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もの・こと  |    2026.06.30

外国人高校生を迎え入れた尾道のホストファミリー実体験|「英語は話せない」「共働き」でも受け入れ可能!

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

日本に留学したい外国人高校生が多くいることを知っていますか。

彼らが日本に住むためには滞在先となる日本人家庭、いわゆるホストファミリーの存在が欠かせません。
しかし留学を希望する人数に対して、受け入れるホストファミリーの数が足りないのが現状です。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

ホストファミリーに関心を持ちながらも「英語が話せない」「忙しい」などの理由から、ためらう人もいるでしょう。

どのような手間や負担がかかるのか、具体的なところが気になる人もいるかもしれません。

初めて外国人留学生を受け入れたホストファミリーと留学生、そして彼らをサポートする団体を取材しました。
留学生を迎えるときの準備や気持ち、実際の生活の様子などをお伝えします。

準備したのは部屋とベッドだけ

話を聞いたのは広島県尾道市在住の長尾さんと、長尾さんの自宅に滞在するアメリカ人高校生キアナさんです。

長尾さんは、奥さんとふたりの娘さんの4人暮らしです。
キアナさんに出会うまで外国人や外国語に接する機会はほぼなかった、といいます。

「海外のことをほとんど知らない半面、外国人との交流になんとなく憧れは抱いていたんです。

その一方で、ずっと尾道で変化のない生活を続けてきたので、何か新しいことをしたいなと漠然と思っていました」

きっかけは、高校生の娘さんが学校から持ち帰った「ホストファミリー募集」のチラシでした。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

チラシを配布したのは、日本と世界の高校生の留学を支援するAFS日本協会 尾三支部です。

長尾さんは、このとき初めてホストファミリーという制度を知ったそうです。

「説明会に足を運んで話を聞き、外国人を家族として受け入れることにワクワクしました。その場ですぐ申し込んだんです」
と、長尾さんは笑顔を見せました。

やりたい気持ちはあっても、実際にできるのか不安を感じる人も少なくないでしょう。
しかし「準備は大変じゃなかった」と長尾さんはいいます。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

「ちょうど長女にベッドを買うタイミングだったので、キアナに先に使ってもらうことにしました。

長女はあまり自分の部屋を使っていなかったので、そこをキアナの部屋にしたんです。
長女の生活用品は客間に置き、寝るときは僕の寝室を一緒に使っています」

生活の準備は、その程度だったそうです。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

「それよりもキアナが来日するまでの数か月、自分なりに英語を勉強してみました。

いまだにあまり話せませんが、ときどき知っている英単語がキアナの口から出るとうれしいです」

勉強にはYouTubeをよく使ったが最近はキアナが教えてくれる、と長尾さんはうれしそうにいいました。

「以前はアメリカという国をよく知らず、勝手に少し悪いイメージすら持っていました。

でもキアナがよくアメリカの写真や動画を見せてくれ、学校や家族の話をしてくれるんです。
おかげで今では身近な国に感じ、いつか行きたいと思っています」

文化の違いは気にならない

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

「キアナさんとの生活で大変なことはありますか」と長尾さんに尋ねると「思いつかない」とのこと。
文化の違いを感じる場面はよくあるものの、あまり気にならないそうです。

国ごとの文化の違いとして、代表的なものに食習慣があります。
食事に関してはどうなのでしょうか。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

「アメリカ人だからたくさん食べるのかなとか、肉ばかり食べるのかなとか、勝手にイメージしていましたが、実際に会うと違いました。

キアナは野菜もよく食べるし、魚や和食の味付けも問題ありません。日本人の高校生と同じで、甘いお菓子が好きですよ」

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

魚に関する面白いエピソードを教えてくれました。

「丸ごとの魚を出したら、怖がって食べなかったんですよ。
聞くとアメリカでは、切り身しか見たことがないらしくて。頭がついたままの魚を食べる文化に、キアナは驚いていました」

