はじめに
4年前(2021年4月)に東京の府中市から沖縄県北部今帰仁村に移住してきた62才のわたくしの、4年間の沖縄移住ものがたりです。
身体に不自由を抱えながらの沖縄への移住、住んでいる今帰仁村を中心に北部(やんばる)の魅力、そしてこの地域で自分らしく生きていくために大切なことが伝われば良いと思って書き始めます。
東京では20代で墓石販売会社に入社し、30年間勤めました。営業未経験でしたが入社3年目に全営業150名のトップになり、八王子支店長・取締役部長に昇格後、当時の社長の長女と結婚。
順調に人生を歩んでいくと思われましたが、ある出来事で大逆転し、事の重大性からうつ病になり、2ヶ月休職。最終的には表面上は依願退職という形をとりましたが、それが発端で離婚、脳梗塞を発症し、身体に障がいが残りました。
東京では、もう良いことはないと思い少ない知人の中で唯一相談できた元部下(自分よりも20歳年長者)に相談し、沖縄移住を決めました。沖縄の知識がなかったので移住支援サイトから情報をもらい、まず沖縄での住まい探しを手伝ってもらいました。
その1 なぜ身体障がい者なのに東京よりも不便な今帰仁村に移住してきたのか。理想とのギャップ
一番の理由
あこがれ!
東京では30年間の会社員生活で気配り、気遣い、叱責の連続でしたので心身ともに疲れていたのだと思います。それで都会を離れ、沖縄北部の海と山に囲まれた質素でも心豊かな生活に憧れていたんだと今は思います。
移住計画
- 家探し→沖縄県本島北部地区 本部町或いは今帰仁村
- 福祉関係→家探しが決まってから役場に相談する
- 東京府中市の手続き→地域包括支援センターの相談員さんに手伝ってもらう
沖縄の家
家探しの時間は1日しかなかったので、移動時間含めると沖縄北部本部町と今帰仁村の2択でした。犬と猫と一緒の移住だったのでフローリングの床が決め手となり、今帰仁村にしました。
福祉関係
今帰仁村役場では東京府中市と同じような手続きができませんでした。まず介護認定:要支援2では、人材不足からサポートは受けられません。障がい
程度の重い要介護でなければサポートは受けられないそうです。
東京府中市の手続き
東京府中市の地域包括支援センターの自分担当相談員さんが手伝ってくれました。転居手続き、郵便局新住所転送手続き、福祉関係引き継ぎの手続きなど。(実際は今帰仁村では東京と比べて十分な障がい者ケアが人手不足から出来ないことがあります。田舎財政の影響と地元権力者の障がい者への理解度の低さが原因だと思われます)
その2 身体障がい者としての今帰仁村移住生活
右を向いても左を向いても地理感の無い場所に、身体障がい者が家族も知人もいない状態で移住するのは無謀だと、今この時点で自分は正直思います。
前述しましたが、障がい者へのサポートが行政的に都会とは比較できないほど手薄だと感じるからです。実際、今帰仁村に地域包括支援センターはあっても、自分が要支援2だから利用できないケースに不満を感じています。
働くにもハローワークの体制が必ずしも障がい者に寄り添った体制になってないとか、一般民間企業の障がい者採用率が低いとか田舎あるある状態です。すべて愚痴のように聞こえてしまうかもしれませんが、わたくしがこの4年間で経験してきたため、全てにおいて事実です。
就労継続支援A型事業所では、同じく沖縄北部の宜野座村の事業所所有の農地やイチゴビニールハウスでの業務委託契約でのイチゴ栽培管理、ビニールハウス維持管理業務でしたが、最低賃金✖️勤務時間で毎月わずか8万円給与でした。8万円でも家族がいれば食費・光熱費など自分で払わなくても生活できる余地はあるかもしれないですが、1人暮らしで身体障がい者では、かなりキツいです。少ない給与でのヤリクリで、どうしても自分の食事代が都合つかなかったので、今帰仁村社会福祉協議会の
フードバンクを利用しています。フリーランスのライターになった今でも。
アルバイトをすれば良いと思っている方へ ネットから見つけて近くの今帰仁村古宇利島での民泊施設内花壇の水やりという身体障がい者のわたくしでも出来そうな内容のアルバイトを見つけて面接に行きました。採用者は自分を見るなり、無理だよね!と言って話もきいてくれませんでした。ですから障がい者にとって生活しやすい、生きやすい世の中にライターという言葉で伝えていく職に今ようやく辿り着いているわけです。
今帰仁村ってどんなところ
今帰仁村(なきじんそん)は、沖縄本島北部:本部半島の北側に位置する村で、手付かずの大自然と深い歴史、そして沖縄らしい原風景が色濃く残る地域です。

