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もの・こと  |    2026.05.14

読者と出版業界をつなぐ新たな取り組み『本をつなぐプロジェクト』【後編】

紀伊國屋書店新宿本店で開催された『KINOFES 2026』(画像提供:ぶっくまさん)

2025年1月に立ち上げられた『本をつなぐプロジェクト』は、読者と出版業界をつなぐ活動です。プロジェクトメンバーは主にSNSを中心に活動していますが、オフラインでの活動にも力を入れています。

前編ではSNSを主な活動の場としたオンラインでの活動について『本をつなぐプロジェクト』の代表ぶっくまさんに伺いました。後編では、これまでに『本をつなぐプロジェクト』としてかかわってきたリアルイベントや、今後の活動について伺います。

前編はこちらからご覧ください。

前編はこちら

読者と出版業界をつなぐ新たな取り組み『本をつなぐプロジェクト』【前編】

リアルイベントを増やしたい

『読の市』2日目の様子(画像提供:ぶっくまさん)

2026年は『本をつなぐプロジェクト』として、『読の市(よみのいち)』と『KINOFES 2026』のリアルイベントにも参加しました。

「リアルイベントに参加する意義は、活動の証明や店・読者・メンバーとの接点づくりです。また、交流が信頼と連携を生み、次の企画へとつながると考えています」

今後はさらにリアルイベントへの参加や企画運営を増やしたいとのこと。ここでは、先日開催された『読の市』と『KINOFES 2026』について、詳しく伺いました。

『読の市』では『コーチャンフォー若葉台店』とコラボ出店

『読の市』はコーチャンフォー若葉台店とのコラボ出店(画像提供:ぶっくまさん)

『読の市』は、都立明治公園で初開催された、「読む」「書く」の魅力を体験として届ける大型マルシェです。2026年2月21日(土)〜23日(月・祝)の3日間開催され、来場者数は3日間で3万人を超えたとのこと。

マルシェでは、本や書店の空気に浸る“読書浴”を体験として提案し、「コーチャンフォー若葉台店×ツナグ図書館」としてコラボ出店しています。

読の市には、2020年に約3万人を動員した『二子玉川 本屋博』という前身のイベントがありました。今回はその姉妹イベントとしての開催。

前回開催のデータをもとに、事前にどのくらい売れるかの見込みをしていたものの、実際はどのくらい売れるのか予想がつかないまま当日を迎えたといいます。

『読の市』ではメンバーがスタッフとして参加(画像提供:ぶっくまさん)

「当日は天気も良く、たくさんのお客さんに恵まれました。予想よりも大幅に上回る売れ行きで、来場者の本に対する熱量も感じました」

日頃はSNSを通じたオンラインのやりとりなので、『読の市』ではお客さんの反応を直に見られる貴重な体験だったといいます。

販売した書籍は、投稿がバズった本や『ツナグ図書館』メンバーによる選書、SNS推し本大賞2025大賞作品の3つの切り口で揃えたもの。また、ツナグ図書館メンバーには選書に加えてコメントも募集し、当日POPとして掲示したといいます。

イベントでは、メンバーが選書した本が次々と完売したとのこと。

「メンバーの皆さんも体験に価値を感じてもらったと思いますし、来場してくださったお客さんも本に触れる良い機会だったと思います」とぶっくまさん。

初めてのリアルイベントは大成功でした。

『KINOFES 2026』ではオールナイトの貴重な体験

『KINOFES 2026』開催当日の紀伊國屋書店新宿本店(画像提供:ぶっくまさん)

紀伊國屋書店新宿本店で開催された『KINOFES 2026』は、750名が参加した初のオールナイトイベントです。書籍が売れないといわれる時代に、参加者の8割が書籍を購入したとのこと。

