夏祭りや区民祭りに欠かせない盆踊り。
横浜市都筑区由来の音頭を丁寧に踊るのは「都筑舞の会(つづきまいのかい)」のメンバーです。

「都筑舞の会」は、和の心を大切にしながら、日本舞踊を学び、地域の伝統文化を守るグループです。今から16年前の2009年1月に、花柳流・藤扇流の土屋節子先生が会を始め、現在は10名で活動しています。


「都筑舞の会」の歴史

都筑舞の会が発足した理由は、地域の方からの一声だったと言います。「都筑区民の歌はあるが、踊りはない。踊りのグループを作ってくれないか」と、土屋先生に声がかかり、「都筑舞の会」が結成されました。
発足初期の活動場所は、プレハブ小屋。いつか大きな建物が建つと言われて、更地になっていた場所に作られた、そのプレハブ小屋の名前は「夢スタジオ」です。
「都筑舞の会」の歴史は、「夢スタジオ」と土屋先生、そして踊りが好きで集まった50名以上の参加者とともに始まりました。
都筑区の音頭

横浜市都筑区には、2つの音頭があります。
都筑区が誕生する前の1993年、地区開発に際し、地域住民たちが町への想いを込めた「ニュータウン音頭」と1998年に都筑区民の歌に制定された「都筑音頭」です。
現在の横浜市都筑区は、ファミリー層に人気で、緑が多く整備された町です。
一方、その歴史は古く、約30000年前に北川貝塚東地点で石器が使われていたところから始まります。また14~15世紀に造られた丘城、茅ヶ崎城址もあり、歴史の見どころも多い地域です。
そのため「ニュータウン音頭」にはこんなセリフが入っています。
何から何まで自慢のタネよ
戦国時代の城があり 縄文時代の遺跡あり
世界に見せたいね 夢色ニュータウン
ワン・ツー・スリー・フォー 素敵な町じゃん 素敵な町じゃん
ワン・ツー・スリー・フォー 言うことなしじゃん 言うことなしじゃん
一方「都筑音頭」にも歴史を感じさせるフレーズがあります。
都筑よいとこ 自慢のところ
はるかな歴史を語る町
日本一だよ いや世界一
君も踊ろう あなたも踊ろう さぁさみんなで輪になって
今も昔も、この町に住む人たちは、「日本だけではなく世界にも自慢したい」ぐらい、この町のことが大好きなのだと気づかされるフレーズです。


「ニュータウン音頭」も「都筑音頭」も、輪になって踊ります。振付は覚えやすく、小さなお子さんからご年配の方まで気軽に踊れます。
「都筑舞の会」の活動内容

都筑舞の会の活動内容は「踊りを通じて地域とつながり、たくさんの笑顔を増やす」こと。
実際には、区民祭りなどの地域イベントで音頭を披露、小学校での指導、福祉施設等での訪問公演をしています。
地元の小学校3年生に踊りを教えたのは「地域を知ろう」という道徳の授業でした。一時間という限られた時間でしたが、踊りを教えて、質疑応答の時間も設け、子どもたちとの交流がしっかりできたと言います。
小学生からお礼のお手紙をもらったことを、とてもうれしそうに話してくれました。

「地域のみなさんといつまでも共に活動したい」という想いのメンバーたちにも、1つだけ懸念点がありました。それは、メンバーの年齢層が平均年齢71歳と高いことです。
土屋先生は84歳。体力的に都筑舞の会を続けていくのは、難しいかもしれないと思っていました。
「いまも都筑舞の会で集まってくれているメンバーは、踊りが大好きな人たち。16年前からずっと一緒に踊っているのよ。私はこの会を絶対に無くしたくないの」


そんな気持ちを持ち続けていた土屋先生の元に、「日舞を習ってみたい」という内田真澄美さんが訪れます。
「都筑舞の会」若手メンバーが代表へ
日頃から地域の盆踊りなどで踊っていた「都筑舞の会」を知っていた内田さん。
土屋先生が高齢で会の存続が危ぶまれていることを知り、居ても立っても居られなくなり、「都筑舞の会に入りたい」と先生に声をかけました。

内田さんは、2023年8月に会に加入してから、先生が通いやすい練習場所を手配したり、インスタグラムを開設して会のPRをしたり、都筑舞の会を存続させるためにできることを次々にやっていきました。
「真澄美ちゃんが入ってくれて本当にうれしいの。これからは若い世代に引っ張っていってもらわなきゃ。だからこの会の代表は真澄美ちゃんにピッタリよ」。土屋先生もメンバーも、笑顔で語り合います。
「都筑舞の会」はこれからも地域の伝統を継承する
2025年3月。
16年前に「都筑舞の会」の活動拠点だったプレハブ小屋「夢スタジオ」は、約300席のホールを備える「都筑文化区民センター ボッシュホール」として、生まれ変わりました。

こけら落とし公演では、「都筑舞の会」が大きなステージで舞を披露しました。

ボッシュホールに入ると「夢スタジオ」の看板が飾ってあります。そして、パンフレットには都筑区の音頭を踊り続ける「都筑舞の会」のみなさんが載っています。

内田さんの加入で、「都筑舞の会」は新しい世代へと動き出しました。
そして「夢スタジオ」は、新たに「都筑文化区民センター ボッシュホール」になり、文化と地域をつなぐ場所になりました。
都筑区の文化と伝統は、これからも人々の手で受け継がれ、生き続けていきます。

■都筑舞の会メンバー(順不同・敬称略)
代表:内田真澄美
指導:土屋節子
内田 詔代
皆川公予
加藤ふじ枝
藤井 タエ子
伊藤八重子
■都筑舞の会 活動情報
都筑舞の会では、メンバーを募集しております。見学・体験もできますので、お気軽にお問合せください。
活動場所:勝田会館(神奈川県横浜市都筑区勝田町1333)
お稽古時間:毎週月曜日(月4回)
お稽古参加費:1回500円
駐車場:有り
Instagram:https://www.instagram.com/tsuzukimainokai_official/
お問合せ:090-6167-6660 / tsuzukimainokai@gmail.com




