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アート  |    2024.05.30

大きなかべをキャンバスに。中崎町から布施へ、彩るこどもの日|東大阪市

5月5日、こどもの日。
空が青く晴れ渡ったこの日、東大阪市の玄関口である布施の一角に、カラフルなペンキで彩られた賑やかな壁が生まれました。

かべをぬろうよ東大阪ータヴァンの壁

「かべをぬろうよ!」

子どもも、若者も、大人も、誰でも自由に壁に絵を描こうよ――というイベントです。発起人は、東大阪市・長瀬に店を構える「アーユルヴェーダ食堂」の高木さんご夫妻。

記念すべき第一回開催のイベントに密着してきました。

はじまりは中崎町の「トタン通り」

アーユルヴェーダ食堂は数年前まで、大阪市北区の中崎町で間借りカフェを営んでいました。お店の目の前は「中崎町トタン通り」と名づけられた路地。広いトタン塀が色とりどりに塗られ、描かれ、知る人ぞ知るフォトスポットになっている場所でした。

毎年5月5日のこどもの日、このトタン塀を子どもたちと一緒に塗り替えようというイベントが行われていたのです。その歴史、実に18年。高木さんご夫妻も、息子さんと一緒に何度か参加されたそうです。
しかし、コロナ禍の影響で開催は途絶え、今ではトタン塀も解体へ。

今回の旗振り役であるご主人の高木竜一さんは、企画の経緯をSNSに綴られています。
誰もが笑顔だったイベント。カフェから眺めていたトタン通り。中崎町での記憶を、東大阪でもつなぎたい。
「動機はそれだけなんです」と。

布施の「大きなかべ」へ

共同企画としてタッグを組んだのは、同じく長瀬にあるカフェ「イイエンコーヒー」のひでゆきさん、あいりさん。近畿大学の学生たちが集う憩いの場、近大通りのコーヒー屋さんです。

東大阪でもやってみたい、という高木さんの話に「面白そう!」と乗っかったお二人。「トタン通りのエピソードを聞いたり、当時の写真を見せてもらったりしてワクワクが止まらなかった」と、あいりさんは話してくれました。

「東大阪で出会った私たちと『一緒に』と言うてくれたことも、とても嬉しかったです」

子どもたちの笑顔のためなら

水性ペンキや養生資材の提供、チラシの掲示・配布の支援など、たくさんの方の協力のもとで企画が動き出します。そして何よりも大事な【塗る場所】に名乗りをあげたのは、布施の「Craftbeer Tavern(クラフトビア・タヴァン)」でした。路地に面した店舗の壁を、キャンバスとして提供してくれたのです。

下塗り作業が行われた、4月29日。
この日は高木さんのご友人であるペンキ職人をはじめ、中崎町トタン通りを知る強力な助っ人が駆けつけました。
壁を拭き上げ、白のペンキで塗りつぶして、キャンバスの下地をつくっていきます。3時間におよぶ作業でしたが「子どもたちの笑顔や、楽しく絵を描いてくれる姿を想像したらあっという間だった」と、皆さん無我夢中の様子でした。

かべをぬろうよ東大阪ー養生作業の様子
中崎町の頃はまだ幼かった息子さんも、養生のお手伝いを。

1回きりのイベントよりも、持続性があるものがいいですよね

かべをぬろうよ東大阪ー下塗り作業の様子

「ずっと続けるのはなかなか難しいこと。だけど、旗を振ったからには『来年もやるよ』を前提にしたい」

そう語ってくれた高木さんですが、内心では「子どもたちが来てくれるかどうか」と不安もよぎっていたようです。それでも、彼の熱意が求心力となったのは間違いありません。筆者がこのイベントを取材したいと思ったのも「きっと来年も開催してくれる」という期待があってのことでした。

「こどもも、わかものも、おとなも」

5月5日、当日。
開始時間前から、すでにたくさんの方がCraftbeer Tavernに集まっていました。天気は何の心配もなく、絶好のお絵描き日和です。

かべをぬろうよ東大阪

開始の合図とともに子どもたちが一斉に壁へ向かい、自由に、気の向くままに筆を動かします。イラストを描く子や、壁の端っこから塗りつぶしていく子など、アプローチはさまざま。

はじめは1色だけで描いていた子が、色を混ぜることを覚えて「虹色!」と声を上げていたのが印象的です。

かべをぬろうよ東大阪ー手のひらをスタンプに
手のひらをスタンプに
かべをぬろうよ東大阪ー協力して壁を塗る
壁の上のほうは協力しながら。
かべをぬろうよ東大阪ー壁に絵を描く大人と子どもたち
かべをぬろうよ東大阪ー新進気鋭のアーティスト
両手を駆使して大胆に描く姿は、まるで新進気鋭のアーティストのよう。ご本人も「めっちゃアートっぽいやろ」とご満悦でした。
かべをぬろうよ東大阪ー赤いペンキの手形
賑やかなのは壁だけじゃない!
かべをぬろうよ東大阪

入れ替わり立ち代わりの4時間。白かったキャンバスは個性豊かに彩られました。イベント終了後のSNSには「こんな大きな壁にペンキでお絵描きできるなんて、とても貴重な体験をさせてもらいました」と、保護者の方から数々の写真とメッセージが。

かべをぬろうよ東大阪ー「たくさんの笑顔をありがとう」のメッセージ

「こどもの日、来年もやりますよ」

高木さんは力強く宣言してくれました。
完成したペンキ絵は、1年後にリセットされるまで、タヴァンの壁として残ります。子どもも、若者も、大人も、みんなの色で埋め尽くした大きなキャンバス。見れば思わず笑みがこぼれてしまうような素敵な思い出を、これからもつないでいってほしいと思います。

来年の5月5日、子どもたちの笑顔がさらに増えることを願って。


「かべをぬろうよ!」

Instagram:https://www.instagram.com/kabe_wo_nuroyo_higashiosaka

Craftbeer Tavern

住所:大阪府東大阪市長堂2-2-19
営業時間:
火~土 17:00~24:00
日・祝 15:00~22:00
月曜定休
HP:https://www.craftbeertavern.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/craftbeertavern/

アーユルヴェーダ食堂

住所:大阪府東大阪市小若江1-3-13
営業時間:11:30open 不定休(Instagramをご確認ください)
Instagram:https://www.instagram.com/ayurvedakitchen_mai/

イイエンコーヒー

住所:大阪府東大阪市小若江1-9-1
営業時間:8:00〜21:00 不定休(Instagramをご確認ください)
Instagram:https://www.instagram.com/iien__coffee/

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この記事を書いた人

九重 十彩

生まれも育ちも東大阪市。カフェ巡りから一人飲みまで、美味しいものと共に在りたいWebライター。 実は調理師免許を持ってるけど、ほぼほぼ持ってるだけ。 大阪の中核市としての一面と、生駒山系の自然、振り幅の広~い「モノづくりのまち東大阪」の魅力を発信していきます。

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