
美しい自然に包まれた福島県南会津町で、ひときわ神秘的な景観を誇るのが「塔のへつり(とうのへつり)」です。
長い歳月をかけて自然が創り出した絶景は、訪れる人々を静かに魅了します。
本記事では、塔のへつりの見どころやアクセス方法についてご紹介します。
「塔のへつり」とは

国の天然記念物に指定されている大川羽鳥県立自然公園最大の景勝地。
あまり耳慣れない「へつり」という言葉は会津地方、特に南会津で使われる方言で「断崖」や「絶壁」を意味します。
「塔のへつり」とは「塔のようにそそり立つ断崖」のことで、大川沿い約200メートルにわたり、仏塔やお城のような形をした岩が立ち並ぶ姿はまさに壮観です。
約100万年の自然の造形美
塔のへつりの美しい景観は、火山灰が固まってできた凝灰岩(ぎょうかいがん)が風雨や川の流れにより少しずつ削られ、100万年もの長い年月をかけて形成されました。
人工的な手が一切加えられていない壮大な造形美は、訪れた人誰もが息を呑む迫力です。

岩には、象塔岩(ぞうとういわ)、獅子塔岩(ししとういわ)、鷲塔岩(わしとういわ)など、それぞれ名前がつけられています。
岸側から全景を眺めながら形と名を重ねて見ると、かつてここを訪れた人々の感性や自然へのまなざしが伝わってくるようです。
吊り橋からの風景

岩場に架かる木製の吊り橋を渡ると、塔のへつりの断崖真下まで歩いて行けます。
見た目は頑丈そうな造りで安心感のある橋ですが、歩くたびに揺れが伝わってきてスリルも十分です。

橋の上からの眺めは見事で、眼下に広がる渓谷の美しさに思わず見とれてしまいます。
揺れる感覚に少し緊張しつつも、目の前の風景の素晴らしさにその場で足を止めてしまうでしょう。
間近で見る絶景

橋を渡り切り、岩肌が削られた遊歩道を進んでいくと、大自然が気の遠くなるような時間をかけて刻んだ造形のひとつひとつに、圧倒されるばかりです。
間近で見る岩の質感や複雑な形状には、人の手では決して生み出せない迫力があり、自然の偉大さと神秘に心を揺さぶられます。
遊歩道は濡れてすべりやすい場所や、ごつごつとした岩で歩きづらいところもあるため、履きなれたスニーカーなどで訪れるのが安心ですね。

吊り橋のたもとには、平安時代初期の武将・坂上田村麻呂が創建したと伝えられる「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」が祀られており、地域のパワースポットとして親しまれています。
成績向上や記憶力増進、商売繁盛、技芸向上のご利益がありますよ。
四季折々の楽しみ方

塔のへつりは季節によってその表情を大きく変えるのも魅力です。
春は新緑が芽吹き柔らかな緑の景色が広がり、夏には深い緑と清流の音が心を癒し、涼を求める人々にぴったり。
秋は白い岩肌に赤や黄色に染まる木々のコントラストが素晴らしい。
冬の吊り橋は通行止めとなりますが、岸側から望む雪景色は神秘的で、静けさの中に力強さを感じるでしょう。
そんな四季折々の自然を満喫できる塔のへつりは、アクセスそのものにも旅情を感じさせてくれます。
アクセス

塔のへつりへは「塔のへつり駅」から徒歩約5分。
まるで森の中にそっとたたずむ小さな家のような可愛らしい無人駅で、2002年(平成14年)東北の駅百選に選定されました。
電車の運行間隔が長いので、あらかじめ時刻表で確認することをおすすめします。
30分ほどの塔のへつり見学を終えたら、近くのお土産屋さんで会津の民芸品や郷土料理を楽しみながら、時間の調整をするのもよいですね。
心ほどける気軽な絶景旅
福島・南会津の「塔のへつり」は、自然が100万年もかけてつくり出したダイナミックな景観が楽しめるスポット。
ごつごつした岩が立ち並ぶ風景は迫力があって、探検気分も味わえます。
近くには、茅葺き屋根の街並みが人気の「大内宿」もあるので、あわせて訪れるのもおすすめ。
同じ日にまわれる距離感なので、自然と歴史、両方の雰囲気をゆったり楽しめますよ。
「ちょっとどこかへ出かけたいな」そんなときにぴったりの場所です。
四季折々で表情が変わる塔のへつり、ぜひ気軽に訪れてみてくださいね。
施設情報
●名称
塔のへつり(とうのへつり)
●所在地
福島県南会津郡下郷町弥五島下タ林
●入場料
無料
●吊り橋通行期間
春季~秋季(冬季は積雪等により通行止め)
※詳しくはホームページをご確認ください
●アクセス
電車:会津鉄道会津線「塔のへつり駅」徒歩5分
車:東北自動車道・白河ICから約1時間20分/会津若松市内から約50分
●駐車場
塔のへつり 木かげの駐車場
●ホームページ
下郷町観光協会