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スポット  |    2026.03.19

相模原で体験する月世界 – JAXA宇宙探査実験棟|神奈川県相模原市

変形型月面ロボット(LEV-2)「SORA-Q」が撮影・送信した月面画像

(画像はJAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学 様ご提供)

神奈川県相模原市に、まるで月面のような風景を目にできる施設があります。「宇宙探査実験棟」です。一面に砂が敷き詰められた、これほど大規模な屋内実験場は国内ではここだけ。一般の方もツアー見学が可能です。ロボットや先端技術など、JAXAや各企業による各種の実証実験が行われている宇宙探査フィールドを見学し、施設担当者の方にお話をお聞きました。相模原に足を運ぶ際には、見学ツアーの時間に合わせてぜひ立ち寄ってほしい場所です。

国内初となる月面ロボット開発の舞台に

JAXAでは2023年9月に小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」を打上げ、2024年1月に月に軟着陸させました。そのSLIMに搭載されていた世界最小・最軽量の月面探査ロボットが愛称「SORA-Q(ソラキュー)」です。

「SORA-Qの開発時、走行や動作試験などが行われたのがこの実験場です」。説明してくれたのはJAXA宇宙探査イノベーションハブの大川さん。宇宙探査実験棟の担当者です。

SORA-QはJAXA、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学の4者の共同開発によって生まれた変形型月面ロボットです。直径わずか78㎜と野球ボールほどの大きさ、重さは約228g。コンパクトなボディに記録用のカメラも内蔵しています。「SORA-Qは月に軟着陸したSLIM(スリム)の姿を撮影してくれて、その画像は無事に地球に届きました」と大川さんは語ります。月の表面はレゴリスと呼ばれる細かな砂のような堆積物でおおわれています。そのため、開発時には、ロボットが砂地でも正常に走行できるかテストする必要がありました。その実証実験が行われたのが「宇宙探査実験棟」です。

小型月着陸実証機「SLIM」に搭載された変形型月面ロボット(動作検証モデル)

(画像はJAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学様ご提供:素材番号P100014696)

小型月着陸実証機「SLIM」に搭載された変形型月面ロボット(実機)

(画像はJAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学様ご提供:素材番号P100014687)

月や火星など惑星環境をシミュレーション

掘削試験用ローバなど、さまざまな機器の運用試験が可能

(画像はJAXAデジタルアーカイブス様ご提供:素材番号P100014830)

宇宙探査実験棟の砂を敷き詰めた大きな空間が宇宙探査フィールドです。2017年にJAXAの新たな実験施設として運用を開始しました。目的は天候の影響を受けることなく、地形や日照など天体の表面を模擬した実験環境を提供すること。宇宙探査フィールドの面積は約400㎡、小・中学校の教室およそ6部屋分もの広さです。

「石英という鉱物の粒子からなる425tの砂を使用し、平地から斜面まで月・火星など他の天体の表面を模擬しています。外部の光は遮断しており、照明の調節で光の環境を変えることもできます。クレーンや搬入シャッターも完備していますので、大型の実験装置も搬入可能です」

宇宙探査フィールドはJAXAだけでなく、大学や研究機関、企業などによる実験利用も可能な施設となっており、各種ロボットや機器の運用試験が行われています。

屋内実験場の様子、見学者はフィールド全体を見渡せる2階から見学します

実験時には人工太陽照明灯を使って日照条件を模擬することもできます

実験施設のメンテナンスは「人の手」が秘密兵器

さまざまな実験を安全に続けるため、実験場のメンテナンスも欠かせません。この実験環境を保つために、何トンもの砂を追加して整地を行うこともあるのだとか。

「実験の後は、使用した装置の部品などが落ちていないか、必ず確認と清掃を行います。メンテナンスの際、決め手となるのはやはり『人による目視』です。防塵服に身を包んだスタッフが、市販の「ざる」や「おたま」なども使用して、時にははいつくばって異物を探すこともあります」と大川さん。日本の技術を支える実験環境は、人の手によって守られているのです。

出典:JAXA’s101号WEB版(https://fanfun.jaxa.jp/jaxas/no101/)・漫画:死後くん

宇宙の風景を体感できるユニークな施設

宇宙探査実験棟はJAXA相模原キャンパスの正門から入って比較的近いところにあります

建物に入るとSORA-Qの展示がお出迎えしてくれます

宇宙探査実験棟は、設立当初から一般の見学も視野に入れていました。建物2階には見学用通路が設けられ、実験棟見学ツアーに参加することで見学可能です。入場は無料。実験棟見学ツアーの実施される日時は「宇宙科学探査交流棟」の公式ウェブページにてご案内しています。月など他の惑星の風景を体感できるユニークな施設です。お近くへお出かけの際は、見学ツアーの日時に合わせてぜひ一度訪れてください。

【アクセス・施設情報】

宇宙探査実験棟

【 住所 】

〒252-5210 神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1

JAXA 相模原キャンパス内

【 アクセス 】

・JR横浜線「淵野辺駅」南口から徒歩約20分

・JR横浜線「淵野辺駅」南口、小田急線「相模大野駅」北口より路線バスあり

・無料駐車場: 若干台(予約不可)

・バス駐車場(団体専用):4台(先着順)

【 公式サイト 】

宇宙探査実験棟

https://www.ihub-tansa.jaxa.jp/about/afse.html

実験棟見学ツアー:ご見学者向け解説(宇宙科学探査交流棟サイト内)

https://www.isas.jaxa.jp/visit/reserve/index.html

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この記事を書いた人

ishiken

1966年東京生まれの北海道育ち。大学卒業後、イベント関連企業、不動産業を経て印刷業へ。 勤務先のM&A・倒産をきっかけに2016年からライター業を始める。これまで医療・不動産・自動車・介護といった分野で取材ライターとして活動。医師、弁護士、企業経営者、エンドユーザーなどを対象に取材してきた。総取材人数は1200人以上。 就学前までに自動車や転落事故で「九死に二生」位は得ていると思う。最近好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。

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