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スポット  |    2026.01.23

本にまつわる楽しみいっぱいのシェア型書店「HONBAKO 堺本店」

大阪府堺市の仁徳天皇陵古墳近くにある「HONBAKO 堺本店」。一般的な書店とは違い、店内の本棚を区画ごとに有料で貸し出す「シェア型書店」です。書店の減少が叫ばれるなか、シェア型書店は新しい形態の書店として全国的に広がりを見せています。

今回は、堺市の本好きさんたちに支持されるHONBAKO 堺本店について、店長の中道尚美さんにお話を伺いました。

シェア型書店ならではの本との出会いかたで「くらしをちょっと、ゆたかに」

HONBAKO 堺本店の扉を開けると目を引くのが、左側の壁一面をおおう本棚です。30センチ×30センチに区切られた計143個の箱には、さまざまなジャンルの本が並びます。箱一つひとつに店主がいて「箱主さん」と呼ばれています。

店長の中道尚美さん(本人提供)

お店のコンセプトは「大好きな本に囲まれて、『くらしをちょっと、ゆたかに』」
大型書店をはじめとする一般的な書店と違うスタイルが、本と人との新しいかたちのつながりを生んでいると、中道さんは話します。

「作家さんごとに本が並んでいたり、旬な雑誌が並んでいたりする一般的な書店とは違い、箱主さんそれぞれが『誰かに届けたい』という思いでセレクトした本や、箱主さん自身が書いた本などが置かれています。現在の箱主さんは120名あまり。年齢も職業も違う一人ひとりの価値観で選ばれた本が並ぶため、自分ではなかなか手にとらないような本と出会えるのがこの店の最大の魅力だと思います」

箱主プランは4種類。「箱主総会」に出席できるプランも

HONBAKO 堺本店には月額レンタル料4400円(税込)の「Fun(ファン)」プランや同3850円(税込)の「Organic(オーガニック)」プランなど、4つの契約プランがあります。自分のつくりたい「本箱」のスタイルに合わせて選べる仕組みです。

本1冊の売上につき100円を販売手数料として預かり、そのうち50円は社会貢献活動を行う基金へと寄付しています。

また、箱主さんになるとHONBAKO 堺本店で「一日店長」体験ができるほか、「Fun」プランの契約者は売上金の寄付先やお店の運営方針などについて話し合う「箱主総会」に参加できます。

「箱主総会に参加できるのは『Fun』プランの箱主さんだけですが、議事録は全箱主さんにお送りし、共有します。 

箱主さんがこの本棚で本屋さんを開店している主であり、私たちは大家のようなもの。広く意見をお聞きすることで、お店の運営に対する考え方がふくよかになると思っています」

箱主さんとして主体的にお店の運営に関われるのも魅力ですね。

箱主さん一人ひとりの個性が光る「本箱」。
取材に伺ったのはクリスマス目前の12月下旬。
箱主さんが描いたかわいらしい絵が飾られていました。

本を介した交流や箱主さんによるイベントも盛ん

HONBAKO 堺本店には、本棚と向かい合う壁際にベンチが設置されています。ここが箱主さん同士、または箱主さんとお客さんとのコミュニケーションの場になることも。

「お客さんが箱主さんに悩みを相談されていたこともありました。真向かいに座ると話しにくい話題も、このベンチでなら話しやすいんだと思います。もちろん、交流が苦手な方は静かに本を読めます。私はここを『魔法のベンチ』なんて呼んでいるんですよ」

共通の関心事をきっかけに、年の離れた箱主さん同士の間に友情が生まれたり、同じ悩みを持つ人が交流したりと、本を介してあたたかなコミュニティができあがっているそうです。

ヨガのレッスンや介護系ゲームの体験会、メンタルヘルスに関するカウンセリングなどのイベントも行われています。

「HONBAKO 堺本店を“町の保健室”のように使いたいと言ってくださる箱主さんもいます。私たちもいろいろなことを話せる“町のベンチ”のような存在でありたい。本を軸にして、人と人とが出会うことで生まれるものを大切にしたいですね」

「箱主さんブックフェア」コーナーには、箱主さんのおすすめの本が並びます。
「こころとあたまの深呼吸」をテーマに、イチオシ本がずらり。

今後も地域に貢献できるシェア型書店として

2022年の開店以来、本を愛する人たちの交流の場として続いてきたHONBAKO 堺本店。育んできたコミュニティのあたたかさを、堺という地域にも還元したいと中道さんは考えています。2025年5月には大仙公園にスクリーンを立て、映画を野外上映する「HONBAKO 野外映画祭」を開催しました。

「星空の下で映画を観るというかけがえのない体験を子どもたちにしてもらいたい。それによってここが子どもにとって“素敵な思い出のある町”になり、ゆくゆくは大仙町で働きたいという人が出てくるかもしれません。地域に還元というとえらそうなのですが、人々が堺を愛してくれる土壌づくりに貢献したいと思っています」

現在、「HONBAKO」は堺本店のほかにも、京都府宇治市と大阪府大阪市西区北堀江に店舗があります。運営スタイルはそれぞれ違うものの、お客さんが店舗を行き来するなど、本を介したコミュニティが相乗効果を生みつつあるとのこと。

また、2025年9月にはオンラインサロン「HONBAKO salon」も始まりました。「『本にまつわるいいお話や、じっくり考えてみたいことが日々の忙しさのなかで消えていってしまうのはもったいないな』という思いからスタートした、スローペースなオンラインサロンです」と中道さん。あわただしさのために忘れてしまいがちな思いを記す場としてますます発展していきそうですね。

HONBAKO 堺本店は単なるシェア型書店ではなく、本を通じて優しい交流が生まれる場所でもあります。堺市にお住まいの本好きさんは足を運んでみてはいかがでしょうか。

【店舗情報】
名称:シェア型書店 HONBAKO 堺本店 
住所:〒590-0801 大阪府堺市堺区大仙中町8-2
営業日時:水・金・土・日 12:00-16:30
祝日:不定休(Google Mapsでの確認をおすすめします)
アクセス:JR阪和線 百舌鳥(もず)駅から徒歩12分
公式HP:https://honbako-cafe.com/sakai/
Instagram:https://www.instagram.com/honbako_cafe
HONBAKO salon:https://salon.honbako-cafe.com/

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この記事を書いた人

長嶋 祐美子

大阪生まれ、大阪育ち、関西を中心に活動するフリーライターです。本とカフェ、文房具が大好き。インタビュー記事執筆のほか、Webコンテンツの制作などにも携わっています。「丁寧な取材と穏やかな語り口で“温度まで伝わる記事”をつくる」がモットーです。南大阪を中心に、大阪の魅力を発信していきます!

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