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スポット  |    2024.11.30

地域のお母さんたちに守られる絵本店。思いがつなげた50年の歴史

子どもの頃に読んで、今も心に残っている絵本はありますか?

横浜市港北区の閑静な住宅街にある「こどもの本のみせ ともだち」は、長く大切に読み続けたい絵本と出会える児童書専門店です。1973年の創業以来、幾度も訪れた閉店の危機を地域のお母さんたちの支えによって乗り越えてきました。

今回は、50年以上地域に愛され続ける「こどもの本のみせ ともだち」をご紹介します。

閉店の危機を救ったのは地域のお母さんたち

「こどもの本のみせ ともだち」は、徳村彰さん、杜紀子さん夫妻が1973年に全国初の児童書専門店としてオープンしました。

しかし、間もなく徳村夫妻が北海道に転居することになり、近所の女性が経営を引き継ぎますが経営難に。やむなく閉店しようとしているところ、噂を聞きつけた地域のお母さんたちが「つぶさないで!」と共同出資をし協力してお店を守ったのです。それからも閉店の危機を何度も迎えますが、この場所を大切に思う人々の力で、50年もの長い間その歴史がつながれています。

お店はボランティアの方々によって運営されています。スタッフはかつてお店のお客さんだったお母さんたち。「このお店をなくしてはいけない」という思いで集まった方々ばかりです。

書店のモットーは「ドキドキするような本との出会い」「ほっとするような人との出会い」

スタッフの密本さん(左)中村さん(右)20年以上ボランティアスタッフとしてお店を支えています。

長い年月の中で「こどもの本のみせ ともだち」は、街の絵本屋さんから、育児に奮闘するお母さんお父さんたちの交流できる場として役割を広げていきます。

毎月開催されるおはなし会や、季節ごとのイベントでは多くの人が集まり、地域の人々がつながる場所になっています。

1冊1冊丁寧に選ばれた、選りすぐりの絵本たちが並びます

育児はどうしても孤独を感じやすくなるものです。24時間子どもと向き合い、あれこれ心配しているうちにあっと言う間に過ぎていく毎日。そんな時、ふらっと立ち寄れるこんなお店があるだけで心が救わます。お店に入ると、明るくフレンドリーに話しかけてくれる先輩ママのスタッフの方々が迎えてくれます。

そんなスタッフの方々も、かつてこのお店の存在に助けられてきたのかもしれません。店内にぎっしり並ぶ絵本には、子育てを頑張るお父さんお母さんへの温かいメッセージが込められているようです。

新しいお店の看板を描いたのは地元出身の絵本作家さん

道を歩いていると目を引く可愛らしい看板は、9月にリニューアルしたばかりのもので、地元の絵本作家である植垣歩子さんが手がけたものです。

2011年に移転し、老朽化した看板を植垣さんがよみがえらせました。実は彼女もまた「こどもの本のみせ ともだち」と深い関わりがあります。看板を描くことになった経緯を伺うと、スタッフの密本さんは楽しそうに話してくださいました。

「昔、ふらっとお店にやってきたお客様が、『これ娘が描いたんです』とその月に発売された月刊誌の絵本をレジに持って来られました。その方が植垣歩子さんのお母様だったんです。それ以来ずっと交流が続いていて、今回古くなった看板を新しく描いてもらうことになりました」

当時は駆け出しだった植垣さんも、今では人気の絵本作家となり、店内には彼女の可愛い絵本がたくさん並んでいます。

3歳になる娘へ贈る絵本のプレゼント選び

もうすぐ3歳の誕生日を迎える私の娘に「大人になっても大切にできる絵本をプレゼントしたい」と母が提案してくれました。

そこで今回、祖母から孫への誕生日プレゼントとして贈る絵本を、アドバイスをいただきながら選ぶことにしました。

_____3歳の娘への誕生日プレゼントですが、母が目星を付けてくれた絵本のリストを持ってきました。おすすめはありますか?

(メモを見ながら在庫を探しつつ)リストにある「すてきな三にんぐみ」は有名な絵本ですよ。同じフランス生まれのバーバパパも可愛いいですよね。

_____バーバパパはフランス生まれだったのですね。お話も絵も可愛い!マスコットキャラクターとしてのバーバパパしか知りませんでした。

ところで、きょうだいは女の子ですか?男の子ですか?

_____姉妹です。上は5歳なので、上の子も楽しめる絵本だと嬉しいです。

そうですね、それでしたら姉妹で楽しめる絵本が良いですよね。林明子さんの作品もおすすめです。きっと2人で楽しく読んでもらえると思いますよ。

_____懐かしい!林明子さんはよく母に読んでもらっていました。自分の子どもに向けて読むと泣いてしまいそうです……(持っていなかったのでぜひ読んであげたい!)

話をしながら他にもたくさんの絵本を紹介してくださいました。姉妹を持つ母親の目線で考えてくださり、ひとりだと選べなかった絵本にたくさん出会えました!

絵本選びの参考にと、「ともだちぶっくくらぶ」の案内も頂きました。年齢にあったおすすめの絵本が紹介されているのでとても参考になります。

年齢と季節に応じ絵本が毎月届くともだちぶっくくらぶ
季節の絵本コーナーにはワクワクするようなクリスマスの絵本がたくさん集まっていました。

そして今回アドバイスいただいた中から選んだのはこの3冊。

・「すてきな三にんぐみ」 作:トミー=アンゲラー 訳:今江 祥智

・「こんとあき」 作:林 明子 

・おばけのバーバパパ 作:アネット=チゾン タラス=テイラー 訳:山下 明生

家に帰ると娘たちは「読んで!読んで!」と大喜びでリクエスト。ページを戻って絵をじっくり見返したり、何度も同じページで大笑いしたり、とても楽しそうにしています。

「こどもの本のみせ ともだち」で大人も子どももほっとしよう

「こどもの本のみせ ともだち」には、人を思いやる優しい気持ちが受け継がれています。育児や忙しい毎日に少し疲れてしまったらこのお店を訪れてみてください。ずっと大切にしたくなる絵本と、心がほっとする出会いが待っていますよ。

「こどもの本のみせ ともだち」

住所:神奈川県横浜市港北区日吉本町2-44-10

営業時間:月~金 11:00~17:00

     土 13:00~17:00

定休日:日・祝日

TEL&FAX:045-561-5815

ホームページ:http://tomodachi.d.dooo.jp/index.html

イベント・おはなし会の情報はInstagram/Xをチェックしてください

Instagram:https://www.instagram.com/tomodachicbs/

X:https://x.com/tomodachicbs

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この記事を書いた人

しまきりんん

【神奈川県公認Mediallライター】横浜市出身、島在住のフリーライター。島暮らしの情報を中心に、各地の魅力を発信します。趣味は各地のお酒を楽しく飲むこと。2人の姉妹を子育て中のため、子どもと自然の中で楽しめる遊びを日々模索中。地域の魅力を伝え、ワクワクする情報をお届けします!

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