画像引用:https://imahachi.com/40kyushuokinawa/47okinawa/okinawahonto/#:~:text=正確でわかりやすい地図、全国の観光マップを無料でダウンロード
- 自然と景観
- 観光とアクセス
- 村のシンボル
その1 自然と景観の主な特徴
美しい自然海岸と透明度の高い海
今帰仁村は西側に自然の浜が点在し、特に「今泊ビーチ」や「大浜海岸」「村民の浜」などが有名です。
乙羽岳を中心とした山並み
村の南側には標高275mの乙羽岳がそびえ、展望台からは村全体や遠く伊平屋島、伊是名島まで見渡せる絶景が楽しめます。
多様な地形と景観美
大井川を堺に西側は山や川、自然海岸と集落が発達し、東側は琉球石灰岩層が隆起した断崖絶壁と海岸段丘が特徴です。断崖下には湧水スポット「ヒージャーガー」もあります。
古宇利島や橋梁の眺望
村の北東約1,5㎞には古宇利島があり、古宇利大橋からの眺望も今帰仁村ならではの景観です。

画像引用:無料画像素材 iStock 古宇利大橋と古宇利島の眺望
集落と文化の景観
今泊集落のフクギ並木
今帰仁村今泊地区には、沖縄伝統のフクギ並木が今も残り、集落全体が「今帰仁村今泊のフクギ屋敷林と集落景観」として国の重要な文化的景観に選定されています。濃い緑のアーチや石垣、古民家が織りなす景色は、沖縄の原風景を今に伝えています。
歴史と自然が融合した景観
世界遺産「今帰仁城跡」は、自然の高台に築かれた城で、周辺の自然と一体となった景観を形成しています。また、今帰仁城下から集落へ続く「ハンタ道」など、歴史的な道や歴史跡も豊かな自然の中に点在しています。

画像引用:無料フリー素材 Adobe Stock 今帰仁城(城→ぐすく と呼びます)
河川・その他の景観要素
河川と湧き水
大井川や志慶真川などの河川が村を流れ、特に志慶真川は今帰仁城跡に隣接し、渓谷の風景が特徴です。
今帰仁村の魅力(歴史と文化、伝統と産業、観光とアクセス、村のシンボル)については次記事でさらに詳しく解説していきます。
62才身体障がい者が感じた移住のハードルと準備
住まい探し:地価や賃貸物件の現状
今帰仁村の地価動向
今帰仁村の最新基準地価(2024年)は、平均15,733円/m2で、今後も6,44%上昇していくと思われます。
地価上昇の要因には、2025年夏開業予定の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」の建設・観光ニーズの増加、県外富裕層や投資目的での土地取得が挙げられます。

画像引用:無料画像素材 iStock 今帰仁やんばるを散策
賃貸物件の現状
今帰仁村は賃貸の供給が非常に少ない。アパート等の収益物件はほとんど見られない。取引も自主目的の物件中心で、賃貸市場が十分に成立していない状況です。
近隣の名護市ではジャングリア開業に伴う従業員需要で賃貸物件の通常バランス化で家賃1万円アップ。入居待ちが続くなど賃貸価格が高騰している傾向です。
今帰仁村の住宅需要は主に地元居住者や地縁者が中心ですが、最近は県外・村外からのセカンドハウス需要も増え、一部集落地域で高額取引が見られます。
4年間住んだわたくしの見解
移住希望の方は、営利目的の移住支援サイト業者に頼らず、今帰仁村役場に移住相談をするべきです。
確かにジャングリア需要で高騰の兆しは拭えないですが、古民家などの安価物件を見つけたり、今帰仁村役場で移住者用の行政支援を詳しく説明してもらい大いに活用しましょう。
仕事探しの相談も今帰仁村にとって得があるような働き方や職場、これまでの既成職種に囚われない働き方、自分の強みやスキルを磨くことでフリーランスとして働くことも視野にいれて探すことをオススメします。

