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聖地  |    2026.09.04

神玉巡拝でたどる、富士山信仰のはじまり|北口本宮冨士浅間神社

私たち山梨の人は、心のどこかにいつも富士山を持っています。

道を説明するときも、「右へ」「左へ」ではなく、「東へ」「南へ」と方角で話す人が少なくありません。それは、富士山がいつも自分のいる場所を教えてくれる存在だからなのかもしれません。

そんな私たちにとって身近な富士山ですが、その麓で何百年も受け継がれてきた信仰については、知らないことがたくさんありました。

今回訪れたのは、富士山信仰の聖地・北口本宮冨士浅間神社(きたぐちほんぐうふじせんげんじんじゃ)です。富士講や浅間信仰の歴史とともに、楽しい「神玉巡拝」についてもご紹介します。

神玉巡拝とは?7つ集めて1つのお守りに

神玉の初穂料は500円。神社ごとに色が異なる「神紐」は300円。7社すべて集めると、最後に参拝した神社で巡拝達成証明書がもらえる

富士山麓の7つの神社では、参拝の証として「神玉(かみたま)」を受けることができます。

神玉は、神社ごとにゆかりのある絵柄が描かれた木製の玉です。7社を巡って集め、神紐を通すと、ご縁をつないだ1つのお守りになります。

この話をすると、「7つ集めるって、あの漫画みたい!」「全部そろえたら、ものすごくご利益ありそう」と声が上がります。私も、その楽しさにひかれました。

神玉を集める企画は、もともと茨城県の神社で始まったものです。富士北麓では、「神社の歴史を知ってもらいたい」「地域を盛り上げたい」という若手神職の皆さんの呼びかけで実現しました。知らなかった神社を訪ね、その土地の歴史や魅力にふれるきっかけにもなります。

7社という数は、日帰りや1泊2日で回りきれるように決められたそうです。

富士山麓の神玉巡拝に参加する7社。神社ごとに異なる絵柄の神玉を授かれる

富士山信仰の旅は「金鳥居」から始まる

北口本宮冨士浅間神社へ向かう途中、富士吉田市の街中に立つ大きな「金鳥居(かなどりい)」をくぐりました。

古くから、この鳥居の先は富士山の神域とされ、信仰のために富士山へ登る「登拝」も、ここから始まると考えられてきました。

鳥居の向こうにそびえる富士山を眺めると、「これから神様の山へ向かう」という昔の人々の気持ちを想像できるような気がしました。

杉並木の参道が迎える北口本宮冨士浅間神社

金鳥居で富士山信仰の歴史に思いをはせたあと、北口本宮冨士浅間神社へ向かいました。

境内の入口に立つのは、堂々とした第一大鳥居。その先には、杉の巨木が立ち並ぶ長い参道が続いています。

鳥居をくぐると、気温がすっと下がったように感じました。実際に木立の中へ入ったからかもしれません。

「空気が変わった…」

街中とはまったく違う静けさに包まれ、自然と背筋が伸びます。杉並木を見上げていると、この参道を歩いた人々の祈りが、今も静かに残っているように感じられました。

富士講とは?富士山を目指した信仰の旅

参道の奥に立つ「冨士山大鳥居」。高さ約18mで、木造鳥居としては日本最大級

杉並木を抜けた先に、朱塗りの冨士山大鳥居が現れました。

大鳥居に掲げられているのは、「三国第一山」の扁額。三国とは日本・中国・インドのことで、当時の人々が知る世界のすべてにおいて一番の山、という意味になります。

富士山は、観光や登山の対象となるはるか以前から、神聖な信仰の対象でした。噴火を繰り返す富士山を人々は畏れ、麓の浅間神社で祈りをささげ、やがて祈りを胸に山頂を目指すようになります。

江戸時代には、「一生に一度は富士山へ登りたい」と願う庶民の間で富士登拝が広まりました。地域の人々は「富士講」という集まりをつくってお金を積み立て、今でいうツアーのように一行で富士山を目指しました。代表者が仲間の願いを背負って登拝することもあったそうです。

旅を支えたのが「御師(おし)」です。現代風にいえば、ツアーコンダクターと宿の主人、さらに祈祷師を兼ねたような存在でした。宿泊や食事を用意し、登拝を案内して、旅の安全を祈りました。

北口本宮冨士浅間神社は吉田口登山道の起点として、多くの富士講の人々を迎えてきました。金鳥居をくぐり、北口本宮で祈り、御師の家に泊まって山頂へ向かう。登山道に入る前から、富士山参拝は始まっていたのでしょう。

富士講の始祖・角行ゆかりの石

角行立行石。角行は全身から血を噴きながら行を続け、里人に勧められてようやく行を終えたと伝えられる

参道の途中には、「角行立行石(かくぎょうたちぎょういし)」と呼ばれる史跡があります。

角行は富士講の始祖とされる人物です。1610年の冬、69歳のとき、酷寒のなか裸身で石の上に爪立ちし、30日間の修行を続けたと伝えられています。

さらに、生涯で富士山に128回登ったともいわれます。富士山は、一度登っただけで「もう十分」と話す人も少なくありません。

それを128回。

正直、「なぜ、そこまで」と驚きました。それほど富士山への信仰は深く、人生を懸けるほどの意味を持っていたのでしょう。角行の修行を知ると、目の前の石からも、富士山信仰の重みが伝わってくるようでした。

神玉を追いかけた先に、富士山信仰があった

7つの神玉を集めたい。そんな楽しい気持ちから始まった巡拝でした。

金鳥居の意味を知り、富士講の人々が歩いた道をたどり、角行の修行にふれるうちに、気が付けば富士山信仰の歴史を追いかけていました。

神玉を1つ授かるたびに、その神社をもっと知りたくなりました。

北口本宮冨士浅間神社は、その第一歩にふさわしい場所でした。

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北口本宮冨士浅間神社の基本情報

所在地
〒403-0005
山梨県富士吉田市上吉田5558

電話番号
0555-22-0221

参拝時間
8:30~17:00

駐車場
境内周辺に第1〜第7駐車場があり、合計約160台分を利用できます。大型・中型バスに対応する駐車場もあります。祭典時などには臨時駐車場が設けられる場合があるため、混雑が予想される日は神社へお問い合わせください。

車でのアクセス

  • 中央自動車道・河口湖ICから国道139号経由で約3km
  • 東富士五湖道路・富士吉田ICから国道139号経由で約3km
  • 東富士五湖道路・山中湖忍野ICから国道138号経由で約6.5km

公式サイト
https://www.sengenjinja.jp/index.html

神玉巡拝の基本情報
  • 神玉初穂料:1社につき500円
  • 神紐初穂料:1社につき300円
  • 対象:富士山麓の7社
  • 7社をすべて巡ると、最後に参拝した神社で巡拝達成証明書を受け取れます 
    ※頒布時間等詳細は、各神社へお問い合わせください
  • 神玉の絵柄と神紐の色は、神社ごとに異なります

各神社の神玉授与時間やモデルコースなど、神玉巡拝の最新情報は以下をご確認ください。

富士山麓神玉巡拝ガイド(富士吉田市観光ガイド)
https://fujiyoshida.net/course/index.php?p=course-530

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この記事を書いた人

金子 よし子

山梨県出身、山梨県在住のwebライター。 山梨県の魅力をたくさん発信していきたいと思います!

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