
現在、毎日のように「書店閉店」のニュースが届いているような状況です。ニュースとして取り上げられているのは、都市部にある大型書店のみ。地方の小さな書店も含めると、2025年12月時点で、実店舗はピーク時の3分の1以下にまで減少しています。
そんな状況下であるにもかかわらず、書店に行列ができるほどのイベント『KINOFES』が開催されました。イベントにかかわっていたのは、2025年1月に立ち上げられたSNSで本を広める仕組みをつくる『本をつなぐプロジェクト』です。
『本をつなぐプロジェクト』には現在120名以上のメンバーが所属しています。できたばかりのプロジェクトでありながらもコラボ出版社は5社、書店展開も60店舗以上という実績。

今回は、『本をつなぐプロジェクト』の代表ぶっくまさんに、プロジェクトの概要や立ち上げ時の想い、今後の展開などについて詳しく伺いました。
事業として成り立つかどうかはわからなかった

ぶっくまさんは、2024年11月から書評チームの『ツナグ図書館』の活動を開始し、約2ヶ月後に『本をつなぐプロジェクト』を立ち上げています。どちらも世の中になかった事業です。事業立ち上げには、どのような思いがあったのでしょうか。
「正直、見切り発車でした。だけど一人だけでは何も始まらない。だったらまずはやってみようというノリでメンバーを募り、始めてみました」
ぶっくまさんは、事業として成り立つかは正直わからなかったと語ります。ぶっくまさんのSNS総フォロワー数は18万人以上。それでもなお、一人よりもチームでの活動に希望を見出します。
「会社として成り立つ見込みというよりは、まずは私個人の副業収入を計上する器として法人を立ち上げました。SNS推し本大賞の運営会社として必要であったという側面もあります」
もちろん、ゆくゆくは事業として成り立たせていきたいという思いがあったというぶっくまさん。想定していたよりも、早く目標に到達したとのこと。
『本をつなぐプロジェクト』の概要

「メンバー全員が自分たちの手で切り拓いていくという想いで取り組んでいます」
『本をつなぐプロジェクト』には、意欲的なメンバーが集まっているとのこと。実際は、どのようなプロジェクトが展開されているのでしょうか。プロジェクトとしての主な活動は、以下の6つがあるといいます。
- ツナグ図書館:本との出会いを創る場所
- SNS推し本大賞:読者の声を可視化・拡散
- 読書が好きになるラジオ:読書の魅力を音声で届ける
- ゆいまるの部屋:絵本/児童書の魅力を届ける
- 有益読書会:Xの配信機能を活用して読者や著者との交流を図る
- YouTube配信:読書の魅力を声や映像で届ける
また、上記のほかに各種リアルイベントも開催しています。これらのプロジェクトはそれぞれが独立しながら、互いにつながるものです。
「これら複数のプロジェクトによって相乗効果を生み、有機的に連動する相互シナジー効果が期待できます。すべては読者と出版業界をつなぐ接点を増やすためです」
と、ぶっくまさん。現在、「有益読書会」と「YouTube配信」については仕切り直しを検討中とのこと。そのほかの4つの活動について伺いました。
『ツナグ図書館』の取り組みによって重版も達成

『ツナグ図書館』は前述したとおり2024年11月に開始されました。初期メンバーは約20名。少数精鋭で実績を積んだといいます。
『ツナグ図書館』の大きな狙いは、SNSを通じて本を広める仕組みをつくることです。従来の方法は、出版社と書店の発信のみでした。しかし、出版社や書店の発信だけでは、新たな層へのリーチが限定的です。
「SNSを通じて情報発信すれば、出版業界を活性化できるのではないかと考えました。しかし、インフルエンサーが一人で発信しても、出版業界への影響力はそれほど大きくありません。そこで思いついたのが、組織をつくることでした」

一人では届かない場所でも、チームで取り組めば届くようになると、ぶっくまさんは熱く語ってくれました。
情報発信は誰でも簡単に取り組めますが、その一方で継続は難しい側面もあります。とくに、一人での継続発信はモチベーション維持が難しく、挫折しやすいとのこと。モチベーション維持の課題解決にも、組織が大きな役割を担います。
2025年には『ツナグ図書館』の活動を通じて、さまざまな変化が起きました。
◆紹介した書籍が重版決定
メンバーが紹介した書籍が初速好調となり、重版が決定した事例もあります。SNSの発信が、実際に本の命運を変えた瞬間でした。
◆メンバーのフォロワーが増加
『ツナグ図書館』はSNSを通じて書籍を紹介する取り組みです。したがって、発信の影響力が重要な鍵を握ります。しかし、メンバー全員が多くのフォロワー数を抱えているわけではありません。
そこで、発信の影響力を強めるため、発信方法に関するセミナーや相談会を開催。現在は多くのメンバーがフォロワーを増加させています。現在、チームメンバーの総フォロワー数は50万人以上です。
◆2,300冊以上の献本数
『ツナグ図書館』が現在までに受けた献本数は2,300冊以上です。コラボ出版社も5社となっています。ゼロから立ち上げたチームが短期間で積み上げた実績としては、大変大きなものではないでしょうか。
じつは、立ち上げ当初はメンバーの活動に対して収益化ができていませんでした。しかし、ランク制度を導入したことと活動の幅が増えたことにより、現在は上位メンバーの収益化を実現しています。
今後は、『ツナグ図書館』のブランドを確立し、さらに強化していきたいとのこと。
目標は『SNS推し本大賞』の受賞作品がベストセラーになること

