
横浜市神奈川区の片倉・神大寺(かんだいじ)周辺は、横浜駅からほど近く、緑豊かで落ち着いた街並みが広がる、子育て世帯にも人気の高い閑静な住宅街です。かつて一面に田畑が広がっていたこの街は、時代とともに都市へと姿を変えましたが、その土地に根ざし、人々の暮らしを支え続けてきた住宅総合サービス会社があります。
今回お話を伺ったのは、株式会社ワカバヤシの山口弘治常務。アメリカンフットボール界で活躍した経歴を持ち、現在は「100年企業」に向けた基盤づくりを牽引する同社のキーマンです。いかにして地域社会に根を張り、紹介率約9割という高い信頼を築き上げてきたのか。その歩みと、未来への展望を紹介します。
地域とともに歩む原点。1957年、横浜・神奈川区で始まった挑戦

株式会社ワカバヤシの歴史は、1957年にまで遡ります。当時の神奈川区周辺はまだ農地が多く、土地をどのように活用していくかは、地域の方々にとって大きな関心事でした。創業時に掲げた理念について、山口常務は次のように話します。
「創業当時、このあたりは一面の田んぼや畑ばかりでした。農家の方たちの将来的な事業承継や資産形成を支えることで、この町にあって良かった、と言われるような会社になろう。そんな思いが、ワカバヤシの原点になっています」
創業者が掲げたその思いは、時代が移り変わり、街が住宅地へと姿を変えた現在も、ワカバヤシの家づくりや地域との向き合い方に受け継がれています。来年には創業70周年という大きな節目を迎え、一般的に企業の寿命は30年とも言われるなか、その倍以上の歳月を地域とともに歩んできました。
「ワカバヤシ」の名で挑む、自社ブランドへの転換
ワカバヤシの歴史において、大きな転換点の1つとなったのが、2001年の自社ブランドへの転換です。その当時について、山口常務は次のように語ります。
「かつては、パナホーム新横浜と看板を掲げていました。それを外して、自社の『ワカバヤシ』という名に変更したこと。ブランド力がなくなるという意味でも、そこが一番大きな転換点だったんじゃないかなと思います」

自社ブランドとして歩み始めたワカバヤシは、その後も地域との信頼関係を積み重ねてきました。2021年6月、パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社での勤務を経てワカバヤシに加わった山口常務は、その歴史を受け継ぎながら、次の時代を見据えた組織づくりを進めています。地域の顧客に寄り添い、自らの名前で信頼を築いていくという精神を大切にしながら、組織にはさらなる変革が必要だと考えています。
「『守破離』でいうならば、今はまだ『守』が多いのかなと感じています。しかし、『長くやってきたこのやり方が正しい』というような風潮から脱却し、常に変化に対応できる社員、会社でありたい。会社や組織がいかに活性化していくかということが、私は一番重要だと思っています」
創業以来受け継がれてきた精神を大切にしながら、時代に合わせて変化を続ける。その姿勢は、組織づくりだけでなくワカバヤシの家づくりにも息づいています。
ワカバヤシの家づくりを支える、30年以上受け継ぐハイブリッド工法
ワカバヤシの大きな強みの一つが、「木」と「鉄」を組み合わせた、テクノストラクチャー―と呼ばれるパナソニックが独自に開発した耐震住宅工法です。30年以上にわたり採用し続けてきたこの工法は、同社の家づくりを支える重要な技術となっています。
「あくまでも木造なのですが、鉄骨並みの強度を持っていて、耐震等級3を確保しています。木材と鉄の梁を組み合わせたハイブリッド工法で、その構造計算もパナソニックが全棟一括で行っています」

こうした構造上の強みは、住まいの自由度にも大きく影響しています。鉄の梁を使用することで、従来の木造住宅では難しかった「スパンを飛ばす(柱の間隔を広げる)」ことが可能となり、20畳を超えるリビングでも柱のない大空間を実現。設計の自由度が高まり、住む人それぞれのこだわりを形にできる住まいづくりにつながっています。
その技術力は、高い採用実績という形でも表れています。ワカバヤシは同工法の採用実績において神奈川県内1位を誇り、全国規模でも非住宅分野で年間3位に入るほどの実力を持っています。山口常務自身も、この工法で自邸を建てており、その性能を体感している一人です。
「自邸を建てる際、テクノストラクチャー工法でさえあればいい、と思っていました。実際に私の家もリビングは23畳ありますが、どこにも柱がない大空間を実現できています。鉄骨並みの強度があり、耐震等級3を確保しているからこそ可能なことです」
自らも施主としてこの工法を選んだ山口常務の言葉からは、性能の良さを実感していることがうかがえました。さらに、高い技術力を土台に、「豊かな暮らしを提案する」という新たな価値づくりにも取り組んでいます。その一つが、ライフスタイル提案型ブランド「maison&prêt-à-porter(メゾン・エ・プレタポルテ)」を取り入れた住まいづくりです。
従来の構造や性能といったハード面に加え、インテリアや空間デザインといったソフト面も重視。独自工法による開放的な空間を生かしながら、一人ひとりのライフスタイルに寄り添う住まいを提案しています。


