京都府北部に位置する綾部市。綾部市には、京都府内最大の円墳と呼ばれる、謎多き古墳「私市円山(さきいちまるやま)古墳」があります。
この記事では「私市円山古墳公園」と、古墳や綾部市の歴史がわかる「綾部市資料館」、そして綾部市資料館での展示をみて興味を持ったのがきっかけで訪れた「あやべグンゼスクエア」をご紹介します。
私市円山(さきいちまるやま)古墳とは?
私市円山古墳は、昭和63年、舞鶴若狭自動車道の建設ための発掘調査によって発見されました。約1,500〜1,600年前の古墳時代中頃に造られた、由良川(ゆらがわ)流域の王の墓といわれています。
古墳は円形で直径が約71m、造り出し部分を含めると、全長約81mに達します。高さは約10mあり、斜面が3段につくられています。さらに葺石が約6万個敷き詰められ、約1,000体の埴輪が並べられていました。
由良川の王はだれ?
由良川中流域には、1000基をこえる古墳が発見されています。そのなかで最も大きな古墳がこの私市円山古墳であり、出土品の様子からも、この地域を治めていた王ではないかと考えられています。
古墳の頂上にはふたりの王が葬られていました。彼らがどのような人物だったかは不明ですが、豪華な副葬品が見つかっています。副葬品は、よろいやかぶと、刀などの武具、鏡や玉類などです。外側の埋葬施設では、大変珍しい金銅張りの矢袋「胡簶(ころく)」が出土しています。これらの出土品は綾部市資料館で見ることができました。
古墳の上は見晴らしが最高!
私市円山古墳公園に向かって車を走らせていると、山の上に古墳が見えてきます。古墳の下にトンネルが通っており、不思議な光景でもありました。
山の中の階段を上っていくと、頂上に続く階段と埴輪の頭が見えてきます。1歳児でも気合いがあれば上れる距離でした。
並ぶ円筒埴輪と葺石をみながら、頂上を目指します。頂上につくと、視界が開け、由良川とその周辺にひろがる田園風景…!
あいにくの小雨模様で、遠くまでは望めませんでしたが、世界が遠くまで続いていることを感じさせるような広々とした風景でした。
古墳に埋葬された王も、この由良川を眺めていたのでしょうか。
綾部市資料館
私市円山古墳公園から、車で10分ほどの場所にあるのが「綾部市資料館」です。入館は無料。
旧石器時代から時系列で綾部市の歴史を追っていく展示がされており、歴史の勉強にもなります。
メインは、もちろん私市円山古墳からの出土品です。
綺麗な状態で残っていた甲冑や鉄刀、蛇行剣(だこうけん)、碧玉製勾玉(へきぎょくせいまがたま)など、たくさんの副葬品が出土したことがわかります。また埋葬の様子も再現されていて、より理解が進みました。
さらに、綾部市周辺が何鹿郡(いかるがぐん)と呼ばれていた、奈良〜平安時代の土器や瓦、木簡などの出土品、ムラの祭りや暮らしにまつわるものの展示があります。
また、武士の時代の文書や武器などの出土品のほか、数多く残っている山城についての展示も興味深く、綾部市の歴史がより身近に感じられました。
また、訪れた際には、綾部市発祥であるグンゼの特別展示がされており、糸になる前の繭や「郡是」と書かれた布などがありました。そのため、グンゼに興味を持ち「あやべグンゼスクエア」へ足を伸ばすことに。
グンゼ発祥の地にある「あやべグンゼスクエア」
綾部市の街中にある「あやべグンゼスクエア」。
ここにはグンゼの博物館である「グンゼ博物苑」をメインに、創業者の波多野鶴吉が暮らした社宅の一部を移築した「道光庵」(カフェ・宗右衛門珈琲)や特産館、綾部バラ園が入った場所です。
「グンゼ博物苑」は、創業蔵・現代蔵・未来蔵の3つの蔵に分かれて、グンゼの歴史が展示されています。それぞれの建物の内装がその時代を表したものになっており、匂いや雰囲気まで異なるため、タイムスリップしているような感覚になりました。(内部は撮影禁止でした)
まとめ〜綾部市の歴史を体感した旅〜
「私市丸山古墳公園」と「綾部市資料館」、そして「あやべグンゼスクエア」。この3ヶ所を訪れたことで、図らずも、旧石器時代から現代までの綾部市の歴史を体感する旅になりました。
私市円山古墳公園は迫力もあり、頂上からの眺めが最高なので、ぜひ一度訪れていただきたいです。
私市円山古墳公園の情報
住所:〒623-0226 京都府綾部市私市町 円山
綾部市資料館の情報
住所:〒623-0005 京都府綾部市里町久田21−20
電話番号:0773-43-1366
あやべグンゼスクエアの情報
住所:〒623-0011 京都府綾部市青野町亀無1番地の2
電話番号:0773-43-0811
ホームページ:http://ayabe-gunze-square.com/