
「このXスペースは、なぜこんなに人が集まるのか——。」
心理学者のヤタ先生と、SNS起業アドバイザーのひろみさんによるX(旧Twitter)スペース『ヤタひろみの夕方どうでしょう』が、熱狂的なリスナーを惹きつけ続けています。
毎週水・木・金の17時から配信されている同スペースは、約2年間で配信回数は300回を超え、全国各地からリスナーが集まり、地元のディープな話題から人生相談までが自然と飛び交っています。
その空間は、単なるSNS上の音声配信の枠を超え、「令和の新しい地方創生」とも言える熱量を帯びたコミュニティへと進化していました。
今回は、「なぜ、ここに人は集まるのか」をテーマに、お二人にお話を伺いました。
心理学者×SNS起業アドバイザーの異色コンビ「ヤタひろみ」とは?

まず最初に、お二人の普段の事業内容と、現在取り組まれている活動について伺いました。あわせて、多くの人が集まるXスペースを始めたきっかけや、どのような思いで継続しているのかについてもご紹介します。
心理学者・ヤタ先生

心理学に携わって15年。カウンセラーとしてこれまで5,000件以上の相談に寄り添い、多くのクライアントが「自分らしく生きる」ためのサポートを続けてきた。現在は、対面でのカウンセリングに加え、自分自身の人生を取り戻すための講座や、参加者同士の心の通い合いを大切にしたグループセラピーを主宰。対話を通じて生まれる「温かなつながり」を重視した活動を展開している。
SNS起業アドバイザー・ひろみさん

SNSを活用した集客やビジネス支援を行い、起業6年目を迎える。自身の経験を生かし、ゼロからのスタートから現在までに100名以上の個人起業家をサポート。単なるテクニックの伝授にとどまらず、画面の向こう側にいる「人」を大切にする対話重視のスタイルが厚い信頼を集めている。
当初の目的は、あくまで自分たちの「人となり」を知ってもらうための認知獲得にありました。別々に発信をしていたお二人が、ある縁からコンビを結成し、共同で『ヤタひろみの夕方どうでしょう』の配信を開始。
しかし、回を重ねるうちに一つの大きな変化を実感します。そこはもはや単なる情報発信の場ではなく、仕事帰りに誰もがふらっと立ち寄れる、温かな「居場所」へと進化を遂げていたのです。
全レスと背景への想像力が生む絶妙な距離感

——リスナーさんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
ひろみさん:私たちは、寄せられたリプライを時間内にできるだけすべて読む「全レス文化」を大切にしています。自分の発言を拾ってもらえる。その積み重ねが、リスナーさんの安心感につながると思うんです。
——ちゃんと見てもらえているという感覚は大きいですよね。
ひろみさん:そうなんです。SNSって、どうしても一方通行になりがちですが、私たちは会話として成立させたい。SNS上の音声配信ではありますが、感覚としてはラジオ番組の生放送に近いですね。
ヤタ先生:僕は職業柄、リプライをくれた方のプロフィールまで見に行くことも多いんです。その人の背景が少しでも見えると、会話の広げ方も変わってくるんですよね。この「一歩だけ踏み込んだ交流」が、デジタル空間にリアルな体温を宿らせているのかもしれません。
——雑談から瞬く間に全国各地のローカルな話題へ広がっていくのも印象的です。
ヤタ先生:たとえば「ソフトクリームがおいしい」という話題を、「サービスエリアでつい食べちゃうよね」といった“あるあるネタ”に変換して投げかけるんです。すると、それが誰にとっても参加できる共通言語になります。
ひろみさん:そこから「うちの地元ならここが有名ですよ!」と、広島、大阪、福岡……と、全国のリスナーさんが地元自慢をリプライの中で始めてくれるんです。この情報の連鎖が本当に面白いですね。
SNSは人間の本質を映し出す鏡

