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もの・こと  |    2026.01.15

議場から市場へ|えきちかマルシェがつなぐ“食と防災と交流”の地方創生モデル

えきちかマルシェの橋本智洋さん

静岡県下田市の駅前にある「えきちかマルシェ」は、単なる直売所ではありません。

地元農産物の販売を軸にしながら、観光、防災、医療、そして地域間交流まで視野に入れた“経済循環型の地域モデル”として注目されています。

その仕掛け人は、元市議会議員でありながら民間起業家へと転じた橋本智洋さん。

政治の現場で感じた限界と、現場での実践を通して築いた「下田モデル」とは何か──。

地域の未来を見据える言葉に耳を傾けました。

地方創生に向き合う理由

橋本さんにとっての、“地方創生”とは?

地方創生って言葉は少し大きく聞こえますが、私にとっては「地域が自分の足で立って、生きていく仕組みを取り戻すこと」だと思っています。行政に頼り切らず、外からの投資や観光に頼り過ぎず、地元にある人や物、知恵をちゃんと生かす。そうやって小さくても回る経済と人の循環をつくることが“創生”だと考えています。

“地域に関わり続ける理由”は単純

何といっても、故郷である下田が大好きだからです。

下田市議会議員時代は、制度の中で地域のために動けることを探していました。でも、議会には“スピード”や“柔軟さ”に限界がある。だったら、自分で場所を作って、動かしてみようと思ったのがマルシェのきっかけです。立場が変わっても「下田をもっと元気にしたい」という想いは変わっていません。

えきちかマルシェの狙いと仕組み

えきちかマルシェを地域循環の拠点として設計した意図

駅前という好立地に、地元の人の作ったものを集めて、観光客にも日常客にも届ける。そんな“地域の交差点、コミュニティ”をつくりたかったのです。売り場というより、“循環装置”みたいな存在。地域の野菜が地元で食べられ、地元の人と観光客が同じ場所で買い物をする。そして、そこには会話が生まれ一つのコミュニティとなる。その姿こそが、地方創生の形だと思っています。

地元の農家や事業者との連携

下田市の小規模農家が持ち込む地場産品

「ちょっと余ったから持ってきたよ」という農家さんもいれば、「これなら売れるかな」と新商品を考えてくれる事業者さんもいます。無理せず、できる範囲で出してもらって、こちらで販売や管理を受け持つ。いわば“顔の見えるゆるやかな連携”です。数ではなく、つながりの質を大事にしています。それがコミュニティの形成です。

マルシェを訪れる観光客や地元の人の率直な感想

観光客の方は「このミカン、去年も買っておいしかった」ってリピートしてくれたり、地元の方は「観光の人、今日は多かったね」と会話のきっかけにしてくれたり。マルシェが、商品だけじゃなく“人のやりとり”の場、先ほどから申し上げているコミュニティにもなってきたことを感じています。

地域間連携のあり方

群馬県沼田市との商品開発

沼田市との共同開発「甘夏こんにゃくゼリー」

下田と沼田は姉妹都市関係にあります。しかし、行政の交流だけで止まっているのが正直もったいないと思っていました。そこで「地元の特産同士を組み合わせて、何か商品を作れないか?」と考え、私の方からアプローチしました。

甘夏こんにゃくゼリーの地域的価値

沼田市との共同開発「甘夏こんにゃくゼリー」

甘夏(下田)と蒟蒻(沼田)、一見無関係なものを掛け合わせたことで、“物語”が生まれたと思います。ただ売れるだけじゃなくて、「なぜこの商品がここにあるのか」が伝わる商品。それが、まちの誇りになっていく。行政主導じゃないからこそ、柔軟にできた試みです。

えきちかマルシェでは、季節ごとに「沼田フェア」も開催しています。
沼田からの季節の便りを、下田のお客様も楽しみにしているそうです。

えきちかマルシェの「沼田フェア」沼田市の農産品
えきちかマルシェの「沼田フェア」沼田市の農産品

他地域との連携

下田市須崎港・ふじみ野市の海底熟成酒『河岸の蔵』

橋本さんの連携は、姉妹都市の沼田市だけではありません。
下田の海を活用した、人気の高い「秩父の海中熟成酒」や「ふじみ野市の海中熟成酒『河岸の蔵』」にも深くかかわっています。
遠く離れた地域であっても、人と人との絆が新たな特産品を生み、地域を強くすると思っているんです。
「時間がかかり苦労もありますが、やりがいがあります」
と、橋本さんは話します。

災害と地域インフラ

医療機関との災害時協定に至った背景

災害時に病院が機能を維持するには、食料も物資も不可欠です。マルシェは地域の食が集まる場所ですから、日常の流通ネットワークをそのまま“有事の供給網”に切り替えられないかと考えました。協定を結ぶことで、備蓄とは違う「柔らかい備え」が可能になると思っています。

“日常のマルシェ”が“非常時のインフラ”にもなる

地元の誰が何を作っていて、何が届くのかを普段から見ていると、「いざという時」も動けるんです。つまり、マルシェは“災害時のための組織”じゃなくて、“日常の積み重ねがそのまま備えになる場”なんです。これは小さな町だからこそできる強みだと思っています。

これからの下田モデル

橋本さんは、力強く話します。
「行政、議会、市民、そして民間。それぞれが持つ『制度』『ルール』『現場感覚』『スピード』といった強みを生かしながら連携することで、地域は着実に動き出すんです」

橋本さんが目指すのは、観光や農業、防災、教育といった多様な分野が交差し、人とモノの流れが集まる“マルシェ=地域のハブ”。

その姿は、地方創生の理想形とも言えます。

「あるものでやる」「顔を合わせて決める」「足元から動く」──この3つを大切に、橋本さんは“下田モデル”を全国に届けようとしています。

えきちかマルシェ

住所:〒415-0035
静岡県下田市東本郷1-2-1
電話番号:0558-23-0871
営業時間:お問い合わせください
アクセス:伊豆急下田駅から徒歩1分
     東急ストア1階、駐車場側入口から入ってすぐ右側
駐車場:あり(東急ストア)
公式Facebook https://www.facebook.com/ekichikamarche.shimoda/
公式Instagram https://www.instagram.com/ekichika.marche/

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この記事を書いた人

takahashi-tomiyo

静岡県出身、台東区在住のwebライターです。台東区の魅力や、気になる街を発信してまいります。

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