日本最古の温泉街、松山・道後に佇む赤い看板が目印のお店が「ごちそうカフェ愛さん家(以下、愛さん家)」です。
ここは単なる飲食店ではなく、地元客や旅人が「ただいま」と帰ってくる心の拠り所です。創業から20年を超え、店主によるとリピート率は驚異の90%。後編では、多くのお客様を虜にする隠れたおもてなしやスタッフ第一の信念、感動のドラマなどを紹介します。
究極の「隠れたおもてなし」

愛さん家が20年以上愛され続けている理由は、マニュアル化不可能なお客様への対応にあります。店主は毎日厨房に立ち続け、来店するお客様の顔と好みを驚くべき精度で把握しています。
お客様が食べたものを記憶

特筆すべきは、連日あるいは週に何度も訪れる常連のお客様に対する配慮です。店主やスタッフは、「昨日そのお客様が何を食べたか」を記憶しています。同じ日替わり定食であっても、「昨日はこの副菜を出したから、今日は別のものに変えてあげよう」と、その人のためだけにメニューを即興で組み替えるのです。
お客様の好みを把握

スタッフ全員がお客様の細かな嗜好を共有しているのも、愛さん家ならではの特徴です。「あの人はカボチャが嫌い」「あの人はチーズが苦手」といった情報は、注文を受けずとも厨房に伝わっています。
お客様に言われる前に、苦手な食材を除けたり、別のものに差し替えたりしているそうです。ご飯の量についても、「あの人は大盛り」という習慣を把握しているため、お客様が口に出す前に最適なボリュームで提供されます。
お客様との距離を自然に近づける仕組み

接客のスタイルにも愛さん家独自のこだわりがあります。ランチメニューはボードに書いてあるだけでなく、あえてスタッフが口頭でお客様に説明。
「今日の日替わりは春キャベツの豚肉巻きですよ」「店主手作りのソースがかかっています」などの会話を大切にしています。そうすると、お客様との距離が縮まり、一人でも気兼ねなく入れる雰囲気が生まれます。
「お客様第一、でも一番大切なのはスタッフ」という信念

店主はインタビューの中で、「お客様第一やけど、やっぱり一番はスタッフですね」と語っています。その理由は非常にシンプルで、「スタッフがいないとお店ができないから」という、共に働く仲間への心からの敬意と感謝があるからです。この想いが伝わっているからこそ、10年、15年と長きにわたって勤め続けるベテランスタッフが在籍し、離職率の高い飲食業界において驚異的な定着率を誇っています。

愛さん家が20年以上続いてきた最大の要因は、この「店主からスタッフへの愛」と、それに応える「スタッフの店・店主への愛」という、温かな循環があるからだといえます。
地域のドラマが生まれる場所

20年という長い歴史の中で、愛さん家は単なる飲食店という枠を超えて、お客様の人生の節目に寄り添う特別な場所となっています。
店主が語る、前撮りやプロポーズにまつわるエピソードは以下の通りです。
奥の席で交わされたプロポーズと結婚式の前撮り

ある時、店内の奥の席で、実際にプロポーズが行われたことがありました。華やかさはないかもしれませんが、温かな空間だからこそ二人にとっての思い出の場所となり、一生の約束を交わす場として選ばれたのでしょう。
さらに驚くべきことに、結婚式の前撮りの舞台にもなったそう。これには店主自身も驚き、当初は親心から「こんなところで(撮影するなんて)親が反対するから」と止めたというユニークな裏話もあります。
エピソードの背景にある想い

こうした特別な瞬間に立ち会えたことについて、店主は「嬉しいよね。いや、こんなうちみたいなお店でね、わざわざ」と、自分たちのお店を選んでくれたことへの深い感謝を口にしています。
「それぞれのお客様にドラマがあります」と店主。お店が長年にわたって、お客様一人ひとりと近い距離で歩んできた証といえます。
これからも地域のサードプレイスとして

店主は、自身の健康に気を配りながら、「やれるところまで頑張りたい」と語ります。愛さん家は、単にお腹を満たす場所ではありません。店主が早朝から準備を始め、手間暇かけて作る料理、そしてスタッフとの温かな交流を通じて、明日への元気をチャージできる「サードプレイス」です。
道後を訪れたときは、ぜひこの赤い看板の扉を開けてみてください。そこには、「誰かが自分のために作ってくれる料理」の尊さと、最高の笑顔があなたを待っています。
【基本情報】
- 住所:愛媛県松山市道後北代7-3シャーメゾンココン1F
- 営業時間:9:30~16:00(L.O.15:00)、18:00〜21:30(L.O.20:30)
- 定休日:日曜日・祝日
- 駐車場:あり
- 決済方法:現金、PayPay、メルペイ、d払い(カード不可)