他にも苦手な食べ物はあるものの、お互いに慣れて今では何の問題もないそうです。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

寝る場所と三度の食事を提供するのが、基本的なホストファミリーの役割です。
通学や学校に関する費用はAFSが負担し、遊びに行くときに必要なお金や小遣いは留学生本人が負担します。

長尾家では、キアナさんの朝食や昼食をどのように準備しているのでしょう。

「妻は夜勤のある仕事で、朝いない日もあるので弁当は僕がつくっています。

出勤時間が早く、キアナの顔を見ずに家を出る日も多いです。
食パンやフレークなどをいつも置いておいて、朝食は自分で適当に準備してもらっています」

弁当をつくる余裕がない家庭では、代わりに昼食代を渡してもいいそうです。

休日に家族がそろうことは少ない

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

長尾さんも奥さんもフルタイムで働いており、共通の休日はあまりありません。
長女は大学生、次女は高校生なので、それぞれの用事で忙しいときも。

ふたりや3人で食事や買い物などに行くことはあっても、キアナさんを含めた全員で出かける機会はほとんどないそうです。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

それでも一度は遠出をと、全員の都合を合わせて愛知を訪れました。
ジブリが好きなキアナさんを、ジブリパークへ連れていったのです。

留学生は学校の生活に慣れてくると、友だちと出かける機会が増えてきます。AFS主催の交流会やイベントに参加することも。
何も予定がなければ、ゆっくり自宅で過ごすことも多いそうです。


ホストファミリーだからといって「あちこち案内して回らないと」と気負う必要はないようです。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

長尾さんの話を聞くと、気軽な気持ちでホストファミリーに挑戦してみてもよいのでは、と感じました。

長尾さん家族は、留学生との文化の違いを楽しみつつ、無理のない範囲でキアナさんをサポートしていました。

日本にまた住みたい

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

留学生は、ホストファミリー宅に滞在しながら近隣の高校に通学します。

キアナさんに、日本の学校生活について聞いてみました。
(英語で返答した部分は、AFSスタッフ協力のもと日本語に翻訳し記載しています)

「体育祭や文化祭が楽しいです。アメリカにはないので。

アメリカの高校の行事といえば、卒業間近におこなわれるプロムくらいです。生徒は思い思いのドレスで着飾り、ダンスパーティーをするんですよ」

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

アメリカの高校ではマーチングバンドに所属し、スポーツの試合や学校のイベントなどでクラリネットを演奏したというキアナさん。
尾道の高校でも、音楽部に入っています。

「日本では、アメリカの学校と違うところも楽しんでいます。
授業の仕方も違うし、制服や髪の色、メイクなどにルールがあるのも興味深いです。

アメリカの高校は服装が自由なので、中にはパジャマで登校しちゃう人もいるんですよ」

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

ホストファミリーのことを尋ねると、それまで少し緊張気味だったキアナさんの顔が、パッと明るくなりました。

「みんな、とってもとってもとっても優しくてフレンドリーです。

ホストシスターのふたりとは気が合います。妹はいつも笑わせてくれるし、姉はよく食事に連れていってくれます。

日本語が難しいときにホストファザーは英語で話そうとしてくれるし、ホストマザーは日本語の練習に付き合ってくれるんです」

家族の誕生日や父の日、母の日には、手紙やプレゼントを渡したそうです。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部

