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アクティビティ  |    2025.04.04

あかがね街道の宿場町「大間々」の魅力を紹介【後編】|ご当地スイーツと文化遺産

あかがね街道の宿場町、そして生糸の集積地として栄えた群馬県みどり市の大間々(おおまま)。

前編では、あかがね街道と大間々の町が発展した経緯についてご紹介しました。

後編となる今回は、大間々でまちおこし活動をしている「三方良しの会」会長の松崎さんから伺ったお話をベースに、大間々の魅力をさらに深掘りしていきます。

前編はこちら

あかがね街道の宿場町「大間々」の魅力を紹介【前編】|レトロ建築とローカル線

大間々駅前の町並み

三方良しとは、江戸時代から明治時代にかけて活躍した近江商人が大切にしていた商売の理念です。

自分たちの利益だけを追求するのではなく、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方、つまり関わるすべての人たちが得をし、良い影響を与え合える取引を目指す考え方です。

大間々の「三方良しの会」では近江商人の考え方をリスペクトし、大間々に携わるすべての人が幸せになれるような活動を積極的に行っています。

「三方良し」精神が根付いた岡直三郎商店

岡直三郎商店の外観

大間々に訪れたならぜひとも立ち寄ってほしいのが、「岡直三郎商店」です。創業はなんと1787年。あかがね街道の要衝として栄えていた大間々で、近江商人が醤油醸造業を営んだのが始まりです。

看板商品である天然醸造の「日本一しょうゆ」は、昔ながらの木桶でじっくりと仕込むからこそ出せる、濃厚でまろやかな味が特徴です。

岡直三郎商店の入り口

おすすめは店内で食べられる醤油味のソフトクリーム。醤油とアイスクリームの甘さが絶妙にマッチし、醤油のコクがありつつもさっぱりとした味わいです。

岡直三郎商店の醤油ソフトクリーム

岡直三郎商店には、創業当時から三方良しの精神が根付いています。

江戸から明治にかけて、大間々は幾度となく大火に見舞われました。扇状地の扇頂に位置しているため水を得ることがむずかしく、強い季節風の影響もあって一度発生した火事を消し止めることは容易ではありませんでした。

そのような環境の中、1895年(明治28年)の大火では、岡直三郎商店が燃え盛る火に醤油をかけ、火事の半分を消し止めたという記録が残されています。

岡直三郎商店の醤油蔵

大切な売り物である醤油を惜しみなく使うのは誰にでもできる行動ではありませんよね。まさに三方良しの「世間良し」が体現されたエピソードです。

岡直三郎商店は他にも、自社の井戸を周囲の住民が自由に使えるようにお店の外側に設置するなど、自分たちの利益だけでなく地域全体が良くなるような経営を心がけていたそうです。

三方良しの井戸

この三方良しのシンボルともいえる井戸は、大間々の「三方良しの会」によって新たに修理・整備され、災害時や非常時に活用できるようになりました。

井戸のある通りは「桶の細道」という愛称で呼ばれています。

岡直三郎商店で100年以上使われていた醤油の仕込み桶を再生利用したウッドチップと、国鉄足尾線(現・わたらせ渓谷鐵道)の枕木が敷き詰められた、大間々の長い歴史を感じられる小径になっています。

桶の細道

まだまだある!大間々の文化遺産

数多くの文化遺産が立ち並ぶ大間々の町は、まるで屋外博物館のよう。

大間々駅とあかがね街道を結ぶ通りを歩いていると、美しい水色の洋館が目に飛び込んできます。

旧小林眼科洋館の外観

これは元々眼科として使われていた建物で、現在は「旧小林眼科洋館」として地域で大切に修復・利用されています。正確な築年数は不明ですが、大正から昭和初期にかけて建てられたものと推測されているようです。

室内には眼科として活躍していた頃のレトロな診療室や手術室が残されており、さまざまなイベントのブースとして定期的に使用されています。

旧小林眼科洋館の室内 (内部は通常、一般公開されておりません)

あかがね街道を足尾山地の方面に向かって歩いていると見えてくるのは、瓦と白壁が美しい「野口家住宅」。明治後期に建てられ、とても良い保存状態で残されています。

野口家住宅主屋

野口家は材木店を営んでおり、足尾山地や赤城山でとれた良質な木を取り扱っていました。関東平野と山間部の境目に位置する大間々が、材木の集積地としての側面も持っていたことが伺える貴重な文化遺産です。

最後に紹介するのは、大間々の町に溶け込む常夜灯です。常夜灯は現代でいう街灯の役割を果たすもので、街灯が普及する前は全国の街道や港に設置されていました。

大間々の町には明治初期まで街道に沿った堀があり、そこに5基の常夜灯が設置されていました。

三丁目常夜灯

堀の埋立により常夜灯は一時撤去され、それぞれ別の場所で保管されていましたが、2010年に「三方良しの会」の活動によって5基のうち3基が元あった場所へ里帰りし、再び大間々の町を彩っています。

筆者は文化遺産を巡り日本各地を旅していますが、古いものは時代とともに消えてしまうことが多いと痛感しています。小さな遺産であればあるほどその傾向は顕著です。

今こうして大間々で昔の暮らしに思いを馳せ、すばらしい文化体験ができているのは、「三方良しの会」はじめ地域の人々が文化遺産を守り、次世代へ受け継ごうと積極的に活動してくれているからだと気づきました。

今回の記事を通して、大間々の町の美しさと人のあたたかさが少しでも多くの人に伝われば嬉しく思います。

大間々の町並み

次のお出かけはぜひ大間々へ

【前編】【後編】にわたり大間々の町を紹介してきましたが、まだまだ魅力は語り尽くせません。

本記事で紹介したスポットの他にも、100年前に建てられた土蔵群を改装した宿泊施設や昭和初期から営業する劇場など、見どころは満載です。

大間々へはわたらせ渓谷鐵道の「大間々駅」のほか、東武鉄道・上毛電気鉄道の「赤城駅」からも徒歩でアクセスすることができるので、電車でのお出かけにもぴったりです。

次のお休みは、ぜひ大間々へ訪れてみてはいかがでしょうか。

大間々「三方良しの会」について

▼詳細
公式ホームページ

岡直三郎商店の情報

▼住所
〒376-0101 群馬県みどり市大間々町大間々1012
▼アクセス
【電車】わたらせ渓谷鐵道「大間々駅」より徒歩約5分、東武鉄道・上毛電気鉄道「赤城駅」より徒歩約25分
▼詳細
公式ホームページ

※最新情報は公式HPをご覧ください

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この記事を書いた人

ひのえ

1995年生まれ。会社員としてオウンドメディアの編集に携わったのち、フリーランスライターとして独立。休みの日は美術館にいるか、ノスタルジックな町並みと非日常を求め、ひとり日本各地を歩き回っている。初めて訪れる町の新鮮な空気が大好き。

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