『SNS推し本大賞』は、メンバーからの「SNSを使って何か面白いことできたらいいな」というアイデアで実現しました。
出版業界の大きな課題は、書店が減っているために本の棚自体が少なくなっていることです。結果的に新刊がすぐに下げられてしまったり、いい本でも目立たなかったりしていました。
そこで、少しでも課題解決の足がかりになればいいと考え出されたアイデアが、『SNS推し本大賞』です。
じつは、約3年前に1日限定で開催されたイベントが元になっています。1日限定だったにもかかわらずWebや新聞で取り上げられました。同じようなイベントとして開催したのが、『SNS推し本大賞2025』です。
SNS(特にX)ではフォロワー数に左右されるため、インフルエンサーの発信が拡散されやすくなっています。しかし、インフルエンサーの発信だけでは、いい本が埋もれてしまうという課題がありました。
その点、この企画のメリットはアカウントを持っている方なら誰でも参加できるところです。つまり、フォロワー数に関係なく、票を投じることができ、ハッシュタグによって透明性も担保できます。

昨年の実績では、3700人の方に投票していただき、投票数も8500票になりました。書店では、最終的に60店舗以上で棚を展開していただき、予想以上の盛り上がりに驚いているといいます。
また、半年ぶりに重版がかかったり、アマゾンのランキングが上昇したりする作品が出るなどの成果を残すことができました。目標はベストセラーを出すことなので、2026年は、より一層力を入れていきたいと思っています。
『SNS推し本大賞2026』は、4月24日にSNS上で正式に発表し、5月1日から5月31日まで1次投票、8月1日から31日まで最終投票。10月30日の授賞式は、規模を昨年の2倍くらいにする予定です。
より熱量の高いコメントをしていただけると、ノミネート作品に選ばれる可能性が高くなります。5万人以上の参加を目標に取り組んでいるので、皆さんの投稿もお待ちしております。
SNS推し本大賞2026の詳細は、下記のサイトをご確認ください。
>>SNS推し本大賞2026
毎日配信『読書が好きになるラジオ』
『本をつなぐプロジェクト』メンバーが交代でパーソナリティーを務め、『読書が好きになるラジオ』としてVoicyでの音声配信をしています。内容は読んだ本の感想やイベントに関することなど。パーソナリティーによって得意分野が異なるため、さまざまなジャンルの話が聞けます。
「現在は毎日(週7回)の放送をしていますが、開始当時は二人で担当していたので、投げ出したくなりました」
と、弱音を吐くぶっくまさん。Voicyに申請をしたら許可が下りてしまい、急遽放送を開始することになったといいます。その後、パーソナリティをしてくれるメンバーが見つかり、今のような形になりました。
そんなVoicyの配信も、気づけば300回を超えました。再生回数も5万回を超えています。
「回数を減らすメンバーや脱退するメンバーもいるため、その穴をうめつつも、さらに内容を強化していくつもりです」
今後はさらに出版業界が盛り上がるように、音声配信にも力を入れていきたいと、意気込みを語ってくれました。
絵本・児童書の魅力を届けたい『ゆいまるの部屋』
「『ゆいまるの部屋』は、メンバーのなかからのアイデアです。絵本に触れるきっかけを増やしたいとの想いから始まりました」
現在は主なプロジェクトメンバーがそれぞれに絵本を紹介する形を取っているそうです。絵本は子どもにとって身近な本でありながら、どの絵本を読めばいいのかわからないと悩む保護者も多いと語るぶっくまさん。
「2026年の新たな活動として、福音館書店の絵本の魅力を紹介することになりました」
福音館書店からは、『ぐりとぐら』をはじめとする人気の絵本が出版されています。イベント企画としては、福音館書店の絵本100冊の感想を多くの人に投稿してもらうというもの。SNS上で広く共有し、絵本に触れる機会が増えることを期待しています。
SNSを軸に出版業界を盛り上げる

ここまで、『本をつなぐプロジェクト』のオンラインでの活動について紹介しました。プロジェクトメンバーは全員が「自分たちが業界を変えていく」という意識を持って6つの活動に取り組んでいます。
「SNSだからこその価値をリアルにも届けたい。私たちだからこそできることで業界に価値を届けたい」とぶっくまさん。
じつは、『本をつなぐプロジェクト』の活動はオンラインだけではありません。後編では、オフラインでの活動について紹介します。
『本をつなぐプロジェクト』詳細情報
『本をつなぐプロジェクト』の詳細は、以下のURLをご確認ください。





