【前編】でご紹介した、静岡県浜松市の住宅街にある【駄菓子屋 笑話】。
種類豊富な駄菓子やおもちゃが並び、レトロアイテムがディスプレイされた空間で、静岡おでんなどの軽食も楽しめるお店です。
【後編】ではもうひとつの看板メニューと、ご主人である粂田さんの考える、令和だからこそ大切にしたい駄菓子屋さんについてご紹介します。
浜松のご当地グルメ「遠州焼き」
駄菓子屋 笑話で静岡(しぞーか)おでんと同じく看板メニューになっているのが、お好み焼き(遠州焼き)です。
遠州焼きは、浜松市を中心とした静岡県西部のソールフード。
2つ折りや3つ折りで提供される場合が多く、刻んだたくあんが入っているのが特徴です。
ふわふわした生地の中にある、たくあんのコリコリッとした食感が面白くてお箸が止まりません。
「浜松のお客さま、特にご年配の方には注文時、”もちろんたくあんは入っているでしょ?”と必ず確認されます」と粂田さん。
「お持ち帰りも可能ですが、冷めるとどうしてもふわふわ感がなくなってしまうので、店内で食べるのがおすすめです」とのお言葉通り、ぜひお店で独特の食感を味わってもらいたい一品です。
子どもから大人まで会話が弾む場所
駄菓子屋 笑話は、駄菓子や軽食を目当てに子どもはもちろん大人も訪れる人気のお店です。
ご主人の粂田さんに、お店をオープンしてよかったと感じる瞬間についてお伺いしました。
「お店の名前の通り、笑って話をしているお客さまを見たときですね。
お客さまは、子どもだけだったり若者のグループだったり、子連れのファミリーなど、さまざまです。
今ではおじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、子どもたちと三世代で来てくれる方もいます。
家の中では話をしない子どもが、笑話に来ると学校や友達のことをいろいろ喋ってくれると話してくれたお母さんやお父さんもいますよ。
ありがたいという声を聞くと嬉しいですね。お店をやっていてよかったなと感じます」
柔らかな表情で話す粂田さんは、根底にあるのは子どもの頃の経験だと話します。
「子どもの頃、近所にあった7軒の駄菓子屋はそれぞれ特徴が違っていて、その日の気分で回るのが日課でした。
駄菓子屋へ行くと、お茶を飲んでいるおじさんに”久しぶりだな、食っていけ、食っていけ”と食べ物をもらうなど、地域の人との交流もたくさんありました。
コミュニケーションの場である駄菓子屋は僕の理想だったんです。
子どもも大人も笑って話をする光景を見ると、駄菓子屋の価値を実感できます」
「おでんの売上が1日1本か2本のみという時もありました」
「最初はキャベツとレタスの違いもわからなかったんですよ」と笑いながら語ってくれた粂田さん。
実は飲食業の経験がまったくない状態でお店を始めたそうです。
「追求すればできるんです、どんなことでも、なんでもね」と力強く話します。
「オープンしてからもメニューは徐々に改善していきました。
おでんの味は子どもの頃に染みついていましたし、追求していけば絶対においしいものが作れると信じていました。
もっともっとおいしくできるのではないかと、試行錯誤をしながらやっています。
しっかりと勉強して、取り入れていくことが大事なんです」
人気店になった今も、粂田さんは向上心を持って料理の勉強を続けています。
「ゴールがないですからね、日々進化です」
料理に対するこだわりや自信がお客さまにも伝わり、人気店となっているのでしょう。
行って楽しい、見て懐かしい、買って嬉しい、食べて美味しい、笑って話ができる「駄菓子屋 笑話」
今回お話をお聞きして、駄菓子屋は商品を買うだけでなく、ごはんを食べる場所だけでもない、付加価値のある場所だと改めて感じました。
「SNSを始めとしたデジタルツールは便利だとは思いますが、アナログのコミュニケーションも大切にしていきたいと思っています。
目と目を合わせたり、触れ合ったりなどは、駄菓子屋さんだからこそできるんじゃないかな」と粂田さんは語ります。
子どもたちの笑う声が響き、大人たちが世間話をしながら見守る。
昭和の時代にいたるところで見られた懐かしい光景が、駄菓子屋 笑話にはありました。
駄菓子屋 笑話
住所:静岡県浜松市中央区佐鳴台3丁目28-18
アクセス:
【車】浜松西I.C.より約20分
【バス】浜松駅北口バスターミナルより遠鉄バスに乗車
「佐鳴台小学校」下車(大人250円)、徒歩約1分
電話番号:053-489-4766
営業時間:11:00~18:30(平日は14:30~16:00頃まで一時閉める可能性あり)
定休日:毎週火・金曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:店舗前に4台
注意事項:ご主人ひとりで切り盛りしているため、調理に時間がかかる場合があります。
※遠鉄バスではPASMOやSuicaなどは使用できません。
小銭のご用意をお願いします(車内で両替可能)。