鹿児島の「食」といえば「かごしま黒豚」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は今、和牛の世界で鹿児島が頂点に君臨していることをご存じでしょうか。
鹿児島県産の和牛は、5年に1度開催される和牛のオリンピック(全国和牛能力共進会)で総合優勝を果たしています。さらに、和牛の飼育頭数は約35万頭と全国1位で、全体の生産量のうち約20%を占めています。このように、質・量ともに、鹿児島は「畜産王国」です。
そんな鹿児島牛の最大の特徴は「まろやかなコク」と「芳醇な甘み」。今回は、おいしさの背景を紐解きながら、鹿児島和牛の魅力を最大限に引き出したイタリアンのスペシャルメニュー実食レポートをお届けします。
日本一を支える鹿児島のテロワールと生産者の知恵
鹿児島和牛が「日本一」の栄冠に輝いた背景には、鹿児島ならではの豊かなテロワールと、長年培われた生産者の知恵があります。
鹿児島牛が育つ土台となっているのは、年間平均気温19.3℃という国内トップクラスの温暖な気候です。南国の柔らかな陽光と豊かな自然に囲まれた環境によって、牛たちはストレスなく健やかに成長しています。また、飼料にも独自のこだわりがあります。ミネラル豊富な海風に育まれた牧草に加え、ビール粕や麹を配合した発酵飼料を与えることで、鹿児島和牛特有の深い甘みとコクにつながります。
そして何より、50年以上にわたり血統改良に心血を注いできた生産者の情熱が、この品質を支えています。一頭一頭への深い愛情と、膨大なデータに基づく緻密な管理。この長年の積み重ねこそが、世界も魅了する味わいを作り上げています。

実食レポート:日本一の鹿児島和牛を味わう
今回の賞味会では、鹿児島牛のなかでも「のざき牛」という、日本で初めて生産者個人の名前を冠することを許された最高峰のブランド牛を堪能しました。XEX日本橋のシェフがのざき牛をどう解釈したのか。至高のイタリアンのフルコースをレポートします。
温前菜「鹿児島県産和牛(のざき牛)のラグーと新じゃが芋のニョッキ山菜のフリット」
「真鯛のカルパッチョとウドのマリネ 発酵トマト」で口の中をさっぱりと整えた後に、早速鹿児島県産和牛(のざき牛)が登場します。ひと口食べると、ホロリとほどける肉の繊維から、濃厚な肉の味が溢れ出します。新じゃが芋のやさしい甘みや山菜の苦味が、和牛の甘みをさらに鮮明に引き立てます。

メイン「鹿児島県産和牛(のざき牛)の盛り合わせマディラワイン白茄子」
「車海老とカラスミのアーリオオーリオ」と「キッタラ寒サワラのサルタート 灰干し ヴァンブラン そら豆」と続き、メインディッシュ、「鹿児島県産和牛(のざき牛)の盛り合わせ マディラワイン白茄子」の登場です。

サーロインとヒレの2つの部位を赤ワインソース、白茄子の甘みがぎゅっと詰まったソース、そして素材の味をストレートに味わう塩でいただきました。
手前のサーロインは、焼きたての芳醇な和牛香が立ち上ります。 断面は艶やかなロゼ色で、きめ細やかなサシがしっかり入っています。口に含んだ瞬間に肉の脂と旨味がジュワッと広がりますが、驚くほどさらりとしていて重さを感じさせません。
ほぼレアの状態でいただいたヒレは、心地よい歯応えがありながらも柔らか。噛み締めるほどに甘みが際立ち、鹿児島県産和牛のクオリティの高さを改めて実感しました。

ペアリングは、華やかな香りとしっかりとした酸味が特徴の赤ワイン「サルヴァトーレ・ロッソ」。ワインの酸味が和牛の脂を優しくウォッシュし、次のひと口を常に新鮮にしてくれます。和牛にぴったりの計算しつくされたマリアージュでした。
デザート「文旦とカッサータとお茶の特香園の『雪ふか極』」
爽やかな文旦の香りとリコッタチーズの軽やかなコク、そしてキレのある鹿児島茶でコースを鮮やかに締めました。ちなみに、鹿児島県は生産量全国第一位のお茶の名産地でもあります。

日本人のハレの日のごちそうが世界へ
日本人にとって、牛肉はどちらかといえば「ハレの日」に食べる特別なごちそうです。例えば、お正月、卒業式、入学式、誕生日などの特別なお祝いごとの日に、ステーキ、しゃぶしゃぶ、ローストビーフ、焼肉などを大切な人と囲んで食べる機会が多いのではないでしょうか。
今、和牛は日本を飛び出し、アメリカ、タイ、シンガポールなどの海外に輸出され、その価値が認められています。このおいしさの裏側には、鹿児島の温暖な気候と生産者のたゆまぬ努力という物語があります。鹿児島和牛が日本一ということを知らなかった方も、鹿児島県産の日本一の和牛をその物語ごと、ぜひ味わってみてください。




