暮らしセレクトショップDINETTE(ディネット)の記事の前編では
・DINETTEの看板商品:オリジナルパジャマ”graine (グレンヌ)”
・DINETTEのベストセラー商品
・オーナーが選ぶDINETTEおすすめ商品
を紹介しました。
後編ではオーナーの伊藤さんになぜこのお店をはじめたのか、どのような思いでこのお店をされているのか、今後の展望などをお聞きしました。
心に抱いていた「いつか」をカタチに
オーナーの伊藤美佐子さんは家業の手伝いをきっかけに、心に抱いていた「いつか」に自ら未来を描くことを決意し、自宅で「暮らしセレクトショップ”DINETT(ディネット)”」を開業しました。
伊藤さんのご実家はおじい様の代から続く酒屋だったそうです。後を継いだお母様は、のちに独立しご自身で酒屋をされていました。その後腰を悪くされたこともあり、だんだんと和雑貨を置くようになり、雑貨店となりました。
「母が腰を悪くして。それがきっかけでお店を手伝いはじめました。自分でも自分自身の世界観を表現したお店を持ちたいという気持ちはあったのですが、やはり自分のお店を開くのはとても勇気がいることじゃないですか。
そのうち母も回復して手伝いが必要なくなり、母の言葉に背中を押されるような形で自宅を増築して2010年にお店を始めることになりました。
祖父も母も商売をしていたので、その血が私にも流れているのでしょうね。接客など習ったことはないのですが、自分の中にしみこんでいます。そういう感覚が私の中にあるということにとても感謝しています」
女性には妻や母などのさまざまな役割があり、毎日忙しいですよね。DINETTでは、お客様が忙しい合間にも、癒やしの時間を持ちながら、お買物できる空間を作ることを大切にされているそうです。
思いや時間を積み重ねられる商品をセレクト
DINETTでは、数百円のものから10万円を超えるものまでの商品を幅広く取り扱っています。
それは伊藤さんの「高いものがいいとか、安いものはダメとかではなく、お客様の”心惹かれる”という感覚を大事にしてほしい」という気持ちがあるから。お店に置く商品を仕入れる際には、まずご自身が心惹かれるものを選ばれるそうです。
「お店の商品を見てもらったらわかると思うのですが、DINETTEには飾るものより使うものの方が多いんです。また、千円のものが、千円と値段がついていても当たり前の話ですよね。でも、千円のものが2千円に見えたら、すごいお得というか、お客様が喜んでくださる。
今までの仕事や主婦としての経験、目利きの力を生かして、少しでも役に立ち喜んでもらえる商品をセレクトしています」
DINETTを営業されていて嬉しいことは、ここで商品を買われたお客様が、お値段にかかわらず「あの商品すごく役に立った」「便利でよく使っている」といわれることだそうです。
さらに「DINETTで購入した洋服を着ているとよく褒められる」とお客様から報告があるそう。伊藤さんはそのような報告を聞くたびに「やっぱり似合ったんだ」と嬉しくなるそうです。
「うちで取り扱っている商品は自分の目を通して入れているので、どれもそれに対する思いと価値を見出しているんですね。値段で、ではないのです。お客様もそうだと思うんですね。使って気分が上がるというのはもちろん、その商品を使うたびに、買ってよかった、手元にあってよかったみたいに積み重ねるというか。これからもそのように時間や、思いを積み重ねられるような商品を取り扱っていきたいと思っています」
帰られるときこそ気持ちよくを意識して
伊藤さんはお店を運営していくうえでどのようなことを大切にされているのでしょうか。そのことをお尋ねすると、お客様が帰るときに気持ちよく帰っていただくことを意識されているということでした。
「定期的に来られる方もいらっしゃるし、1年に2回とか3回の方もいらっしゃいます。久しぶりに来られた方にも、気持ちよく過ごしていただけるようにと心がけています。
ただ、来店されたときにウエルカムというのは当たり前のことで、帰られる時にこそ気持ちよく帰っていただきたいという思いが強いですね。『帰られるときこそ気持ちよく』という思いの方が先にあります」
