茨城県の桜川市にある「雨引山」!
これは「あまびきさん」と読みます。観音様のお寺があるために「雨引観音(あまびきかんのん)」という呼び名でも親しまれている山です。
「紫陽花(あじさい)が有名なお寺…ですよね?」
ええ、そうです。最近ではネットやSNSで紹介されることも多く、知名度がさらに上がってきています。
例年、六月から七月にかけて行われているのが「あじさい祭」。特に、期間限定で行われる「水中華」では、境内にある池に紫陽花の花が一斉に浮かべられて、まさに『絶景』が広がっています。
…しかし、雨引山の魅力は紫陽花「だけ」ではありません。そのたくさんの魅力の虜になること、間違いなし! 今回は、そんな「雨引山」について紹介していきましょう。
黒門から仁王門へ
まずは、入口からです。

一番奥の駐車場から境内に入ることもできますが、上から二番目の駐車場の正面にある黒門から入る参道(磴道・とうどう)を上っていくのがお勧めです。とても風情があります。
※なお、2025年から、あじさい祭の期間中には入山料がかかりますのでご注意ください。
この石段は「厄除けの石段」とも呼ばれます。全部で145段もあり、一段一段ごとに「南無観世音菩薩」と唱えながら上れば厄が落ちる…とも言われているのです。

石段を上ると、朱塗りの「仁王門」に到着。
特に紫陽花の季節には、門の朱色に紫陽花が映えます…! 二体の仁王像が安置されており、いわゆる「阿・吽」の呼吸にて来訪者を迎えてくれるのです。

手を洗う「手水舎」で待っていたのは、強そうな龍の像でした。特に紫陽花の季節には花が浮かべられており、とても綺麗です。
さあ、ここでお寺の案内板をチェックしてみましょう。その内容を一部、引用します。

『雨引観音の歴史:雨引観音は、雨引山楽法寺と申し、用明天皇のころ(6世紀末)梁の国人の法輪独守居士によって開かれた、厄除・延命・安産・子育ての霊験あらたかな、延命観世音菩薩(国指定重要文化財)を本尊とする坂東観音霊場二十四番札所の名刹です』
…つくられたのは6世紀末。とても歴史のあるお寺なんですね! 日照りの時の「雨乞い」にも、ご利益があったそうです。だから、雨を引き寄せる「雨引」。

本堂の前では、香が焚かれていました。年間を通してたくさんの方がお参りに来るお寺なのです。
あなたを迎えてくれる仲間たち
さあ、ここからは雨引観音にいる多くの「仲間たち」を紹介していきましょう。

まずは、何と言っても「孔雀」です。ピーコックですね! どうですか、この見事な羽…。時期や人出にもよりますけれども、境内を我が物顔に歩いていたりします。こんなに至近距離で羽を広げた孔雀に会うとびっくりしますよね。まさに「孔雀に会いに行ける山」雨引山!

他には、可愛いアヒルたちにも会えます。白のアヒルに紫陽花。…とても映えますね。

境内の高低差を利用した滝も流れています。池の中では、鯉や亀が楽しそうにすいすいと泳いでいました。
「本当に、たくさんの生き物がいるんですね…」
そう、豊かな自然の中でたくさんの仲間たちに会えるのも、この雨引山の楽しさの一つなんです。
しかし、他にもまだ魅力があります。

特にお勧めなのは、本堂から奥に行ったところの展望スポット。ベンチが置いてあります。ここに座れば、眼下に関東平野が一望できて、本当に爽やかな気分になるんですよ…。
圧巻の紫陽花
「…あの、そろそろ、紫陽花の『水中華』も見てみたいのですが」
お待たせいたしました。あじさい祭の期間中、限られた時期だけに、剪定された紫陽花の花を池に浮かべた「水中華」。その絶景がこちらです!
(注:2023年に撮影したものです。水中華の実施時期は天候や咲き具合によって左右されます)

豪華絢爛な紫陽花、カラフルな競演…。
まさに「考えるな、感じろ!」と言いたくなるほどの見事さ。たくさんの人が心を奪われ、感嘆の声を上げ、一心不乱にその絶景を撮影していました。…ええ、私も、その一人です。
境内に咲く紫陽花は、野生の品種に加えて、ヨーロッパから逆輸入されたハイドランジア・西洋アジサイ、また、お寺で命名した新品種も含まれているそうです。全部で約100種・約5,000株もの紫陽花が、梅雨の時期を中心にして咲き誇っている…。
「この見事な紫陽花に加えて、ご利益のあるお寺、たくさんの生き物たち、素晴らしい眺望などが揃っている。これらをまとめて体験できるのが、雨引山の魅力なんですね!」
その通りです。紫陽花の季節はもちろん、他の季節でも魅力にあふれています。まさに雨も人をも引き寄せる山、雨引山…!

もちろん、境内を歩き回って疲れたら、雰囲気の良いお休み処にて一休みすることもできます。(お土産も売っています)
…皆様もそろそろ、雨引山に行ってみたくなりましたか?
「映えスポット」が至る所にあって、写真を撮りやすい仕掛けがたくさん設置されているのも嬉しいところです。そのうちの一つ、仁王門の前にあるベンチに書かれていた「御詠歌」を引用して、本記事での紹介を終わりにしましょう。

『へだてなき ちかいをだれも あおぐべし ほとけのみちに あまびきのてら』
誰も隔てることなくフラットに、遥かなる時を越えて、雨引山は皆様の訪問を心待ちにしているのです。
雨引山楽法寺
アクセス
◆公共交通機関:最寄り駅はJR水戸線の「岩瀬駅」です。駅前からタクシーを使えば、雨引山まで約15分ほどで着きます。バスも利用できますが、発着時刻にご注意ください。
◆自動車:最寄りの高速道路のインターは「桜川筑西インター」です。インターを降りて国道50号を水戸・笠間方面に向かい、「鍬田丁字路」を右折、約4キロ先の桜川市大曽根交差点を左折すれば、雨引山に着きます。
その他、つくば・土浦方面から向かう際は、「土浦北インター」を降りて国道125号を下妻方面に向かいます。つくば市の「北条交差点」を県道14号筑西市方面に向かい、筑波山入口・つくば市上大島から県道41号桜川市方面に進んでください。約14キロ先の桜川市大曽根交差点を右折すれば、雨引山に着きます。
駐車場は、小型車が約300台ほど駐車できる広い駐車場が5つほど山上より順に配置されています。あじさい祭の時期には満車・渋滞が予想されますので、お早めの時間に向かうことをお勧めします。