画像引用:無料画像素材 iStock 今帰仁村古宇利島夕焼け
今帰仁村の交通手段の現状
今帰仁村は沖縄本島北部に位置し、鉄道はなく、主な交通手段は自家用車、タクシー、バスとなっています。
バス
那覇空港や那覇市からは「やんばる急行バス」や高速バスで今帰仁村へアクセス可能です。名護市からは「本部半島線今帰仁廻り」などの路線バスも利用できます。
タクシー・自家用車
村内の移動や観光には自家用車やタクシーの利用が一般的です。観光地やイベント時には大型バスやタクシーの利用も多く、駐車場の事前予約が推奨される場合もあります。
公共交通の課題
バスの利用や利用時間が限られており、特に深夜早朝や、村内の移動には比較的不便を感じることが多いです。
タクシーなども、季節や時間帯によっては十分に確保できない場合があります。
「交通空白地域」の解消が全国的な課題となっており、今帰仁村でもパブリックライドシェアや乗合タクシー、コミュニティバスなど新たな交通サービスの導入が検討、推進されています。
運転免許の取得と課題
村内の生活や就労には自家用車が必要なため、若年層や高齢者も運転免許の取得・維持が重要となります。
高齢者・免許返納後の支援
免許返納後の移動手段として、公共交通や地域交通の充実が求められています。現状では十分とは言えません。
今帰仁村の医療・福祉施設情報
医療施設
・医療法人光風会 北山病院(ほくざん)
内科・整形外科・皮膚科・リハビリテーション科
診療時間:平日・土曜午前9:00〜12:30 午後14:30〜17:30(木・土曜午後休診、日祝休み)
・今帰仁診療所
内科
診療時間:平日・土曜午前8:00〜11:30 午後14:00〜17:00(木・土曜午後休診、日祝休み)
・おっぱ歯科医院
歯科・矯正歯科
診療時間:月〜土9:00〜13:00/14:30〜18:30(土曜午後は15:00まで、水曜休診)
福祉施設・サービス
・今帰仁村社会福祉協議会
主なサービス
身体介護(入浴、食事、更衣など)生活援助、相談支援、福祉用具貸与など
高齢者福祉・介護予防事業
・今帰仁村役場福祉保健課
内容:介護予防、通所サービス、支援センター含む利用調整、サービス計画作成
保育園・認定こども園
認定こども園みらい
認定こども園まほろば保育園
あめそこ保育園
おとわキッズ園
その他関連施設・窓口
今帰仁村役場健康づくり推進課/福祉・こども課
わたくしが利用している医療・福祉サービス
脳梗塞の原因が「もやもや病」という指定難病なので
隣町、名護市のどい脳神経外科に月1回通院しています。
福祉サービスは、先ほど触れたように
今帰仁村社会福祉協議会のフードバンクを利用しています。

画像引用:無料画像素材 iStock 今帰仁城跡から東シナ海を眺める
62才身体障がい者が今帰仁村に移住したメリットとデメリット
デメリット
医療・福祉インフラの課題
那覇市など都心部に比べて、今帰仁村のような地方では大規模な病院や専門医が少なく、医療体制が十分とは言えません。身体障がい者や高齢者は通院・治療面で不便を感じる可能性があります。
交通の不便さ
沖縄北部は公共交通機関が発達しておらず、車がないと移動が困難な場合が多いです。障がいや高齢で運転が難しい場合、日常生活や通院、買い物などに支障が出ることがあります。
物価や生活コスト
離島や沖縄本島北部は物流コストが高く、日用品や食料品の価格が本州より高い傾向があります。年金生活や収入が限られる場合、家計管理に注意が必要です。
バリアフリー環境の遅れ
地方の古い建物や公共施設ではバリアフリー化が進んでいない場合があり、車椅子や歩行補助具の利用者には不便な場面も想定されます。
メリット
温暖な気候と自然環境
沖縄本島北部に位置する今帰仁村は、温暖で寒暖差が少なく、ヒートショックのリスクが低い環境です。高齢者や身体障がい者にとって、体への負担が少なく安心して暮らせる地域です。
自然に囲まれた静かな環境で、ストレスが軽減され、心身ともに穏やかな生活が期待できます。
花粉症のリスクが低い
沖縄はスギやヒノキなどの花粉を多く飛ばす樹木がほとんどなく、花粉症に悩まされる心配が少ないため、アレルギー体質の方にも快適な生活環境です。
地域のつながりが強い
沖縄の人々はフレンドリーで温かく、地域の絆が強いです。高齢や障がい者による孤立を防ぎやすい環境です。
移住支援制度の活用
一部の市町村では移住者向けの支援制度やサポート体制があり、移住にかかる費用や生活の不安を軽減できる場合があります。
まとめ
62才身体障がい者の沖縄北部今帰仁村への移住はメリット・デメリット双方あります。
障がいの程度と覚悟があれば十分可能です。
わたくしが、移住後数々の困難を乗り越えてここまでやってきたのですから、あなたならきっともっと楽にできると思います。
慣れない地で最初は解らないこともたくさんありますが、移住者慣れしている地元の方々(特に今帰仁社協)を頼りにすれば大丈夫です。わたくしも細やかながらアドバイス出来るとおもいますし。