
埼玉県さいたま市にある大宮氷川参道を歩いていると、ふと足を止めたくなる場所がある。
やわらかな色合いと、どこかあたたかい空気をまとったお店。
「mamawreath(ママーリース)」と書かれたその空間には、ひとつひとつ異なる表情を持つリースが並んでいる。
どれもただの装飾ではない。
誰かの想いや時間をそっと閉じ込めたような、不思議な存在感があった。
そんなリースが今、“母の日の贈り物”としても注目を集めている。
切り花よりも長く楽しめることやインテリアとして日常に残り続けること。
そして、「永遠」や「感謝」といった想いをかたちとして託せる存在であること。
そうした理由から、リースは今、新たな贈り物の選択肢として、少しずつ選ばれはじめている。
そんなリースを、日本の文化として根付かせようとしているのが、代表の小林さんだ。
ではなぜ、小林さんはリースにこだわり続けるのか。そして、「母の日はママーリース」と言われる未来を、なぜ目指しているのか。
その理由をたどっていくと、ひとつのまっすぐな想いに行きついた。
「世界を変えたい」という想いから始まったmamawreathの原点

「シンプルに、喜びが増えていくものを生み出し、本気で届けたいと思ったんです」
そう語るのは、代表の小林さん。
その原点にあるのが、マイケル・ジャクソンの存在だと語る。
本気で「世界をよりよくしたい」と発信する姿を見たとき、「そんなことを口にしていいんだ」と強い衝撃を受けたと同時に、想いに強く共感したという。
その瞬間、「世界をよりよく」という言葉が、どこか他人事ではなくなり、気づけば、その言葉は自分の中に残り続けていたそう。
しかし、大学を卒業後、社会に出てからすぐにその言葉の答えが見つかったわけではない。
IT企業で働いていた頃は、隣にいる人にも会話はチャットが当たり前。
便利さの一方で、人との距離にどこか物足りなさを感じていた。
そんなある日、通勤途中にふと目に入った花々。
何気ない光景だったが、胸の奥にじんわりとあたたかい感情が広がり、その感覚が心に残り続けたそうだ。
「人と直接向き合い、誰かの感情に触れられる仕事がしたい」
そんな思いが湧き始めたころ、未経験ながらお花屋さんに転職。
「誰かが誰かを想い、花を選ぶ。その気持ちに寄り添いながら届けていく」
そのやりとりに立ち会う中で、「自分がやりたいことはこれかもしれない」と感じるようになっていった。
そしてある日、通りかかった一軒の家。
玄関に飾られていた大きなリースを見た瞬間、「これだ」と直感したという。
「飾ることで空間が変わるし、贈ることで気持ちが伝わる。リースは、その両方を兼ね備えている存在なんです」
一方で、日本ではまだ“クリスマスの飾り”という印象が強く、日常に取り入れるにはその習慣が広がりきっていなかった。
だからこそ、もっと身近な存在にしたい。
特別な日だけではなく、日常の中で選ばれるものにしたい。
そしてリースを通して、「世界をよりよく」を実現する。
そんな想いから、mamawreathはスタートした。
手作業でしか生み出せない製作過程

店頭に並ぶリースは、すべて手作業でつくられている。
少しの配置や向きの違いで印象が変わるからこそ、一つひとつ丁寧に仕上げていく。

大切にしているのは、贈るときや受け取ったときの気持ちだ。
箱を開けた瞬間、飾った瞬間、ふと目に入ったとき。
そのどれかのタイミングで、少しでも心がやわらぐように。
また、mamawreathが大切にしているのは、商品そのものだけではない。
その先にある“幸せの連鎖”だ。
「誰かが誰かを想って贈り、その気持ちがまた次の誰かへとつながっていく。
その循環に関われることこそが、この仕事の価値」だと小林さんは話す。
その考え方は、働く人たちにも表れている。
「ここで働く人たちに明確な採用基準はない。」
mamawreathが掲げているビジョンに「共感してくれるかどうか」を大切にしているという。
従業員の中には、学生の頃のイベントをきっかけに関わり、アルバイトを経て正社員になる人もいる。
地域の学生や常連のお客様など、自然と人が集まっていく様子は、どこか地域コミュニティのようでもある。
一方で、理想だけでは続かない現実にも向き合ってきた。
「想いだけでは持続せず、収益構造を整える必要がある」
その気づきも、今のかたちにつながっている。
ブランドの世界観と重なった、この場所という選択

そんなmamawreathが、新たな拠点として選んだのが「大宮氷川参道」だった。
「人通りではなく、この場所の空気感で決めました」
歩いているだけで心があたたかな気持ちになり、整うような感覚。
その空気感が、ママーリースの世界観と自然に重なったそう。
また、小林さんは「地域にリスペクトを持って関わりたい」と話す。
実際に、北浦和店でも地域の人たちに支えられてきた経験があり、その積み重ねが今につながっているようだ。
足を運んでくださったお客様の中には「一年中飾れるんですね」といった声も増えているという。
リースは少しずつ、“特別なもの”から“日常に溶け込むものとして”変わりはじめている。
リースは日常になる?その未来に待っているものとは

そして今、小林さんが見据えているのは、その先の未来。
季節の変わり目に、自然とリースを選ぶこと。
誰かへの贈り物として、当たり前の選択肢になること。
その積み重ねが、やがて文化を作っていく。

さらに、「いつかディズニーにも展開できたら」と語るその表情には、どこか現実の延長のような確かな思いがあった。
「常に、喜ばせる側に立っていたいんです」
その言葉通り、小林さんの視点はいつも“つくる側”にある。
ただ目の前の誰かを喜ばせること。
その積み重ねが、やがてリースを文化にしていくのかもしれない。
なぜ今、リースなのか?“文化になる理由”を考える

今回、取材を終えて改めて感じたこと、それは、mamawreathがつくっているのは単なる「商品」だけではないということだ。
誰かを想って選ぶ時間や、贈るときの少しの照れくささ。
受け取ったときの、言葉にならない気持ち。
その一つひとつの心の積み重ねを「リース」というかたちで届ける。
「世界を変えたい」という言葉も、「文化をつくる」という未来も、小林さんの話は壮大に聞こえるかもしれない。
けれど、その実態はとてもシンプルだった。
「目の前の誰かを、ちゃんと喜ばせること」
その繰り返しが、結果としてリースを文化として広げていく。
大宮氷川参道という場所に根ざしながら、少しずつ“リースのある日常”が広がっていく今。
その先に、「母の日はママーリース」と自然に口にする未来があるのだとしたら、
それは決して遠い話ではないのかもしれない。
華やかさではなく、静かに続いていくもの。
そんな文化の始まりをこの場所で確かに見た気がした。
会社概要
店舗名:mamawreath
会社名:株式会社WARDROBE
本社所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-33-3
TEL:048-767-3618
代表者:代表取締役 小林和成
事業内容:フラワーリースの製作・販売
雑貨古着等の販売
HP:https://www.mamawreath.jp/