「アメリカに戻っても、日本語の勉強は続けます。
大学生になったら日本語能力試験を受けて奨学金をもらい、交換留学生として日本に帰ってきたい。それが今の目標です」

キアナさんは「いつか日本で英会話の先生になりたい」と、夢も語ってくれました。

ホストファミリーが得る一生の宝

取材にはAFS日本協会 尾三支部支部長、岡野さんにも同席してもらいました。

AFSは高校生の留学を支援する、国際的なボランティア団体。
AFS日本協会 尾三支部は、尾道市国際交流推進協議会にも所属しています。

AFSはホストファミリーをどのようにサポートしているのでしょうか。

「留学生が来日する前にはオリエンテーションをおこない、具体的な準備や心構えなどについて説明します」

来日後は各家庭に担当のスタッフがつき、定期的に会ったり連絡を取ったりします。

「留学生が怪我をした、生活習慣の違いに困っている、など、トラブルはよくあります。
いつでもスタッフに相談できる体制を整えているので、ご安心ください」

食事や入浴、洗濯など、生活習慣の違いについて相談されるケースは少なくありません。

「実はほとんどの場合、お互いの考えや文化の違いを理解することで解決するんです。
AFSのスタッフは留学生とホストファミリーの間に入り、理解を深める手助けをしています」


岡野さん自身もホストファミリーとして、これまで多くの外国人留学生を受け入れてきました。

写真提供:AFS日本協会 尾三支部(過去に受け入れた外国人留学生と岡野さん家族)

「最初の子は、髪や肌を隠すイスラム教徒だったんです。でも朝は起きられないし恋愛話もするし、日本の高校生と変わらないなと思いました。

帰国後10年以上にわたって親交を続けているスイス人の留学生からは、2026年にひらかれるポルトガルでの結婚式に招待されています」

岡野さんの家庭も共働きですが、これまでに10人の留学生を受け入れました。事情により数日間預かったケースを含めると、関わった人数はさらに増えます。

「高校生が外国で暮らそうというのですから、そこには強い思いがあります。
ひとりでも多く受け入れたいというのが、私たちの願いです。

留学生は日本語が上達し、日本の良さを知り、日本を第二の故郷と慕うようになります。
ホストファミリーはその成長を喜び、遠い彼らの祖国を身近に感じられます。

一緒に暮らす数か月で終わりではありません。お互いにとって一生の宝になるんです」

また留学生を受け入れたい

取材からしばらくして、長尾さんに会う機会がありました。
約10か月の留学生活を終えたキアナさんが、アメリカに帰国した後です。

写真提供:長尾さん

長尾さんは、帰国直前に知人のフォトグラファーに撮ってもらったという写真を見せてくれました。
そこには、キアナさんを囲む家族の笑顔がありました。

「学校帰りのキアナとよく待ち合わせていたスーパーに行くと、思い出して少し寂しくなります。
でもSNSでよく連絡していますし、キアナがいない生活にだいぶ慣れてきました」

キアナさんの家族が日本に遊びに来たり、長尾さんの家族とキアナさんの家族でテレビ電話をしたり、今では家族ぐるみで交流を深めているそうです。

「長女はキアナの妹と気が合うようで、最近はキアナよりも妹の方と頻繁に連絡していますよ」

写真提供:長尾さん

ホストファミリーになるか迷っている人へのメッセージをお願いすると、
「迷った時点で興味があるってことなので、絶対やった方がいいです!」と、すぐに答えてくれました。

「留学生との生活は、もちろん楽しいことばかりではないし、面倒くさいこともありますが、毎日のように新しい体験ができます。

多くの家族に、お互いの文化を共有する楽しさを体験してほしいです」

写真提供:長尾さん

「キアナとの出会いが、僕の世界を広げてくれました。
いつかよい縁があったら、また留学生を受け入れたいです」

AFS日本協会 尾三支部では、定期的に交流会や説明会を開催しています。
ホストファミリーに興味がある人は、Instagramをチェックし問い合わせてみてはいかがでしょうか。

公益財団法人 AFS日本協会

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この記事を書いた人

まついみゆき

広島県の尾道在住。2児の母。薬剤師。取材記事と医療記事を書いています。尾道育ちで、関東に10年在住経験あり。尾道外の人からの視点も大事にしながら、地域情報を書いていきます。好きなもの:英会話、ピアノ、東洋医学、ミステリー小説、どうぶつ占い、数秘、日本神話、骨格診断

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