「キラナ」という言葉をご存じだろうか。なかなか耳慣れないこの言葉、実はサンスクリット語で「輝く」という意味を持つ。「五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ」は、その言葉からインスピレーションを受け、オーナーの片岡ちえさんが2023年2月にオープンさせた、子どもも大人もありのままの姿で過ごせる「居場所」だ。
「居場所」づくりのきっかけは起業コンテスト
キラナノキは、広島県三原市のJR三原駅からわずか徒歩5分、三原港が目の前に広がる、海風が心地いい場所に建っている。以前は倉庫を併設した書店として使われており、地元に長く暮らす人にとっては、一度は本を購入したことがあるという馴染み深い場所でもある。
さて、では、なぜその場所が、子どもや大人にとっての「居場所」になったのだろう。
きっかけは昨年、三原市が開催した、中心市街地の空き店舗利用を目的とした「起業コンテスト」に始まる。たまたま、知人からその案内をもらった片岡さん。なんとなく興味を持ち、「子どもも大人も自由に楽しく過ごせる居場所づくり」というコンセプトでエントリーした。さまざまな人たちからのアドバイスで、少しずつかたちづくられた居場所はブラッシュアップを重ね、その結果、見事に最優秀賞を受賞した。
「最初のきっかけも偶然みたいなものでしたから、まさか最優秀賞をいただくなんて思ってもなかったんです。でも、いろんな方にアドバイスをもらう過程で、ああしたい、こうしたいって、私の思いも膨らんでいきました。」
リノベーションした空き店舗が魅力たっぷり空間に
古い建物をリノベーションしてできあがった「キラナノキ」。磨りガラスの入った古い木製の引き戸を開けると、ワイワイと楽しそうに子どもたちが過ごしている。傍らには、コーヒーを飲みながらおしゃべりするお母さんやお父さんの姿も。一気に、その温かい雰囲気に引き込まれてしまう。
入り口を入ってすぐ、以前、倉庫として使われていた場所は、半分がフローリング敷きになり、廃材を利用した大きなテーブルと、ゆったりとしたソファーが配置されている。手前にはカウンターも作られており、一見、カフェを思わせる雰囲気だ。
そして、なにより圧倒的な存在感を見せているのが、左右の壁面に床から天井まであつらえたボックス状の棚。前からあったものをそのまま利用し、今は「チャレンジボックス」と名付けられ、レンタルスペースとして貸し出されている。アクセサリーや革製品など、自らの活動やクラフト作品を発表したい人たちが、思い思いの使い方をしている。もちろん、子どもたちが楽しめるよう、絵本やおもちゃ、工作に必要な道具もずらりと並んでいる。
さらに、書店として使われていた建物奥のスペースは、子どもたちが思い切り体を動かせる広い空間に。リノベーションの際に新しく備え付けられた、いくつかの仕切り扉を引き出せば、マルシェスペースとしても利用できる。
実は、キラナノキのリノベーションは、同じコンテストで肩を並べた参加者が一手に引き受けた。「古民家リノベーション」でエントリーした彼と片岡さんは、まちのために、そこに暮らす人のためにタッグを組み、新たな価値をつくり出したのだ。古くても利用できるものは手を加え、とことん再生。何年もの間、空き店舗として誰の目にも触れなかったとは思えないほど、今では魅力たっぷりの空間になっている。
「キラナノキ」ができるまで
片岡さんが思い描いた「子どもも大人も自由に楽しく過ごせる居場所」が、そのままカタチになっているような「キラナノキ」。そもそも、どうしてその必要性を感じたのだろうか。そこには、我が子と一緒に「居場所」を探し続けた、片岡さんのそれまでの経験が大きく関係している。
施設情報
五感を刺激する遊びのデザイン造創所 キラナノキ
- 住所: 広島県三原市港町3-2-25
- 駐車場: 3台
- 電話: 090−8364–8324
- 営業時間: 9:30−18:30(14:00−15:00は一時閉所)
- 料金: ワンオーダー制 1人300円(自分で焙煎して淹れるコーヒーが楽しめます)
- 料金: 通い放題のご利用は月額3,600円
- Instagram: https://www.instagram.com/chie.kirananoki/
- 備考: 長期休暇中は予約制で営業
- イベントやワークショップも開催中、詳しくは Instagramで
- 5月より第2土曜日に「子ども食堂」を開始(4月は15日に開催)
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