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人  |    2026.04.03

三津浜焼き「しん堂」高須賀芳典さんの想い|地域文化を守る挑戦【後編】

三津浜焼き「しん堂」は、長年地域に愛され続けてきた三津浜焼きの店です。現在、共同経営者として店を支えているのが高須賀芳典さん(以下、高須賀さん)。

もともとはアパレルや輸入事業などを手がけてきた経営者ですが、閉店の危機にあったこの店を引き継ぎ、新たなスタートを切りました。地域の人々に親しまれてきた味を守りながら、SNS発信や新しい取り組みにも挑戦しています。

今回は、高須賀さんが考える店づくりへの想いや、三津浜焼きの未来についてお話を伺いました。

前編はこちら

「三津浜焼き しん堂」秘伝ソースと五明の卵が生む松山のソウルフード【前編】

閉店予定だった三津浜焼き店を引き継ぐ決断

実年齢を聞くと驚きます

三津浜焼きの人気店「しん堂」は、実は一度閉店する予定でした。

しかし、その流れを大きく変えたのが、共同経営者である高須賀さんの決断です。高須賀さんはもともと飲食業界の出身ではありません。

25歳で起業し、子ども服の店舗運営や海外からの商品輸入など、約20年にわたりビジネスを続けてきた経営者です。楽天やYahooなどのECサイトでの販売経験もあり、物を売る仕事に長く携わってきたとか。

向かって右側が共同経営者の女性です(出典:Instagram

そんな高須賀さんが三津浜焼き店を引き継ぐことになった背景には、ある出来事が。

この店をやっていたオーナーさんが体調を崩してしまって、店を続けることが難しくなったんです」。

当時実務を担っていたのは、現在高須賀さんと共同経営をしている方です。

「彼女は実務はできるけど経営ができない。僕は実務はできないけど経営ができる。お互いの足りない部分を埋める形で一緒にやることになりました」。こうして、二人三脚の共同経営がスタートしました。

地域に愛された三津浜焼き文化を残したい

とても明るく前向きな方です

高須賀さんが店を引き継ぐ決断をした理由は、単なるビジネスチャンスではなかったといいます。それは「地域文化を残したい」という強い思いです。

「正直、最初は辞める予定だったんですよ。でも、この店が地域に愛されていることはずっと知っていました」

三津浜焼きは、松山市三津浜地区で長く親しまれてきたソウルフード。屋台や鉄板店で気軽に食べられる庶民的な料理として、多くの人の思い出の味になっています。

高須賀さんが制作

屋台の三津浜焼きって、ただの食べ物じゃなくて文化なんですよ」と、高須賀さんは語ります。

味も変わらず続いている店をなくしてしまうのはもったいない。文化として残したいと思ったんです」。こうして、閉店予定だった店は再び営業を続けることになりました。

「600円の三津浜焼き」で地域とつながる

地域の方から愛され続けているお店

しん堂の三津浜焼きは、現在でも600円前後という手頃な価格で提供されています。その価格について、高須賀さんはこんな表現をします。

僕たちは、600円という小さな血を地域の人からもらって生きているような感覚なんです」。屋台で買われる一枚の三津浜焼き。それは地域の人たちの生活の中にある小さな支えでもあります。

600円の三津浜焼きに対して、土日になると1時間待ってくれるお客さんもいるんです。それって本当にありがたいことですよ」

月曜が定休日です

テイクアウト専門の店のため、長い会話をする時間はありません。それでも、「ありがとうの言い方や表情で、気持ちは伝わると思っています」と話す高須賀さん。接客で大切にしているのは、経営者としての感謝の気持ち。

「アルバイトとして接客しているわけではなく、経営者としてお客さんと向き合っているので、買ってくれたお金で僕たちは生活できているという感覚があるんです」

三津浜焼きの文化を未来へ

こだわりが詰まった一品

屋台での仕事は決して楽ではありません。夏は暑く、冬は寒いそうです。鉄板の前で長時間立ち続ける体力仕事。

「夏は水を2リットル以上飲むこともあります。冬も本当に寒いですよ」

それでも高須賀さんは、この仕事を続けたいとか。「この店を愛してくれているお客さんがいる限り、続けたいですね」。

一度は閉店するはずだった三津浜焼き店。しかし地域の声によって再び動き出しました。

辞めないでほしいといってくれたお客さんの声があったからこそ、今があると思っています」

土曜日限定のメイドイベントのコンセプトとは

時代は変化しても味は変えない

三津浜焼き「しん堂」では、土曜日限定でメイド服を取り入れたユニークな取り組みも行っています。一見すると意外な試みに感じますが、そこには高須賀さんなりのマーケティングの考えがありました。

「一番怖いのは“無関心”なんです。お店の前を通ったときに『何かやっているな』と思ってもらえることが大切だと思っています」

三津浜焼きの味や文化は大切に守りながらも、店の存在を多くの人に知ってもらうための工夫として、土曜日だけ特別なコンセプトを取り入れているといいます。実際に、土曜日はアルバイトスタッフがメイド服で接客を行い、店の前にはいつもと違った賑やかな雰囲気が生まれます。

松山のソウルフード

また、高須賀さん自身もイベントの一環としてコスプレ姿で店頭に立つことがあるそうです。スタッフだけに任せるのではなく、経営者自身も一緒に楽しみながら取り組むことで、店全体のモチベーション向上にもつながっているといいます。

こうした取り組みの背景には、「地域に愛される店であり続けたい」という思いがあります。三津浜焼きという伝統の味を守りながらも、新しいアイデアを取り入れて店の魅力を広げていく。それが、高須賀さんの目指す店づくりです。

三津浜焼き「しん堂」の未来への展望と新たな挑戦

今後のますますの活躍が期待されます

三津浜焼き「しん堂」では、地域に愛される味を守りながら、将来に向けた新しい挑戦も視野に入れています。高須賀さんが今後力を入れていきたいと考えているのが、SNSを活用した情報発信です。

InstagramやTikTokなどを通して、三津浜焼きの魅力や屋台で働く日常を発信していきたいと思っています」

三津浜焼きという地域の食文化をより多くの人に知ってもらうため、動画やSNSを使った発信にも挑戦していく予定です。

さらに将来的には、店舗展開も視野に入れています。現在の店舗で屋台営業の経験をしっかり積みながら、将来的には直営店の展開やフランチャイズ(FC)など、新しい形で三津浜焼きを広げていく可能性も考えているといいます。

まずはこの店でしっかり経験を積むことが大事だと思っています。その上で、直営店なのかフランチャイズなのか、いろいろな形で広げていけたらいいですね」

長年愛されてきた三津浜焼きの味を守りながら、時代に合わせた発信や新しい挑戦を取り入れていく。三津浜焼き「しん堂」は、地域の食文化を未来へつなぐための一歩を着実に進めています。

基本情報
住所〒791-8057
愛媛県松山市大可賀3丁目670-11(コーナン三津浜店前)
営業時間・営業時間:10時30分〜18時30分
・ラストオーダー:18時15分
定休日月曜日
電話090-1487-3235
交通手段【公共交通機関を利用の場合】
伊予鉄バス アイテムえひめ前バス停より3分
【車を利用の場合】
松山インターより30分
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この記事を書いた人

世界のわたなべけん

地域に眠る人・場所・想いを取材し、 文章✕映像✕出版✕AIで編集、 世界に向けて発信しています。 神社仏閣、地域活動、仕事など、 現場に足を運び、空気感を伝えることを大切にしています。 地域の価値を最大化し、世界に届けるのがテーマです。

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