赤字からの再出発 「人」で築く、成長する組織づくり
山口常務が入社した当時、同社は赤字という厳しい経営状況に直面していました。その立て直しに向けて、大胆な改革に着手します。
「このままではダメだ、経営陣みんなで、すべての膿を出し切って黒字化させよう!という計画を立てました」

各部門が一丸となって改革に取り組んだ結果、会社はわずか3年で赤字経営から黒字へと転換し、その目標は計画どおり達成されました。現在は、従来の組織風土を見直し、より風通しの良い、社員ファーストの会社づくりを進めています。そんな山口常務が一貫して重視しているのは、単なる数字の回復ではなく、組織を支える社員一人ひとりの成長です。
「営業で勝つ・勝たないという競争もありますが、最終的にワカバヤシは『人』なんです。自分たちよりも、会社や組織がいかに活性化していくか。変化に前向きに対応できる人材を育て、人が成長していける会社でありたいと考えています」
こうした「人」を大切にする姿勢は、地域との長年の信頼関係にもつながっています。ワカバヤシの受注のうち、約89%(約9割)が既存のお客様や地域の方々からの紹介によるものです。広告や営業力に頼るのではなく、社員一人ひとりがお客様と築いてきた信頼の積み重ねが、この数字にも表れています。
「横浜グランドスラム企業」と地域への貢献
ワカバヤシが長年地域から信頼を集めてきた理由は、住まいづくりだけではありません。地域社会とのつながりを大切にする姿勢も、その一つです。

同社は、横浜市の「横浜型地域貢献企業」をはじめ、「よこはまグッドバランス企業」「横浜健康経営認証」「Y-SDGs」の4つの認証を取得。今年6月には、4つすべての認証を取得した企業のみが認められる「横浜グランドスラム企業」に認定されました。こうした評価について、山口常務は次のように話します。

「企業価値を上げるという意味でも、こうした認定はとても良いことだと思います。外部から見ても、『こういう会社なんだ』と見ていただける安心感につながればと思っています」

これらの評価の背景には、地域に根ざした活動を長年続けてきた実績があります。同社では毎朝、会社周辺の清掃に取り組み、地域の方々との日々の挨拶や交流を大切にしています。また、月に一度は商店街や法人会と協力し、周辺地域の清掃活動も行っています。
さらに地域とのつながりを象徴する取り組みとして、山口常務が挙げたのが、毎年1月の第2土曜日に開催される「餅つき大会」です。近年では、500人規模の人々が集まる名物イベントとなっています。

「餅つきで振る舞う豚汁は、同社で住宅を建てたお客様を含めた地域の方々が全部野菜を提供してくださるんです。準備の段階から地域のお母さん方も手伝いに来てくださり、開始前から行列ができるほどの賑わいになります。こうした地域とのつながりこそが、私たちの活動の原点です」
地域の人々とともにつくり上げるこうした催しは、ワカバヤシが長年培ってきた地域との信頼関係を象徴しています。
地域とともに100年企業へ。ワカバヤシが描く2032年の未来
現在、ワカバヤシは「2032年プラン」という中期経営計画を掲げ、さらなる成長を目指しています。年商30億円規模から50億円を目指す計画ですが、山口常務は、その目標の本質は売上の拡大ではなく、人材の成長にあると話します。

「金額にして50億を目指すというプランで今は進んでいます。ただ、これは会社の規模が大きくなればいいということではなく、やはり『人』。社員一人ひとりがしっかり成長していける会社というのを、常に心がけていきたいと思っています」
その目標を実現するうえで重要なのが、部門の枠を超えた連携です。新築、リフォーム、不動産といった各部門が情報を共有し合うことで、より深くお客様に寄り添う体制を目指しています。
「自分の専門分野以外の横のつながり、部署間を超えた連携を心がけてほしいと思っています。紹介が中心の弊社にとって、この社内連携は非常に大事なことなんです」
こうした組織づくりの先に見据えているのが、「100年企業」という目標です。
「神奈川の工務店で100年続いている企業というのは、ほんのひと握りです。私たちは、その100周年を迎えられるような会社づくりに取り組んでいます」

来年、創業70周年という節目を迎えるワカバヤシ。「この街にあって良かった」と思ってもらえる存在でありたいという創業時の想いは、今も変わることはありません。地域とともに歩んできた歴史を次世代へつなぎながら、同社は100年企業への挑戦を続けています。
株式会社ワカバヤシの企業情報
本社所在地:〒221-0801 横浜市神奈川区神大寺三丁目26番10号
電話番号:045-491-2121
ホームページ:https://www.kk-wakabayashi.co.jp/
SNS:Instagram https://www.instagram.com/wakabayashi0408/




