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スポット  |    2023.04.27

五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ【後編】

・・・「五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ 前編」からの続き

「キラナノキ」ができるまで

片岡さんが思い描いた「子どもも大人も自由に楽しく過ごせる居場所」が、そのままカタチになっているような「キラナノキ」。そもそも、どうしてその必要性を感じたのだろうか。そこには、我が子と一緒に「居場所」を探し続けた、片岡さんのそれまでの経験が大きく関係している。

「子どもが小学校に入学してからしばらく経った頃、『教室で過ごすのがしんどい、椅子に座っているのがしんどい』と言い始めたんです。1年生になったばかりだったので、最初は私も、そんなものだろうと思っていました。でも、子どもの様子が次第に放っておけないような状態に変わっていったんです。」

それからは、一緒に登校しては、一緒に引き返すという日々を繰り返した片岡さん。自宅と学校の行き帰り、それだけという状況があまりにも切なく、公園へ行ったり、レストランへ行ったりと、少しでも楽しく過ごせる場所を探して歩いたという。

「そうしているうちに、学校に通うことを無理強いせず、この子のペースに合わせようと思うようになりました。でも同時に、この子が『楽しい』と思えて、自由にのびのび過ごせる場所があったら良いのにな、とも感じてたんです。」

その想いが、「キラナノキ」をオープンさせる原動力となった。

五感を働かせて、好きや楽しいを追求できる空間

「子どもがまだ小さかった頃、『感触』を楽しんでるなと思うことがよくありました。雨の日に素足で歩く砂の感触だったり、手に触れるふわふわのタオルの感触だったり。そんなときは、とっても楽しそうでいい表情をしてるんです。それを見て『あぁ、そういえば私も小さな頃はそうだったかもな』 と思い出してました。五感を使って楽しんでたなって。」

「五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ」の「五感」は、そのときの我が子の姿がきっかけとなっている。だから、片岡さんがつくる居場所「キラナノキ」は、ここを訪れる子どもたちにとって、思い切り五感を働かせて、自由に楽しめる空間となっているのだ。

「キラナノキ」の様子を眺めていると、そこにいる一人ひとりが、思い思いの過ごし方をしていると感じる。絵を描いている子、 折り紙を楽しむ子、追いかけっこをする子。雑誌を広げるお母さん、真剣な表情でコーヒーを煎るお父さん。みんなそれぞれが、「今」を楽しんでいるように見える。 子どもの感じ方は、その子によってそれぞれ。大人だって感じ方はみんな違う。だからこそ「子どもの好きや、大人の楽しい」を、誰もがそれぞれのペースで追求できる場所があってもいいのではないだろうか。

「キラナ」が集まり、キラキラ輝く「キラナノキ」に

「多様性が語られる時代になりましたが、今の教育システムの中では、やはり波に乗れない子どももいます。ここ『キラナノキ』も『学校』も、子どもにとっては、ありのままの姿で過ごせる『居場所の一つ』だと思っているんです。だからその『居場所の選択肢』がもっと増えれば、無理せず、ありのままの姿で過ごせる子どもが増えるはずです。今はその選択肢が少な過ぎると思います。」

「それから、お母さんやお父さんたちにとっても居場所は必要。ここが、大人たちにとっても居心地のいい、しかも、お互いの思いに耳を傾け『そうだよね』って共感し合える場所になればいいなとも思っています。」

「輝く」という意味の「キラナ」。子どもや大人、それぞれが持つ「キラナ」が集まって、キラキラ輝く「キラナノキ(木)」になる。その木は、少しずつ高さを増しながら、枝葉を広げながら、ゆっくりと成長していくのだろう。ときには、子どもたちが木に登り、遠く彼方を見つめるかもしれない。ときには、少し疲れた大人が木陰にゆっくり腰を下ろすかもしれない。そんなこと全てを受け止める場所が、片岡さんが求めた、子どもも大人もありのままの姿で過ごせる居場所「キラナノキ」なのだと思う。

片岡さんは、いつだって笑顔でここを訪れる人を迎える。「キラナ」、その言葉は、彼女そのものを表す言葉なのかもしれない。

オーナーの片岡ちえさん。 ちえさんはいつも、おおらかな笑顔でみんなを迎えてくれる

施設情報

五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ

住所: 広島県三原市港町3-2-25
駐車場: 3台
電話: 090−8364–8324
営業時間: 9:30−18:30(14:00−15:00は一時閉所)
定休日: 土・日・祝
料金: ワンオーダー制 1人300円(自分で焙煎して淹れるコーヒーが楽しめます)
料金: 通い放題のご利用は月額3,600円
Instagram: https://www.instagram.com/chie.kirananoki/

備考: 長期休暇中は予約制で営業
イベントやワークショップも開催中、詳しくは Instagramで
5月より第2土曜日に「子ども食堂」を開始



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この記事を書いた人

waka

博多出身、広島県在住のインタビュアー兼ライター。同居中の孫2人に翻弄されるグランマライターでもある。2023年2月より「伝える舎」主催。〈伝えたい〉ことを伝わる言葉や文章で表現することをコンセプトに活動中。広告代理店勤務の経験から、広告制作から取材執筆まで幅広くこなす。西アジアのパキスタンに在住経験あり。その間、アジアからヨーロッパまで10カ国以上を旅行。週末限定のチャイ屋も計画中。

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