人と人が出会うことで心が和む瞬間を大切にしたいと思っている伊藤さん。そのような気遣いによって、DINETTがいつ行っても居心地のいいお店になっているのでしょう。
DINETTではさまざまなシンクロが常に起こっており、DINETTで出会ったご縁がきっかけで人生がよりよく進んでいくということもあるようです。
「自分の好きなものを見てる時間、探している時間って、時間を忘れて夢中になれますよね。お客様も商品を見ながら自分の世界の中に入る、無になるような、そんな時間になってほしいなと思っています」
ガンを経験して変わったこと
2010年に開業し、仕事が楽しくて楽しくて仕方がなかったという伊藤さん。お勤めのときはお休みも楽しみの一つでしたが、開業後は仕事に夢中で休みたいという気持ちもなく、年中無休で夜は8時までお店をされていたそうです。
そんなときにガンがわかります。そのときの気持ちは「まさか私が…」という気持ちと、「お客様にご迷惑をかけないようにしなければ」という気持ち。
「入院までの限られた時間でそれまでの注文分をお渡しする手配をしたり、入院中に取りにみえた際に家族がちゃんと分かるように整理したり。入院前日まで感傷に浸る暇はありませんでした。病気という現実を思い知ったのは、術後の痛みからでした」
病気になったことで変わったことは、家族との時間を振り返るようになったことだそうです。そのためDINETT再開後はきちんと定休日を決めるようになりました。
子どもたちが独立しても帰ってきた時には一緒にいられるように、またお母さまの介護などのライフステージの変化に合わせて現在の週3日営業というリズムになったとのこと。
さらにこの経験が、前編でも紹介したオリジナルパジャマの開発にもつながります。
「ガンになったことでモノの力の大きさに気づいたんですね。モノの持つパワーに励まされたり、力になってくれたり。それは自分の中だけで感じるものですが、だから余計に大切にしたい。機能性やデザインに、おしゃれとか、肌触りとか、いろんなことを満たせるパジャマが作れたらなと思いました」
出会えてよかったと思う商品を増やしていきたい
お話を伺っていると、お客様はDINETTに商品を購入するためだけに来ているのではないようでした。
癒しや元気を求めて、来たら何かに出会える期待感をもって来られる方。また、伊藤さんの思いに共感して、伊藤さんがどうしてその商品をセレクトしたかの気持ちを意識、無意識両方で感じてくださる方が来られるようです。
DINETTを開業して13年。来店されるお客様の人数の差はありますが、お客様が一人も来なかったという日がないということを聞いて私は驚きました!
その後で「売り上げがびっくりするほど少ない日はありましたよ」と、いたずらっ子っぽく微笑まれていましたが、今までお客様ゼロの日がないということは、お店の立地を考えるとすごいことです。
「住宅地の一角で13年やってこれたのは、やはりご縁の無限ループですよね。来店されるお客様のほぼ100%が、既存のお客様からの紹介なんです」
そんな伊藤さんに将来の展望をお聞きしました。
「お客様の困りごとを解消するような、あってよかった、出会えてよかったというような商品を増やしたいと思います。
たとえば私はワンピースが好きなのですが、年齢的に、身体のラインをきれいに見せてくれ、素材感があって着て気持ちよく、きちんとした日にもカジュアルにも着られるという品のあるワンピースはなかなかないんです。
パジャマと同じで、みなさんが求めているけれどなかなか出会えないものを、オリジナル商品として作っていけたらと思います」
時にはにこやかに、時には真剣な表情で取材に答えてくださった伊藤さん。今後もDINETTEを通じて、お客様の生活に喜びをもたらすことを目指されています。
伊藤さんの魅力がたっぷり詰まった、伊藤美佐子ワールドに浸れるDINETT。ぜひあなたのお気に入りを見つけに来てください!
暮らしセレクトショップDINETTE(ディネット)
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