
大阪府東大阪市に本社を構える大阪石材工業株式会社は、「世界一おもろい石材店」を掲げる石のプロフェッショナル企業です。そんな石材店が、万博で注目を集めたアートプログラム「Love Stone Project EXPO 2025」に深く関わっていることをご存じでしょうか。
今回は大阪石材工業の営業担当・安達裕樹さんに、Love Stone Projectとの出会いや万博での取り組みについて伺いました。
石材店とアートの出会い

「Love Stone Project」とは、彫刻家・冨長敦也さんが手がける体験型アートプロジェクトです。ハート形に彫刻された石を、参加者が一緒に磨き上げて完成させるというもので、2011年以降、日本国内だけでなく世界各国でも実施されています。
SNS検索から始まった、思いがけないご縁
「4年前、Facebookで『石 イベント』と検索したときに、『Love Stone Project』が大阪で開催されることを知りました」と安達さんは振り返ります。

2021年4月、大阪・西区のギャラリー佑英で行われたサテライト展示では、世界各地の石から1つを選び、冨長さんがハート型に彫刻して後日自宅に郵送。同封された紙やすりで各自が磨き上げるという形式でした。
「衝撃的でしたね。とんでもなく石を愛している方に出会えたと感動しました」
石を“商品”として扱ってきた安達さんにとって、商業を離れた純粋な“アートとしての石”との出会いは新鮮な体験でした。この出来事をきっかけに、冨長さんとの交流が始まります。
Love Stone Project in tondabayashi

2023年、岡山県の採石場でハート型の万城石を見つけた安達さんは、Love Stone Projectの開催を冨長さんに打診。快諾を得て、大阪石材工業 南大阪店(大阪府富田林市)で石磨きプロジェクトがスタートしました。7段階の研磨シートを使い、足かけ7年で石を磨いていく計画です。
その活動は南大阪店にとどまらず、「LOVEとんだばやし」や「HANAZONO EXPO」などの地域イベントにも広がりました。多くの参加者が訪れ、特に子どもたちは石磨きに夢中になったといいます。
「何かと効率を求める時代に、時間をかけて1つのことに没頭する体験って魅力的だなぁと思いました。お子さんたちは楽しそうに長時間でもずっと磨いてくれます」
万博で実現した“最もアナログなアート体験”
こうした取り組みを経て、安達さんと冨長さんの思いは大阪・関西万博の舞台へとつながりました。
愛と平和を表現した石のアート

石磨きには水を使うため、室内パビリオンでの実施は難しいという理由で、当初はなかなか実現に至らなかったそうです。そんな中、風アートプランニングの泉井さんから声がかかり、「Study:大阪関西国際芸術祭2025」のパブリックアート部門での参加が決定しました。
万博では、五大陸(アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニア)から採取された5つの石を冨長さんがハート型に彫刻。世界中の来場者が磨くことで、国や文化を超えた「愛と平和」を表現する壮大なアートです。石の調達・搬入・設置、さらには現地でのワークショップ運営サポートまでを担ったのが大阪石材工業でした。
「最先端」が集まる万博で、ただ石を磨くだけ

「大阪・関西万博で一番アナログなコンテンツ」として注目された、Love Stone Projectの石磨き。行列に並ばず参加できる気軽さもあって評判を呼びました。好評のため、予定されていた全14回に加え、2回の追加開催も実施。「見知らぬ人と自然に会話が弾んだ」「時間を忘れて夢中になった」などの感想も多かったのだそう。
「お子さんが石磨きにハマってしまって、朝磨いた後、午後にもまた磨きに来てくれたことがありましたね」

石磨き最終日だけで947名、会期中のべ7462名、24の国と地域の方が参加。安達さんは、「磨いた“結果”ではなく、たくさんの方が語り合いながら想いを込めて磨く“時間”こそが、Love Stone Projectの醍醐味だと思います」と語ってくださいました。
五大陸の石は、大阪市内へ寄贈。

万博での全日程を終えた五大陸のハート型の石は、今後、大阪市内の施設に設置される予定です。「子どもたちが頑張って磨いた石を、万博後も見られるのは嬉しい」という声も上がっていました。
その前に一旦、大阪石材工業本社へ戻され、11月に開催されるオープンファクトリーイベント「こーばへ行こう!」で一般公開されます。当日は、五大陸の石磨きワークショップが再登場。「万博で体験できなかった方や、初期に磨いた石の仕上がりを見たい方にもぜひ来てほしい」と安達さんは話します。
石を磨くというシンプルな行為が、人と人、地域と世界をつなぐ。
大阪石材工業が支えるLove Stone Projectの魅力は、これからも静かに、けれど確実にその輪を広げていきそうです。
写真提供:大阪石材工業株式会社
こーばへ行こう!2025
2018年、住工共生のまちづくりの一環として始まったオープンファクトリーイベント。
モノづくりのまち東大阪を内外にアピールするため、各工場が見学ガイドツアーやワークショップを開催。2025年度は47社の企業が参加する。
【開催日時】
西エリア 2025年11月7日(金)~8日(土)
東エリア 2025年11月14日(金)~15日(土)
各日10:00~16:00
公式サイト:https://ko-ba.jp/
大阪石材の「こーばへ行こう!」概要
参加日:東エリア 2025年11月14日(金)~15日(土)
“お墓の工場”見学ガイドツアー、石の彫刻体験、石ころアートのワークショップ、お墓パンの販売など。
大阪・関西万博「Love Stone Project EXPO 2025」の五大陸の石磨きも実施する。
大阪石材工業株式会社 大阪本社
住所: 〒578-0921 大阪府東大阪市水走3-8-43
TEL: 0120-1114-90(フリーダイヤル)
営業時間: 9:00~17:45(年末年始は休業)




