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スポット  |    2025.01.26

過疎地(長崎県西海市)で奮闘する3代目の試行錯誤|ふれ愛の里 清水

平成の大合併前に西彼町長を任期満了した祖父が退任後、地域の人への感謝を込めて農産物直売所【ふれ愛の里 清水】を設立した。

地域の農家が農作物を販売できる店、地域の人を雇用することができる店、地域への恩返しができる店として、家族で店を支えてきた。

長崎県西海市は、総務省が過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法により、過疎地域と指定されている。

家族で支えてきた【ふれ愛の里 清水】も、後継者問題により閉店の危機に陥った。

その危機を救い、過疎地域を盛り上げたいと奮闘しているのが3代目 中村崇志氏。

3代目になって約2年。これからの発展を期待しながら、奮闘の様子を振り返ってみよう。

脱サラから農産物直売所経営者へ

【ふれ愛の里 清水】は、地域の人が育てた農作物の販売をはじめ、2代目(中村氏の父)から引き継いだ豆腐屋、2代目の弟(中村氏の叔父)が始めた肉屋で構成されている。

豆腐屋・肉屋を始めた2代目兄弟が退任する時は、後継者が決まっていなかった。

仕事の合間に実家の家業を時々手伝いながら、2~3年程は自分が後継することについて悩んでいたという。

「自分が跡を継いだ決定的な理由は覚えていない」と笑って話す中村氏。

206号線沿いに建つ【ふれ愛の里 清水】。立地も店に置いている商品も魅力的、このまま店をなくしたくない。そんな思いで2022年から【ふれ愛の里 清水】3代目となった。

試行錯誤1:幅広い人に知ってほしい

完全に地域密着型であった【ふれ愛の里 清水】。

代替わりがあれば、これまでの慣習だけでなく、3代目の考える戦略も加わってくるため、常連客やスタッフとの軋轢も多少あったそう。

しかし店の発展のためにも、地元住民だけでなく色々な人に店・商品を知ってもらうことが大切と考えた。

西海市以外からも来てもらえる店へ

過疎化が進む西海市。地域の顧客だけでなく、隣接する市への知名度を上げるために街のイベントへの参加やマルシェの開催など、積極的にPRの場を増やしている。

これまで、顔見知りの地域住民だけを接客していた従業員のスキルアップも含めて、イベントへの参加の機会を大切にしているそう。

SNSの活用

イベントやマルシェの様子から、お店の様子・おススメ商品などをInstagramに投稿し「行きたい」「行ってみたい」と思ってもらえるよう挑戦中。

私も、長崎市内のイベントで【ふれ愛の里 清水】を知り、Instagramでチェックしながら「豆乳ソフトが食べたい」と、まんまと戦略にハマった1人である。

試行錯誤2:豆腐屋としてのこだわりと新作への挑戦

3代目中村氏にとって「豆腐屋」は、縁のある職業だった。

中村氏の母の実家が豆腐屋で、小さい頃に豆腐作りを見る機会があった。

【ふれ愛の里 清水】が開業する頃には、その豆腐屋は閉店していたが、ノウハウを得る機会はあったそう。実家が豆腐屋・農産物直売所となり、中村氏自身が受け継ぐことになった。

小さい頃から身近にあった「豆腐屋」。豆腐作りに関しても、中村氏の試行錯誤が伺える。

豆腐の材料「大豆」へのこだわり

【ふれ愛の里 清水】の名にある「清水」は、元々は土地の名前。

水が豊富で、湧き水も出るキレイな土地だった。

2代目が地下水を掘りあて、豆腐作りに使用している。

豆腐作りには「水」と「大豆」が重要。

能登地震の際には、復興支援として能登の大豆を使用したり、できるだけ地元に近い産地の大豆を使用したり、試行錯誤した。

大豆が変わると、豆腐の味が大きく変わってしまう。大きな挑戦だったが、薄いピンク色の「桜」という商品ができた。

スイーツもあるよ

先代から作られていた豆腐ドーナツは、以前からの人気商品。

材料や売り場のディスプレイの改良を行い、人気は右肩上がり。

2024年10月からは、豆乳ソフトクリームの販売を開始した。

材料の3分の2が豆乳という豆乳ソフトクリームは、甘さ控えめでさっぱりとした味わい。

「桜」シリーズの赤大豆が使われているため、うっすらとピンク色のソフトクリーム。

【ふれ愛の里 清水】に来たら、これ食べて!!

【ふれ愛の里 清水】には、たくさんの商品がある。その中で「せっかく来たならこれ食べて!」というおススメを聞いてみた。

中村氏厳選の3品は「寄豆腐」「みくりや畜産のコロッケ」「押し寿司」

寄豆腐は、豆腐作りには必要だが添加物となってしまうにがりの使用を最小限にした、旨みのたっぷり詰まった豆腐。

赤大豆を使用した「寄豆腐 桜」は、中村氏の代からの新商品。珍しい大豆を使っているため、店頭にあればぜひ、手に取ってほしい1品。

【ふれ愛の里 清水】内に店舗を構えるみくりや畜産。

西海市で畜産をされており、自社牧場で育てた黒毛和牛を使用したコロッケは、昼過ぎには売り切れてしまう人気商品。

郷土料理として有名な押し寿司。見た目は大村寿司にそっくりで、どちらも長崎県の郷土料理。西海市の押し寿司は、大村寿司よりも甘めに作られているそう。【ふれ愛の里 清水】で手作りされている。

私のおススメは、無調整豆乳は美味しくないという自分の概念を覆してくれた「桜」シリーズの無調整豆乳。

大豆次第で、無調整でも美味しい豆乳が飲めると知ることができた衝撃の1品です。

長崎市から佐世保市に至る国道206号線沿いにある【ふれ愛の里 清水】。

わざわざ訪れてみたいお店です。

【ふれ愛の里 清水】

住所/〒851-3304

長崎県西海市西彼町上岳郷1301-1

電話番号/0959-27-0227

営業時間/8:00~18:00

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この記事を書いた人

shizuka

長崎県在住のライター。 姉弟の2児の母。美味しいもの、新しいもの、歴史があるもの、楽しいこと、何でも大好き!!「 推し活」と「筋トレ」で元気いっぱい!!興味の幅は無限大。長崎の魅力をたっぷりお伝えします。

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