じたエピソードです。
絶滅危惧種を守る東山動植物園の取り組み
東山動植物園では、絶滅危惧種の保全にも力を入れています。園内の約120種以上が絶滅危惧種に該当しており、キリンなど身近な人気動物も含まれるとのこと。
希少な絶滅危惧種だと知ることで、動物の見方が少し変わる気もします。

ツシマヤマネコも絶滅危惧種。国内では長崎県の対馬(つしま)だけに生息する野生のネコです。東山動植物園では他園と協力しながらツシマヤマネコの繁殖にも取り組んでいます。

日本でここだけ“オンリーワン”の動物に会える場所
東山動植物園では、ここにしかいない“オンリーワン”の動物たちにも出会えます。
2024年に来園したコモドオオトカゲは、国内で唯一、東山動植物園だけが飼育展示中。コモドオオトカゲは、コモドドラゴンとも呼ばれる、世界一大きなトカゲです。
「タロウ」を探してみたものの、体の色が周囲に同化していてなかなか姿が見えません……。

ふっと視界の端に入った瞬間、その大きさに思わず息をのみました!

じっと佇む姿も、悠然と動く姿も、どこか愛らしくて見飽きません。

イタチ科のラーテルも日本でここだけ。「世界一怖い物知らずの動物」とギネスブックに認定され、「自分より体の大きな動物にも立ち向かい、襲われても体をひねって反撃する」というから驚きです。

他にもジャングルキャットやアオキコンゴウインコなど、東山動植物園でしか見られない珍しい動物との出会いが待っています。
“世界のメダカ”が集まる、ナンバーワンの水族館
珍しい動物といえば、こちらのユニークなスポットも見逃せません。
「世界のメダカ館」は、日本のメダカを中心に、世界中のメダカや日本産希少淡水魚などを展示するちょっとマニアックな施設。
メダカの飼育種数は日本一どころか世界一。「メダカの全てが理解できる」水族館は、まさに“ナンバーワン”と“オンリーワン”を兼ね備えた存在です。

水辺の生き物が好きな子どもはもちろん、大人も思わず見入ってしまうほどの充実ぶり。

そのほか園内では、夜行性動物、爬虫類、両生類が集まる「自然動物館」や、人と鳥を隔てる柵がないウォーク・イン方式の「バードホール」など、特徴的な展示も楽しめます。多様な展示に触れるほど、東山動植物園ならではの魅力を感じられることでしょう。
「東洋一の水晶宮」に桜や紅葉も楽しめる植物園
東山を味わい尽くすなら、植物園も外せません。春は桜、秋は紅葉が美しく、ライトアップが行われることも。
バラ園やお花畑など、季節ごとに違う景色が楽しめるのも魅力のひとつ。園内には結婚式が挙げられる施設もあり、植物園の緑が家族の門出をやさしく彩ります。

植物園のシンボル的な建物が、国の重要文化財でもある「温室前館」。ガラス葺きの外観が印象的な、国内に現存する最古の公共温室です。

開園当時から園を見守り、「東洋一の水晶宮」と呼ばれた歴史があるといいます。鏡池に映るきらめきが、神秘的な佇まいをいっそう際立たせます。
また、名古屋市出身の植物学者であり日本初の理学博士でもある伊藤圭介(1803~1901)に関する展示や研究も盛んです。資料やゆかりの植物の展示など功績を後世へ伝える取り組みが続けられています。

2026年4月にオープンした「いのちのガーデン」には、伊藤圭介が著した「救荒食物便覧」を参考に、いのちを救う植物が植えられています。
子どもも大人も楽しめる、遊園地のスロープシューター
東山動植物園には、なんと遊園地まで併設されているんです。観覧車やジェットコースターといった定番の乗り物から、ミラーハウスやびっくりハウスなど仕掛けが楽しいアトラクションまでそろっています。

動物園を楽しんだあとに、気軽に寄り道できるのも嬉しいですね。
遊園地の一角にある「スロープシューター」は、動力で乗り物を引き上げ、帰りは坂を下る力だけで戻ってくるという、あまり見かけない仕組みの珍しいアトラクション。

名古屋市の認定地域建造物資産にも指定されており、密かな歴史をもつ存在です。自然動力のスピードと動きを体験すれば子どもの頃のわくわくがよみがえります。
名古屋の日常シーンに出会う旅なら東山動植物園へ
名古屋市東山動植物園は、有名な観光地というよりも、市民や近隣市町の人が気軽に訪れ、親しんできた場所です。
子どものおでかけデビュー、学校遠足、家族でピクニック、デート、三世代の休日など、人生のさまざまな日常シーンに寄り添ってきました。
改めて歩くと、飼育種類数日本一や国内唯一の動物など、随所で”ナンバーワン”と“オンリーワン”に出会えました。何度訪れていても、「こんな一面があったんだ」と気づかされる意外な発見があります。
実は、観光スポットとしての魅力も十分。それでも、地域の日常に溶け込む豊かさこそが、旅で出会う「名古屋らしい魅力」なのかもしれません。

市民がふらりと訪れる東山動植物園で、名古屋の日常風景に触れながら、その広大さと奥深い魅力を味わう旅へ。そんな“名古屋らしい時間”を過ごしてはいかがでしょうか。
施設情報
名称:名古屋市東山動植物園
住所:愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日、年末年始(12/29~1/1)
※ 月曜日が国民の祝日または振替休日の場合は直後の休日でない日が休園日
電話番号:052-782-2111(代表)
アクセス:地下鉄東山線「東山公園」駅下車 3番出口より徒歩3分
地下鉄東山線「星ヶ丘」駅下車 6番出口より徒歩7分



