
「自分が好きだと思ったこと、良いと感じたことを分かち合いたい」こう語るのは福島県南相馬市を中心に取材ライター、地域イベントの企画運営、撮影まで幅広く活躍している蒔田志保さん。
結婚を機に愛知県から福島県南相馬市に移住し、現在は「ほしあかり」という屋号で活動しています。
2026年6月現在、移住して8年目、今では町内にたくさんの友人・知人ができたという蒔田さんに地域交流イベントの作り方や蒔田さんがこだわる取材ライターの活動についてお話を伺いしました。
この記事では地域活性化のヒントとなるような蒔田さんの活動や視点について紹介します。
企画の原点は「良いものは共有したい」という思いから
福島県南相馬市で開催されるさまざまな地域イベントの企画から当日の運営まで行っているという蒔田さん。イベントをきっかけに地域にある素敵な場所や人を知ってもらうことで、地域住民同士がつながる場にもなっています。そんな人気企画は、どのような発想で思いつくのでしょうか。
「自分が良いと思ったことは共有して分かち合いたいと思います。そして身近な人が喜んでくれたら私も嬉しくなるんです」。と単純明快な答えをくれた蒔田さん。
この観点で企画したのが「浦尻貝塚ウィークエンド」という自然公園の中で運動や探検、工作ができる親子向けイベントです。

自身の出産を機に「どんな地域だと子供が喜んでくれそうか」という視点で町を見るようになったという蒔田さん。
「浦尻貝塚について取材をした時に、とても気持ちの良い場所だなと思いました。のびのびと過ごせるひらけた場所なので、地域の子供たちが楽しめる仕掛けがあるといいなと思い、頼りになるプロフェッショナルたちに声をかけてイベントの内容を考えました」。
イベントのゲストは地域で活躍している学芸員や健康づくりインストラクター、絵本作家が参加。主催者側も参加者の親子と一緒になって楽しんでいる様子が印象的だったといいます。
自身が感じて楽しかったことを、周りの人にも共有して役に立てたら嬉しいという純粋な思いが蒔田さんを突き動かす原動力になっていました。

身近な人の顔を思い浮かべると企画がひらめく
移住前にも、東日本大震災のボランティアとして南相馬市に通っていた時期があったという蒔田さん。移住してからはときどき訪れる「よその人」から、しっかり地域に根付く「地元住民」として意識が変わったといいます。どんな心境の変化があったのでしょうか。
「移住してきた当初は南相馬市のカフェでアルバイトをしていました。常連のお客様も多く、世間話をするうちに仲良くなっていくのが嬉しかったんです。知り合いが増えるにつれて、今自分の周りにいる人たちと楽しんでいきたいと考えるようになりました」。
地域の人達と打ち解け、今ではたくさんの仲間に恵まれているという蒔田さん。イベントを企画する段階で、すでに来てくれそうな人の顔が浮かぶといいます。
「このイベントの内容なら〇〇さんに知ってほしい!あの人なら興味がある内容じゃないかな?とか、出店してくれそうなお店のオーナーさんの顔が浮かぶので、自ら声をかけに行きます」。
イベントを通して魅力をシェアしたい相手、そのためにはどの人と協力して行うのが良いのかを考えぬく。地域の人たちを良く知るからこそ、地域が盛り上がるイベントの企画・開催につながっているのです。
「記録家」として記事を通して魅力を発信
イベントの企画に携わる前から自らを「記録家」と名乗り、ライターとしても活動している蒔田さん。イベント企画同様に「いいモノや素敵なヒトがいることを伝えていきたい」という思いから活動をスタートしたと語ってくれました。ライターではなく、記録家と名乗ることにはどのような思いがあったのでしょうか。
「初めはライターと名乗って活動をしていましたが、次第に違和感を覚えるようになりました。話してくれた人の思いを受け止めて記事に表現して残すということが「書く」というよりも「記録」のようだと思ったからです。私の行っている活動はライターというよりも、「記録家」という言葉の方がしっくりくると思います」。
自身が行うインタビューでは、話を聞いた人の思いや存在そのものを肯定することを意識しているという蒔田さん。
「例えば、移住者インタビューの際は、この街を選んだ理由として、その方が大切にしている思いまで深掘りします。そうすると、だからこの方はこの行動をしたんだ!というその人ならではの行動がみえてくるんです」。
包み込むように話を聞いて丁寧な記事づくりを心がけている蒔田さん。そんな彼女のもとには、南相馬市のこども家庭課や東北を拠点にまちづくり事業を行っている認定NPO法人、子育て応援コミュニティなど地域と密接に関わる人からの依頼にもつながっています。

地域の枠を超えて「伝えること」に挑戦したい
最後に、今後挑戦してみたいことを伺いました。
「現在はありがたいことに地元の方からご紹介いただいたりと南相馬市でのお仕事が多いですが、今後は自分が良いと思ったことを取材をして伝える活動を他の地域でも行っていきたいと思っています。その活動が巡り巡って、結果的に南相馬市に新しい風を吹かせることになればもっと良いと思っています」。
「地域の魅力を伝えていきたい」という思いをお持ちの方は、蒔田さんのように自分が感じた地域の好きなところを身近な人と共有する。まずはそんな小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。

蒔田さんは大好きな北欧雑貨を集めたお店を出店しました。(写真撮影/ 本田奏)
プロフィール
蒔田志保さん
1993年生まれ、愛知県出身のフリーライター(記録家)
結婚を機に福島県南相馬市へ移住。現在はライター業だけではなく、地域のイベント企画、運営からイベント企画のサポート、撮影まで幅広く活動している。
2025年より屋号「ほしあかり」として活動をスタート。
仕事実績:https://note.com/krkr/n/n97e9d45731bd
イベントのお知らせ:https://note.com/krkr/m/ma82e70f33091



