前回は、【地上イベント編】として、ウインドサーフィンを知らない人でも楽しめる地上イベントをお届けしました。
今年の横須賀・三浦大会は年間ランクが決定する大会でもあり、注目の高いレースとなりました。今回はそんな大会を楽しむポイントを中心に、今大会の模様をお届けします。
『ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会2024』大会概要
開催期間 2024年11月8日(金)〜12日(火) 5日間
会場 神奈川県横須賀市津久井浜海岸
競技内容 スラローム競技
5日間来場者数 約33,000人 ※大会実行委員会発表
ウインドサーフィンワールドカップ会場が、なぜ津久井浜海岸なのか
海に囲まれた日本の中で、なぜ会場が津久井浜海岸なのか実行委員の方に伺うと
「東京湾の中のさらに湾に囲まれていることで、波や風のコンディションがウインドサーフィンに向いているんです」
と説明くださいました。
平日は静かな海岸も週末ともなるとウインドサーファーが多く集まり、海上は色とりどりのセイルが光ります。きっとこの海は聖地なのでしょうね。
この大会の競技・ルールについて
配布された大会パンフレットによると、横須賀・三浦大会で行われるのはスラローム競技。
スラローム競技は、風上をスタートしてジグザグに回りながら風下のゴールを目指すものです。
トーナメント方式で1グループ8名で競い、その上位4名が次のトーナメントに勝ち上がる方式となっています。
敗者復活を含み勝ち上がった8名によって行われるファイナルレースは、時間の許す限りトーナメントが繰り返されて、その総合成績によって最終順位が決まるとのこと。
ちなみに、レースが行われる最低風速は4m/sで、上限なしなのだとか。
そんなレースを観戦するには、どのような方法があるかご紹介します。
レースを観戦するにはこんな方法が
会場中央に設置された大型ビジョンでは、ドローンで撮影する競技の様子が映し出され、軽快なトークでレースの実況が行われています。
その横では双眼鏡を持ち、海を眺める人の姿も。
さらには、スマートフォンなどでアクセスできるWebサイトを期間中公開しており、会場の大型ビジョンと同じ映像を手元で観ることができます。こちらを利用すれば、会場に行けない日でも順位速報など、気になるレース情報を手軽に確認可能。
浜から約1km先の沖での戦いは、肉眼では分かりにくいので、映像で観戦できるのは嬉しいですね。
ここまで陸上での観戦についてご紹介しましたが、実はこんな観戦方法も!
海上で観戦できる『船上観戦』が人気
レース観戦での目玉は、なんと言っても海上観戦!
期間中は、海の上で観戦できる船が定期的に出港しています。500円で1時間の船上観戦ができるとあって毎回人気です。
船は普段横須賀の無人島『猿島』航路で使われているものだとか。デッキ以外でも風が避けられる部屋もあり、設置されているモニターでは、大会ハイライト映像が流れていました。
また、レースのポイントを解説してくれるガイドさんが乗船しており、ウインドサーフィン競技を知らなくても楽しめるようになっています。
ところがこの日は天気が良く、とても穏やかな海上。レースが行われる気配はなく、この日は全てのレースが中止との情報が出港すぐに入り皆ガッカリ。それに反して浜からは、大会が終わったことを喜ぶ選手たちの盛り上がる声が聞こえてきます。
筆者は毎年、この船上観戦の予約をしていて、3年前は荒天のため出港自体中止に。昨年は出港したものの、風速が足りず筆者の乗った便でのレースが中止になり、今年3回目の正直で、大会最終便に乗りました。
が、今回も無風のためレース開催されず。ガイドさんに「最終日はだいたい風がなく、レースができないというジンクスがあるんですよ」と言われる始末。 来年こそは、海の上でレースを観るんだ!とリベンジを誓いながら下船しました。
無風のため最終日はレース中止…その代わりに楽しめたもの
最終日は、無風のため早々にレースの終了が発表されました。
華麗なレースは観られませんでしたが、午後には『フリースタイル』のエキシビションが行われました。
こちらは、ボートでサーファーを牽引し、浜辺手前でカーブした遠心力を使ってパフォーマンスするもの。
色々なスタイルがあり、その演技を実況しながら、パフォーマンス後の選手にインタビュー。とても贅沢なエキシビションです。
選手の皆さんがサービス精神旺盛なのか、次々に大技を決めてくださり観客は大盛り上がり!
レース観戦はできませんでしたが、また違った競技に魅了された一幕でした。
砂浜での表彰式では、年間表彰も!
この横須賀・三浦大会は年間ランキングも決定する大会となり、この大会での表彰と年間チャンピオン表彰の二つの表彰式が行われました。
横須賀・三浦大会順位
〇男子フォイルスラローム
1位:ヨハン・ソー(デンマーク)
2位:ピエール・モーテフォン(フランス)
3位:マテオ・イアチーノ(イタリア)
(日本人最上位:17位 富澤 慎(とみざわ まこと)(40歳)所属:トヨタ自動車東日本株式会社
〇女子フォイルスラローム
1位:マリオン・モーテフォン(フランス)
2位:ジャスティン・レメテイヤー(フランス)
3位:リナ・エルジェン(スロベニア)
(日本人最上位:14位 大西 富士子(おおにし ふじこ)(40歳)所属:point-7
年間TOP3
〇男子フォイルスラローム(PWAワールドツアー総合ランキング)
1位:ピエール・モーテフォン(フランス)
2位:ダニエル・ベネディティ(イタリア)
3位:エンリコ・マロッティ(クロアチア)
〇女子フォイルスラローム(PWAワールドツアー総合ランキング)
1位:ジャスティン・レメテイヤー(フランス)
2位:マリオン・モーテフォン(フランス)
3位:ブランカ・アラボー(スペイン)
※各順位情報は大会実行委員会より提供
各選手のコメントでは、感極まり涙ぐむ姿もあり感動的なシーンも。そして、シャンパンファイトへ。
司会者の合図でスタートするはずが、一人の選手が待ちきれずに栓を抜き突然のスタート!
こうして2024年の海を舞台とした戦いが、この大会で幕を下ろしました。
表彰された選手の皆さんからは、「この日本に来るために頑張ったと言っても過言ではない」とのコメントが聞かれ、運営に携わったスタッフの皆さんを称える姿に感動しました。
三浦半島では、こんな素敵な大会が毎年開催されています。ぜひ次回の大会に注目して会場へ足を運んでください。
『ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会』公式サイト