——お二人にとってSNSとはどのような存在でしょうか。
ひろみさん:コロナ禍を経て、SNSはよりリアルに近いつながりになったと感じています。便利なツールであることはもちろんですが、結局はリアルとオンラインをどう掛け合わせるかが大事なんですよね。
——たしかに、SNSだけで完結する時代ではなくなってきているのかもしれません。
ひろみさん:そうですね。だから私は、「たかがSNS」という言葉があまり好きではないんです。その先には必ず人がいますから。文字だけのやり取りに見えても、感情があって、生活があって、誰かの人生につながっている。そこを忘れたくないなと思っています。
ヤタ先生:うんうん。僕は、SNSって「人間の本質を可視化したもの」だと思っているんです。リアルでは見えづらかった感情や空気感、人との距離感が、SNSではすごくわかりやすく表に出る。だから本質的にはリアルの人間関係と何も変わらないんですよね。
——ネット上の別人格ではなく、その人自身が表れる場所でもある、と。
ヤタ先生:まさにそうです。だからこそ、画面の向こう側に人がいることを忘れないことが何より大切だと思っています。発信する側も、受け取る側も、その意識を持つだけでSNSの空気ってかなり変わるんじゃないでしょうか。
リスナーの地元愛が繋がるコミュニティ

——『ヤタひろみの夕方どうでしょう』の特筆すべき点のひとつに、地方創生が自然発生的に生まれている点があると感じました。お二人はこの現象をどのように捉えていますか?
ひろみさん:たとえば「岩国には100種類以上のアイスがある」という話題が出ると、全国のリスナーから「うちの地元にはこんなお店がありますよ」といった地域情報がどんどん寄せられるんです。「今度、出張で〇〇へ行く」と話せば、地元の人たちからコンシェルジュのようなリプライが届くこともあります。
——番組をきっかけに、地域の魅力を共有する流れが自然と生まれているんですね。
ひろみさん:そうなんです。これはPRではなく、「自分の大好きな地元を知ってほしい」という、個人の純粋な愛着から生まれる盛り上がりなんですよね。リスナーのみなさんが、自発的に地元の広報担当のようになってくれている感覚があります。
ヤタ先生:うんうん。特別なイベントを打つことだけが地方創生ではないと思うんです。こうして日常の会話のなかで、「うちの地元にはこんないいものがある」と紹介し合い、全国のリスナーとSNS上で情報共有をする。これも立派な地方創生のかたちではないでしょうか。
——たしかに、暮らしの延長線上にある地方創生とも言えそうですね。
ヤタ先生:そうですね。肩肘張った取り組みじゃなくても、人と人との会話や共感の積み重ねで地域の魅力って広がっていくんだなと実感しています。
Xスペース配信300回を機にさらなる進化へ

これまで24時間連続配信や企業(ホテイフーズ)とのコラボ、リスナーによるファンアート制作など、配信者と視聴者の垣根を越えた挑戦を続けてきたお二人。配信300回という大きな節目を前に、その視線はすでにさらに先を見据えています。
ひろみさん:配信300回はひとつの区切りです。今の形を大切にしつつも、さらなる進化を目指して、少しずつ新しい形に挑戦していきたいと考えています。
ヤタ先生:どんな物事でも、現状維持は衰退だと思っています。継続していくためには、僕たち自身も発信者としての意識をさらに高め、自分たちのビジネスも発展させていく必要があります。言葉の影響力を自覚しながら、「何を届けていくのか」を常に考えていきたいですね。
人が集まる理由は結局「人」だった
テクニックや情報だけでは、人はこれほど長く定着しません。
『ヤタひろみの夕方どうでしょう』が支持されている理由は、誰かを否定しない空気感と、画面の向こう側にいる人を尊重する姿勢にあります。
効率やアルゴリズムが優先されがちな現代だからこそ、人々が求めているのは安心して参加できる居場所なのかもしれません。
そうした緩やかなつながりが、結果として日本各地の魅力を掘り起こし、地方創生の種になっている。
そんな可能性を感じさせるコミュニティでした。
連絡先情報
ヤタ先生
※恋愛・夫婦関係・人間関係に関するカウンセリングや講座、各種相談を受付中。
ひろみさん
※SNS活用や発信、ビジネス導線づくりなどの相談を受付中。