深夜の書店という非日常体験によって、若い人たちにもリアル書店の魅力を届けられました。

「ぶっくマップという、2軸で本の特徴を表す図解をXにて投稿していたのですが、それをリアルで実施する取り組みをしました」

ぶっくマップは、縦軸と横軸で4つの領域に分け、それぞれの領域に当てはまる本を、1冊ずつ紹介しながら作り上げていくものです。考案者のぶっくまさんが自ら実践し、会場は盛り上がりました。

実物の書籍を使ったぶっくマップを実演している様子(画像提供:ぶっくまさん)

イベントではそのほかにも、速読に関する書籍の実演や本のバトンリレーのようなことも実施。イベントが始まると、多くの人が足を止めて話を聞いてもらえたといいます。

「イベントは色々なエリアで同時進行で発生していたので、お祭りのような感覚でした。参加者だけでなく、発表者としても非日常を体験できたイベントでした」

今後はさらに魅力的な企画を増やせるように検討中です。

『SNS推し本大賞』の授賞式も大きなイベント

SNS推し本大賞2025の授賞式(画像提供:ぶっくまさん)

昨年は『SNS推し本大賞2025』の授賞式を開催し、さまざまな方面からの反響が大きかったといいます。今年は、より規模を大きくして『SNS推し本大賞2026』の授賞式を開催予定。

「ノミネート作品の発表時点でも、何らかのイベントを開催したいと考えています。『SNS推し本大賞』は、もちろん本が主役ですが、それと同じくらい読者も主役のブックアワードです」

新たな取り組みとして、読者が参加できるようなイベントを開催できるよう、運営メンバーとの検討を重ねていると語ってくれました。

出版業界にはまだまだ打ち手がある

現在、出版業界は多くの課題を抱えています。『本をつなぐプロジェクト』として、今後は出版業界へ積極的に働きかけをしていくとのこと。

「色々な考え方がありますが、出版業界側がSNSを活用することでまだまだ打ち手があることに気づくことが一つです」

ぶっくまさんが出版社との打ち合わせする際、SNSでの取り組みのシェアや提案をしているといいます。すると、担当者が「まだまだやれてないことがある」と気づく場面があるそうです。

「斜陽産業にいると後ろ向きになりがちですが、私たちは本の未来を前向きにつないでいけます」

ぶっくまさんは真っ直ぐ前を見て語ってくれました。

これからは都市部以外への働きかけも

『SNS推し本大賞2026』ではパートナー書店を募集中
平和書店アル・プラザ城陽店の様子

地方の書店やイベントに関する思いをたずねました。

地方に向けてはまだまだできてないことが多いといいます。その一方で、『本をつなぐプロジェクト』としての取り組みが少しずつ広がっていることも確かです。

「たとえば、地方独自のイベントについて、SNSを通じて広げていく取り組みならお役に立てるのではないかと思っています」

他にもプロジェクトとして働きかけられることはあるが、メンバーたちの理解が及んでいない部分があるため、まずはコミュニケーションをとるところからはじめたいとのこと。

全国の書店で『ツナグ図書館コーナー』や『SNS推し本大賞』が展開されることを期待しています。

これからのビジョン

『本をつなぐプロジェクト』は2025年1月に立ち上げられ、まだ1年4か月ほどです。

「このような短期間の活動ですが、プロジェクトに共感してくださり、協力いただける書店様、出版社様が少しずつ増えてきています。本当にありがたいことです」

プロジェクト立ち上げ時には考えられないほど、メンバーは増え、活動の幅も拡がっています。今後はメンバーそれぞれにファンが増えることで、さらにプロジェクトの影響力は強まるでしょう。

「これからも本の価値を読者に伝えつつも、私たちができることを業界の方にも伝えていきます。本に関わる人や未来の読者にも向け、ポジティブな循環を作っていきます」

『本をつなぐプロジェクト』は現在、大きな注目を集めています。ビジネス雑誌『THE21』4月号には、『ツナグ図書館』メンバーのインタビュー記事も掲載されました。

今後、さらなる活躍を期待しています。

『本をつなぐプロジェクト』詳細情報

『本をつなぐプロジェクト』の詳細は、以下のURLをご確認ください。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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