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スポット  |    2026.03.25

城崎文芸館で味わう、文学と温泉が交わる静かな時間|兵庫県豊岡市

城崎温泉街は、古くから多くの文人を惹きつけ、作品を生み出してきた場所でもあります。志賀直哉が『城の崎にて』を記したように、湯治の時間がそのまま創作の時間へと変わる、そんな土地の力が城崎にはあります。そして、その「文学の湯」としての歴史を後世に伝えたいという思いから生まれたのが城崎文芸館です。温泉街の中心にひっそりと佇むこの建物には、城崎を訪れた文人たちの足跡や、温泉と文学が交わってきた時間が静かに息づいています。

今回は、そんな城崎文芸館を訪れ、その空気を感じてきました。

城崎文芸館は見どころがいっぱい

城崎文芸館の入館料は500円です。ですが、その金額の割には見どころが意外と多く、ぐるっと回るだけでも1時間ぐらいはゆうにかかりそうなほどです。構成は全部で5つに分かれています。

1つ目は常設展で、ここでは志賀直哉と白樺派をはじめとする文人たちの展示が並びます。2つ目は城崎温泉の歴史展示が行われていて、城崎温泉がどうやって今の形になっていったのかがわかる歴史資料館としての役割を担っています。3つ目は文芸資料展示で、文人たちの作品だけでなく、城崎に関係する書画・俳句・古書などの文芸資料、4つ目はカニ・コウノトリ・浴衣などの城崎の地域文化、5つ目は企画展で、常設展とは別に、現代の作家や城崎と関わりのあるテーマを扱う内容で定期的に開催されています。

城崎温泉と切り離せない北但大震災

こちらにあるのが城崎温泉の歴史展示です。展示を見て初めて知ったのですが、城崎温泉にはかつて北但大震災という大きな災害があったそうです。時代は大正14年(1925年)マグニチュード6.8の強い地震だったということで、震源に近い城崎温泉が、揺れとその後の大火災によって壊滅的な被害を受けました。ちょうど昼食の時間帯だったため火事が広がり、このあたりでは地蔵湯以外の外湯はほぼすべて倒壊や焼失したそうです。

震災後、城崎温泉は「火災に強い温泉街」を目指して復興が進められ、道幅を広くしたり、延焼を防ぐ構造にしたりして、現在の城崎温泉の景観となったそうです。

その際、復興の軸となったのが志賀直哉の『城の崎にて』です。志賀直哉がこの作品を記したのは震災の少し前だったということもあって、復興には志賀直哉の作品にあやかって「文学の似合う温泉街」を目指したとか。城崎文芸館が誕生したのもそのような経緯を経てのことだったのですね。

こちらは震災によって変形した茶碗です。たくさんの茶碗が溶けてくっついてしまって、当時の猛火を現代に伝えています。ここにも普通の人たちの生活の営みがあったのかと思うと胸が締め付けられますね。

こちらは当時市長に就任したばかりの西村左兵衛氏の言葉です。とても力強い言葉で、当時の人たちを大いに力づけたことでしょう。こんな頼れる市長がいたことが、今の城崎温泉の繁栄につながっているのかもしれませんね。

文人たちが愛した温泉地

実際に昔から多くの文人たちが城崎温泉を愛し、この地で文芸作品を生み出しています。

城崎温泉にまつわる作品は、平安時代から始まります。歌に詠まれ、都の貴人が訪れた歴史が紹介されています。近代に入ると、志賀直哉をはじめ、与謝野寛・晶子、島崎藤村、白鳥省吾、司馬遼太郎など、名だたる文人たちがこの地を訪れ、作品を残しました。城崎温泉は、ただ湯治をする場所ではなく、創作の場として愛されてきた温泉地だったことが、展示から自然と伝わってきます。

こちらは山下清氏の作品。冊子のようになっていました。城崎温泉は様々な人に愛され、様々な角度から、様々な手法で、たくさんの人たちの作品に残されていったのですね。

城崎温泉と文芸を深く結びつけたのは「本と温泉」というNPO法人です。共存共栄をテーマに、浴衣で外湯を湯巡りするというアイデアや、「本と温泉」というテーマで本と温泉を結び付けた活動を行っています。

「城崎裁判」と書かれたタオルや、文芸館オリジナルのトートバッグが置かれています。どれも「本と温泉」というテーマに寄り添った、城崎温泉らしいセレクトですね。

やっぱり気になるのは志賀直哉

城崎温泉といえばやっぱり気になるのは志賀直哉です。城崎文芸館でも志賀直哉の展示は濃く、様々な角度から志賀直哉を知ることができます。

例えばこちら。パン食を好んでいた志賀直哉が、城崎温泉に滞在していた時に食べたトーストです。彼にもそんなハイカラな一面があったのですね。

また、こちらは『城の崎にて』の有名な冒頭の一文。「なぜ、彼は電車に跳ねられたのか」など、細かいエピソードがたくさん集められていました。ちょっとした疑問が解決するかもしれませんね。

城崎文芸館はいかがでしたか?城崎温泉と言えば食べ歩きのイメージも多いですが、たまにはしっとりと城崎温泉の歴史や文化に触れてみるのもいいですよね。ミュージアムショップも充実しているので、是非お土産物を見るついでに寄ってみてください。

城崎文芸館の詳細情報

場所:〒669-6101 兵庫県豊岡市城崎町湯島357-1
電話番号:0796-32-2575
営業時間:9:00~17:00
定休日:水曜日、年末年始
入館料:大人500円、中高生300円、小学生以下無料、各種割引あり
アクセス:
大阪方面 特急こうのとり(JR大阪駅―城崎温泉駅)
神戸方面 特急はまかぜ(三ノ宮駅―城崎温泉駅)

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この記事を書いた人

kisaragisyu

如月柊 大阪を中心とした京阪神、奈良を担当します。大阪に住んでいるからこそ知ることができる旬の情報を皆さんにお届けしたいと思います。是非、大阪に遊びに来てくださいね。

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