カクイックス交流センターで開催されたアートイベント「TSUKA FES (ツカフェス) 2025」。会場に一歩足を踏み入れると、イラスト、ハンドメイド、写真、民族音楽やパフォーマンスアートまで、多種多様な表現の熱気に包まれていました。
このイベントを主催しているのが、実行委員長の塚田さんです。「ツカフェス」という名は、ご自身の姓(塚田)に由来すると同時に、「創り手(ツ)」と「鑑賞者(カ)」をつなぐフェスという意味が込められています。
会社員として働きながら、なぜこれほどまでに大規模で、愛されるイベントを作り上げることができたのでしょうか。その背景には、クリエイターへの深いリスペクトと、「表現したい」という想いに寄り添う真摯な姿勢がありました。
始まりは「思い出作り」の送別会
塚田さんの原点は、2019年から約4年間勤めた天文館のギャラリーでの日々にありました。多くの作家さんと出会い、活動を支える毎日に充実感を感じていたそうですが、会社の辞令によりアートとは無縁の部署への異動が決まります。「それなら辞めます」と退職を決意した彼が最後に考えたのが、「思い出作り」としてのグループ展でした。
「お世話になった作家さん10組くらいを呼んで、お別れ会のような感じで終わるつもりでした。それが『ツカフェス2023』です。ところが、『私もTSUKA FESに出たかったです!』という声をたくさんいただいて。作家さんたちは、自分の作品を発表する場を求めているんだと痛感しました」(※一部出展条件あり)
その声に背中を押され、翌2024年には会場を拡大。当初50組の想定に対し90件もの応募が殺到し、最終的に78組が出展、800人の来場者を記録しました。
そして、今年、2025年は2日間で120組が出展する一大イベントへと成長を遂げたのです。
初心者も学生もOK!「誰でも主役になれる」開かれた扉

ツカフェスの最大の特徴は、その圧倒的な敷居の低さと包容力です。
「プロ・アマ問わず、オリジナル作品であれば大歓迎」というスタンスを貫き、初めて出展する学生さんや、これまで表現の場を持てなかった人々に広く門戸を開いています。
「学生さん向けに『学割』も設けていますし、初めての方には『初めまして、ようこそ』というスタンスです。今は応募多数で抽選になってしまっていますが、基本的には選別などはせず、誰でもウェルカムな場所にしたいんです」(※一部出展条件あり)
会場で「福岡から来ました」という来場者の方が、「好きな作家さんがSNSで告知していたから」と語っていたように、このイベントは新たなファンとクリエイターが直接出会う場所となっています。
徹底した「創り手ファースト」の配慮

主催者である塚田さん自身がギャラリー勤務で培った経験は、イベントの随所に「優しさ」として現れています。
通常、イベント出展には安くない出展料に加え、机や椅子などの備品レンタル料がかかる場合もあります。しかし、ツカフェスではこれらが無料で提供されています。
「この会場では机も椅子も、背面パネルも無料です。作家さんが負担なく展示できるようにしたいんです。僕自身は今はビジネスホテルで働く会社員ですし、実行委員メンバーもほぼ本業をもつデザイナーやクリエイターです。彼らが有給を取ってまで手伝ってくれる。みんな創り手の気持ちがわかるからこそ、寄り添えるのだと思います」
また、「ツカフェス目安箱」を設置し、SNSで寄せられる質問や要望に丁寧に答える姿勢も、参加者との信頼関係を築いています。
「どういうディスプレイがいいですか?」といった初心者の不安にも、プロのスタッフたちが親身になって向き合う。クリエイターにとって、これほど心強い環境はないでしょう。

ロゴ一つで伝わった熱量、そして2026年へ
その信頼関係の強さを物語るエピソードがあります。
2025年の開催に向けて、塚田さんがSNSに「2025」と入ったロゴ画像だけを投稿したときのことです。詳細は何も決まっていないにも関わらず、その投稿は瞬く間に拡散され、多くの「待ってました!」という反応が寄せられました。
「半年間何も発信していなかったのに、ロゴをポンと出しただけで『今年もやるんですね!』と熱い反応が返ってきました。愛されているな、と感じましたね。あの時、また今年も本気で向き合おうと覚悟が決まりました」
単なるイベント運営を超え、クリエイターと運営、そしてお客さまが一体となって作り上げる『ツカフェス』。
塚田さんはすでに来年を見据えています。
「来年の会場もすでに押さえました。年々規模が大きくなり、どうしても抽選にはなってしまいますが、それでも出たいと言ってくれる方がいる限り続けたいですね。創り手の情熱と、それを受け取る鑑賞者が出会うこの場所を、これからも守っていきます」
2026年、さらに熱気を帯びるであろうこの場所で、新たなクリエイターや作品と出会えるのが今から楽しみです。表現する喜びを知るすべての人へ、ツカフェスの扉はこれからも開かれ続けることでしょう。
創り手としても鑑賞者としても楽しめる「ツカフェス」にぜひ足を運んでみてください。

TSUKA FES 2025実行委員の方々。とても気さくな方ばかりでした。下の段左から3番目が塚田実行委員長。
2026年のイベント詳細情報
「TSUKA FES 2026」の開催が決定しています!
日時:2026年10月24日(土)・25日(日) 11:00〜18:00
場所:カクイックス交流センター(かごしま県民交流センター)2F
鹿児島県鹿児島市山下町14−50
Instagram:https://www.instagram.com/tsukafes
X:https://x.com/tsukafes_art
HP:https://tsukafes.com/
※アカウントは2025年のものですが、2026年の情報も更新されています。




