東京の多摩ニュータウンといえば、豊かな自然が共存する新しい街のイメージですが、この地域に約3万2千年も前から人々が暮らしてきたことをご存じでしょうか。
その多摩の足元に刻まれた壮大な歴史の物語を知ることができるのが、実際に遺跡の調査に携わる学芸員が企画・運営する「東京都立埋蔵文化財調査センター」です。
京王・小田急多摩センター駅から歩いて約5分とアクセスも抜群。しかも「入場無料」。子供はもちろん、大人も時間を忘れて夢中になれるその魅力をご紹介します。

多摩ニュータウンから見つかった「3万年の物語」
多摩市、八王子市、町田市、稲城市にまたがる広大な「多摩ニュータウン」。この地域では964ヶ所の遺跡が見つかり、40年をかけて調査が行われてきました。
それらの遺跡には旧石器時代から江戸時代に至るまで、あらゆる時代の人々の痕跡が残っていました。まさにここは気が遠くなるほどの長い間、人々がリレーのように暮らしを紡いできた歴史の丘なのです。
遺跡から発掘された土器や石器類は、全部で数十万点以上にものぼるそうです。それらを保管・展示しているのが、「東京都立埋蔵文化財調査センター」です。

ここには「展示ホール」に加え、当時の景観や竪穴住居を復元した遺跡庭園「縄文の村」が併設されており、縄文時代の空気をたっぷりと体感することができます。
「体験コーナー」で縄文人の生活を疑似体験!
展示ホールの入口でまず迎えてくれるのが、素敵な衣装をまとった縄文人(マネキン)です。今から数千年前、ここに暮らしていた彼らは、一体どんな毎日を過ごしていたのでしょうか。 そんな彼らの生活を疑似体験できるのが、ホール右手にある「体験コーナー」です。

けっこう難しい!土器の復元パズルに熱中する
遺跡から掘り出される土器は、最初からきれいな形をしているわけではありません。土器を復元するには、バラバラになった破片をジグソーパズルのように一つひとつ繋ぎ合わせていくそうです。
立体パズルで「土器の復元」に挑戦して、土器の形や文様を手で感じてみましょう。

今日の献立は? ドングリをすりつぶしてみる
縄文人の暮らしを支えていた主食の一つが、森の恵みであるドングリです。彼らはドングリを石の道具で細かくすりつぶし、アクを抜き、焼いて、「クッキー」のようなものを作っていました。
石の道具を手に取って、ドングリをゴリゴリとすりつぶしてみましょう。

おしゃれも忘れない!縄文ファッションをまとう
縄文人の「衣」については、まだよく分かっていません。ですが、麻などの植物の繊維で布を編み、服を仕立てていたと考えられるようです。
センターオリジナルの「縄文服」を着れば、あなたも縄文人の気分に。

暮らしを彩る手仕事
その他にも、火をおこしたり、硬い石や動物の骨に穴をあけてアクセサリーを作ったり、カゴを編んだり、何種類もの模様で土器を飾ったり……。縄文人の「手仕事」を疑似体験をしてみましょう。

展示室で出会う本物にドキドキ
体験コーナーで縄文人の暮らしを体感したあとは、常設展示を見に行きましょう。
最初に出会うのは、多摩ニュータウン遺跡を代表する縄文時代の2体の貴重な遺物です。
神々しい大型の土偶は、「多摩ニュータウンのヴィーナス」。2009年にイギリスの大英博物館で開催された「土偶 The Power of the DOGU」にも展示されました。

そして「丘陵人(おかびと)の肖像」と呼ばれる大きな顔。土器のフチに装飾として貼り付けられていた「顔面把手(がんめんとって)」と思われるものです。

本物の土器にそっと触れてみる
常設展示では、旧石器時代から江戸時代までの歴史を、数々の出土品とともにたどることができます。

なかでも、縄文時代の土器が見せる豊かな造形美は必見です。
嬉しいことに、これらの土器は見るだけでなく触ることができます。 手のひらでそっと触れて、数千年前のぬくもりを感じてみましょう。

また、展示室のなかでぜひ探してほしいのが、手のひらサイズの小さな土偶たち。今にも動き出しそうな生命感あふれる造形は、見ているだけで心を和ませてくれます。

五感で楽しむ遺跡庭園「縄文の村」
展示ホールを楽しんだあとは、屋外の遺跡庭園「縄文の村」へ。

ここは「多摩ニュータウンNo.57遺跡」という、実際に縄文時代の集落が見つかった場所。その上に土を盛って保存し、当時の多摩丘陵の景観をそっくり復元した庭園です。園内には、縄文人が生活に使っていたトチノキ、クルミ、クリなど、50種類以上もの植物が植えられています。
さらに園内には、縄文時代前期・中期頃の竪穴住居が3軒復元されています。

竪穴住居に一歩足を踏み入れると、ほのかにいぶしたような香りが漂います。中は少しひんやりしていて、屋根の小さな換気口からわずかな光が差し込むだけの、ほぼ真っ暗な空間。当時の暮らしのリアルな空気が肌を通して伝わってきます。

これらの竪穴住居では、保存を兼ねてほぼ毎日、炉で焚火が行われています。焚火の詳しいスケジュールは、公式サイトでご確認ください。
園内を一通り廻ったら、大きな日陰のある棚で一休み。ここでお弁当を食べながら、ゆったりと縄文時代に想いを馳せるのもお勧めです。

楽しみながら学べる仕掛けがいっぱい!
ここまでご紹介してきた展示など全ては、遺跡を知り尽くした学芸員の手によるものです。彼らプロによる、サービスやイベントも見逃せないものばかりです。
プライベートの展示ツアーも
展示を見ていると「これってなんだろう?」と気になることがいっぱい。そんな考古学に関する疑問や質問に、学芸員の方が直接答えてくれるのが「考古学相談室」です。 観覧者の希望に合わせて、短時間でポイントを解説してもらうことも、時間をかけて展示を案内してもらうことも可能だそうです。受付時間などは、公式サイトでご確認ください。
無料で楽しめるイベントをチェックしよう
ここでは年間を通じて、無料で参加できる様ざまな体験イベントや講演会などが開催されています。詳細や申込フォームは、開催日の約1か月前までに公式サイトに掲載されます。
見学のあとには、アンケートに答えてクリアファイルなどがもらえるお楽しみも! 訪れた際はぜひ手に入れてみてくださいね。

基本情報
東京都立埋蔵文化財調査センター(東京都埋蔵文化財センター)
ホームページ:https://www.tomaibun.jp/index.html
開園時間:午前9時30分〜午後5時00分
※11月から2月は遺跡庭園「縄文の村」のみ午後4時30分まで
休館日: 毎年12月29日から1月3日
その他、施設メンテナンス及び展示替えのための休館あり
アクセス:京王相模原線「京王多摩センター駅」東口 徒歩約5分
小田急多摩線「小田急多摩センター駅」東口 徒歩約5分
多摩モノレール「多摩センター駅」 徒歩約7分
※詳しくは、公式サイトでご確認ください。




