地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

フード  |    2025.10.04

40年以上地域に愛され続ける鰻屋の歴史に迫る|大阪府八尾市『鰻のもり』

もりの丼御膳(画像提供:鰻のもり)

近鉄八尾駅のすぐそば、高架を歩いていると「産地直送、活うなぎ」の幟旗が目に飛び込んできます。ここは1983(昭和58)年の創業以来、高い品質の国産うなぎを食べられる『鰻のもり』です。

『鰻のもり』の外観(画像提供:鰻のもり)

鰻の仕入れ先は、徳島県のうなぎ卸問屋『株式会社モリカン』。あまり知られていませんが、じつは『鰻のもり』と『株式会社モリカン』は親戚関係とのこと。

今回は『鰻のもり』女将の森明子さんに、店舗の歴史やこだわりについて詳しく伺いました。

きっかけは先代の兄の起業

鰻はすべて国産を使用(画像提供:鰻のもり)

先代は徳島から大阪へ出て40歳前まで衣料品店に勤めていて、「いつかは商売で独立したい」と思っていたといいます。そんな折、鰻の卸をしている兄から「お前は鰻屋をやらないか?」と誘われたそうです。

「先代は包丁を持ったこともなかったのですが、脱サラして挑戦したそうです。高知の鰻屋さんで3ヵ月間修行をしたと聞いています。修行を終えた後は家で鰻を開く練習をし、開いた鰻や家のコンロで焼いた鰻を飛び込みで売りに行ったそうです。パワフルですよね」

先代が付けた価格は1本700~800円。用意した鰻は売れ残る日もありましたが、現在の地に店を構えるまでの1年間、鰻を売り続けました。

40年以上が経過した今でも、当時のことをよく覚えているお客様がいて、昔話に花を咲かすこともあります。

80歳を過ぎても現役の先代は捌きの職人

先代は80歳を過ぎても技術が衰えることはありません(画像提供:鰻のもり「捌きの先代」)

先代は80歳を過ぎてもなお現役を貫き通し、今でも毎日のように鰻を捌いているとのこと。

「先代はとても几帳面なので、鰻を捌くときもとてもきれいにします。あの几帳面さは、なかなかほかの人には真似できないかもしれません」

明子さんは語ります。几帳面さによって鰻の味にも違いが現れるとのこと。他店との比較はできませんが、捌いた後の鰻の処理が非常に丁寧なため、焼き上がったあとの臭いや味も違うといいます。

焼き担当の当代は鰻だけが専門ではない

当代は焼き方にもこだわりがある(画像提供:鰻のもり「焼きの当代」)

一方、焼きを担当するのは当代です。

「鰻は人と同じように一尾一尾個性があり、違いがあります。『焼き一生』と言われるように、今でも新たな発見があり、これで良いということは一生ありません。ですので、よりおいしく食べてもらえるよう、日々真剣勝負です」

鰻に合わせ、一番おいしく食べられるように一串の一尾一尾を丁寧に焼き上げていると熱を込めて語ります。

鰻以外も人気の会席料理(画像提供:鰻のもり)

当代は小学生の頃から店を手伝い、鰻を焼いていました。食事をし、喜んで店を後にするお客様の姿を見て「この八尾の地で愛される『鰻のもり』を継ぎたい」という感情が芽生え、日本料理『つる家 リーガロイヤルホテル店』で修業を積んだといいます。

「お客様には、鰻だけでなくほかの料理も美味しいと言っていただけます」

明子さんの言葉には、店舗としての自信が感じられました。鰻専門店で料理も美味しいと聞くと、価格も高く、店舗に入るには心理的ハードルが高いイメージです。

一方で、『鰻のもり』は駅からも近く、とてもアットホームで利用しやすい店舗でした。

地域住民に愛される理由

店舗はいつも温かい雰囲気に包まれている(画像提供:鰻のもり)

『鰻のもり』がもっとも忙しいのは、何と言っても土用の丑の日。

この日ばかりは従業員が足りず、学生時代にアルバイトをしていた人たちも助っ人に入るとのこと。先代や当代の人柄もあり、『鰻のもり』は地域の方々だけでなく従業員からも愛され続けています。

「土用の丑の日ばかりは、本当に同窓会のような雰囲気です。忙しさはもちろんありますが、それ以上に楽しいので、何とか忙しさを乗り切れています」

と明子さん。日頃のアットホームな雰囲気が愛される秘訣かもしれません。土用の丑の日を乗り切った後には、同窓会のような打ち上げが開催されるのだとか。

「やお観光創造アンバサダー」の片寄涼太さんのYouTube動画(ヨセのVlog)をご覧いただけると、店舗の雰囲気や美味しさが伝わるかもしれません。

『鰻のもり』は店舗の移転もなく40年以上もの間、地域住民に愛され続けています。八尾市では毎年開催されるイベント『やお買い物まつり』があります。

「イベントでは毎年多くの『やおっちチャンスカード(スクラッチくじ)』を購入しています。少しでも八尾でお買い物を楽しんでいただけたらうれしいです」

『やお買い物まつり』は毎年9月中旬から10月中旬の期間中に八尾市内の参加店舗で開催されています。『鰻のもり』では、地域貢献の思いも込めて参加しているとのこと。購入金額に応じて『やおっちチャンスカード』がもらえるので、ぜひ利用して金券をゲットしてください。

地産地消にも貢献

定番のうな重は身も皮も柔らかい(画像提供:鰻のもり)

『鰻のもり』がある大阪府八尾市は、若ごぼうやえだまめの産地として有名です。『鰻のもり』では、新鮮な若ごぼうやえだまめを生かした料理を提供し、地産地消に貢献できるように努めています。

いつまでも美味しい鰻と美味しい料理を提供してもらいたいものです。鰻のようになが~く地域住民の舌を楽しませてくれることを祈っています。

『鰻のもり』詳細情報

この看板が目印(画像提供:鰻のもり)

『鰻のもり』の詳細情報は、公式サイトやSNSをご確認ください。

公式サイト・SNS
定休日・営業時間
  • 営業時間
    11:00~15:00
    16:00~21:00
  • 定休日:火曜日
アクセス

〒581-0802
大阪府八尾市北本町2-1-1 近鉄八尾駅2F
(近鉄大阪線「近鉄八尾駅」直結)

※駐車場はありませんので、近くのコインパーキングなどをご利用ください。

記事をシェアする

この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

関連記事